第11話 闇夜の会場
王を護衛するために2人は式典に参加する。
そして王に近づく暗殺者
2人は王を守る事ができるのか……
「とにかく 怪しい人はこんな感じか」
ベッドの上に並べられた4枚の紙を見てハルは呟く、そこには乱雑な絵が2枚と、精巧に描かれた顔の絵が2枚あった
「ハル これじゃ顔が分からないよ」
「俺に絵の話はするな」
彼の絵の下手さは幼少期の頃から知ってたが、当時より酷くなっている、どう見ても人の顔では無い
「実際俺の2人は怪しいというか やれそうというか」
「僕の2人も毒とかを仕込まれたり 王への距離感でやれる可能性は高いかな」
だがしかし、彼らよりも
「いかにもって感じの見た目だったな」
「まさか彼も空から見られてるとは思わないだろうね」
そう、問題はファウが見せてくれた記録の中の人物だ、彼が今のところ1番怪しい、街の中は初日であらかた見回ったのだが、怪しい隠れ場所も、本人も見つかっていない
「もう一般人に紛れ込まれてるか」
「式典は一般人が入ることは出来ないけど……」
暗殺者がどんな入り方をするかは予想出来ない、こっそり入られてやられる可能性が高い。
彼らはこういった経験がなさすぎたため、対策を考えるだけで一苦労だ。
「仕方ないか……」
ショウは思い出したように、カバンからで水晶玉を取り出す
「おっ! ステラさんに相談か!?」
「いや 出来れば2人に相談したい」
と言いつつも内心ではステラさんに出て欲しいとは思いながら起動を始める。
……
2分ぐらい経っても反応がない
「え もしかして壊れたか……」
「いや 単純に距離が遠いからと思う」
距離が遠いとどうしても時間がかかってしまう物のようである
「どうした2人とも何かあったか」
出たのはやはりウィルだった
「ウィルさん もし人を暗殺するとしたらどう言った方法でやりますか?」
「ちょっと ショウ!?」
誤解を招く聞き方をするショウにハルは驚く、彼は冷静さを失っているようだ
「……ちょっと待ってろ 今お前らどこだ」
「誤解です! 誤解なんですよウィルさん 今こんな事になってまして……」
殺される、そう思ったハルは事の顛末を全てウィルに話す、こういった役目はいつもはショウがやっているはずなのだが……
「そういう事か お前らが暗殺を計画してるのかと思った」
「違いますよ……」
「すいません……」
頭を下げながら話す2人、どうやらこの男がここにやってくることはなさそうだ、ほっとしていると、思わぬ声が向こう側から聞こえてくる
「ウィルに暗殺の方法を聞いても無駄ですよ」
「「ステラさん!」」
思わぬ人物の声に、2人は気分が高揚する
「彼なら全部正面突破でどうにかなりますからね」
「それは暗殺とは言わないだろ」
そういったやり取りをする2人を聞く、いつも通りの2人で安心する
「それよりも 王の護り方を考えた方がいい気がします」
「それもそうですね……」
そしてステラははりきった声でその方法を伝える
「私なら 王には物理攻撃を無効化する保護魔法をかけて 毒は自分で毒味します 自分への毒は魔法で何とかします どうでしょう?」
どうでしょうと言われても、あまりにも強引すぎる、それが全部できるなら今頃相談していない、もしかして1級は全員がこれを出来るとでも思っているのだろうか
「無理無理無理無理 無理ですよステラさん!」
「あらそうですか」
「あまり無茶を言うな」
ウィルもステラの方法は無理だと思ったようだ、ステラを咎めながらウィルも考えを話す
「護衛もそうだが 可能性のある人物をもっと絞った方がいい そいつにさえ集中出来れば問題ないからな」
「それもそうなんですけど…」
誰か一人に絞ったとして読みが外れれば意味が無い、そう思いながらショウは考える
「内部の人間が暗殺しようとしてるなら 必ず違和感があるはずだ その違和感と王を殺す動機 を探せば人物を割り込めると思う」
「違和感と動機 ですか……」
「まぁ 外部の人間だったら 当日の護衛に任せるしかないな」
「やっぱりそうなるのか……」
ハルは頭を抱える、明日の式典には自分達も参加はできる、ただ王の招待客としての参加なので護衛では無い、王の側にずっと居られる訳では無い
「とにかく俺から言えることはここまでだ 幸運を祈る」
「2人とも頑張って!」
2人がそう言うと、水晶玉は光を失う
「あー もうこうなったら明日頑張るしかないな! おやすみ! ショウ!」
「うん おやすみハル」
ハルはベッドに飛び込みそのまま寝てしまった
「違和感……」
ショウはここまでで得た情報の違和感を探しながらベッドの中で眠りについた
式典の開始は午後8時、王はそこまでの時間に、1人で待機室で待っていた、開始直前にショウが部屋に入ってくる
「すごく緊張されてますね王」
「俺達だけの時はその呼び方やめてくれ…… 余計に緊張が増えるだろ……」
式典用の服を着たその見た目はやはり一国の王だ、だがいつもの口調で話す彼はいつものザルードといった感じがしてショウは微笑む
「そういえばザルードさん ファウさんとはどういった出会い方をしたんですか?」
ショウは聞きたかった事を聞いた、自分達の事を話したのに我々はそちらの事情を全く知らなかったからだ
「ファウと会ったのはそれこそ俺がまだガキの頃だ 城での勉強が嫌になって抜け出した時だった」
ザルードは目を瞑り、当時を思い出しながら話す
「1人だった俺に話しかけてくれて 更には外の色んな遊びをして遊んだんだ」
ショウは黙ってその話を聞く
「あいつの母親はあいつを産んで早くに病死したらしい 父親の方は劣悪な労働環境が原因で亡くなった孤児だったんだ」
「ファウさんは僕と同じだ……」
「そうだったのか すまないな こんな話をして」
「いえ 別に親の顔は見た事ないので…… 続きを聞かせて欲しいです」
ザルードは「わかった」と言うと、心の内を話す
「俺も産んでくれた親とは会えない日々だった 互いに一人だったんだ だから仲良くなれたんだろうな」
「そうだったんですか」
ショウは思い出す、自分とハルの出会いと似たような感じだ
「俺最初に一期一会を大事にしてるって言ったよな」
「ええ 僕もあなたに言われて大事にしてます」
「あれはあいつの受け売りなんだ」
「そうなんですか」
「私達は1人だから 色々な人との出会いを大事にしようって言ってたな 懐かしいもんだ」
「本当に良い友人に出会えましたね」
自分と同じだと思いながらショウは笑う、緊張のほぐれたザルードも一緒に笑ってくれた。
「私がそっ 即位してからもう1年が経った 暴君のじっ 時代は私の即位と共におっ 終わった! これから先も私が王としてのせっ 責務を果たし 皆にとっ とって良い国にしていききたい! それでは皆さん」
王が高々にグラスを天に掲げる
「かっ かんみゃい!」
式典の始まりは、王のかんみゃいから始まった
「やっぱり緊張解けてなかったな」
「うん 大事な所で噛んじゃったね」
直前でショウと話したのに、緊張は解けていない様子だった、会場にいる貴族達からは笑いが起こったりしていた、これも国民から愛される一種の王らしさといった感じだった
「まじで料理が美味すぎる」
ハルはテーブルの上の料理を片っ端から食べていく、その食べっぷりは周りの貴族達を驚かせる
「あまり食べすぎないでよ 僕の分がなくなる」
「今食べろよ」
「後で食べたいの」
実際王が口にする料理を毒味するために、腹を空かせておきたかった
「そっか ところでこのサラダの中のこれなんだ?」
「あぁ それサボテン 昨日試食させてもらった」
「これ……サボテン……?」
ハルはこの国に来る前の事を思い出す、食べる者が無さすぎてその辺のサボテンに齧り付いたのだが、あまりのマズさにその場で吐いてしまったくらいにはサボテンにトラウマがあったのだが……
「美味い!」
「でしょ!」
「やっぱちゃんと料理すれば美味しくなるもんなんだなー 国出る時いっぱい取って行こうぜ」
「やだよ 僕もさすがに料理の仕方までは聞いてないから」
「適当に美味しいもんぶち込めば何とかなるだろ」
この親友はこういう適当なところがある、7年の間に一通りの料理を覚えておいて良かった、とショウは今までの旅の中で何度も思った事だ
「絶対ダメ! サボテンは取っていかないからね!」
ハルは「えー」と不機嫌そうにするもすぐに他の料理に手を出す。
そして、王が貴族達と1体1で握手をする時間になった
「じゃあ 僕行ってくる」
ショウは近くで怪しい人物を探す為に王の近くへ行く
「おう こっから一応見てるわ」
ハルはそう言いながら料理を食べ続ける。
王との握手と少しの話の時間はだいたい1人1分ぐらいのペースで進んでいく、だいたい24人目くらいになった時、ハルは違和感を感じた。
ドレスに身を包んだ女性が何故か片手を自分の後ろに回している、その違和感をハルは見逃さなかった
(手を後ろに……)
そして、その手を握る、不可視の魔法のかかったナイフが一瞬握られたのをハルは見逃さなかった
「すいません 失礼します」
そう周りの貴族に言いながら、ハルは最速で彼女の後ろへ走り出した、その速さは周りの貴族が見えないほどであり、一瞬にして、彼女の背後から彼女の脇腹を狙い、蹴りを入れる
「ごふっ……」
そう言いながら吹き飛ばされた彼女の手からは変わった形をしたナイフが現れる、不可視の魔法が解かれた、吹き飛ばされた女は空中で体勢を直しながら、一回転すると暗殺者の姿に変わる。
会場は貴族たちの悲鳴に包まれ、パニック状態になる
「危ないです 王 一旦下がりましょう」
「わかった」
そう王はファウに言われ、裏の部屋へ進んでいく
「くそっ!」
そう言いながら暗殺者はそのまま後ろの窓を割りながら外へ逃げる
「これ 借りてくぞ」
「は はい?」
ハルはそう近くの兵士に頼むと、兵士の剣を取り上げ、そのまま割れた窓から外へ出る。
闇の中の鬼ごっこが始まった
「おら待て!」
暗殺者を追いかけて5分程が経過する、早い、屋根を走るのに慣れていないハルは、暗殺者になかなか追いつけなかった
「うらぁ!」
ハルは持っている剣を遠投用に持ち替え、全力で投げる
暗殺者はそれを軽々と避けたが、ハルの目的は当てることではなかった
ガァン!
「何!?」
民家の屋根に当たった剣は屋根を壊し、暗殺者は体勢を崩して、そのまま下に落ちていく、ハルは剣を回収し、屋根から飛び降りる。
飛び降りた先は行き止まりだった
「チッ 面倒だな!」
「それはこっちのセリフなんだよ 大人しく捕まりやがれ」
2人は向き合いながら距離を図る、暗殺者はナイフを2本持ち、片方を投げてきた
「おっと」
と言いながらハルは剣で弾くが、さらに次のナイフが飛んでくる、弾いても次のナイフが飛んでくるため、ナイフの雨は止まらない
「どっから出してんだよ!」
距離を詰めると、彼女の高速移動から放たれるナイフが飛んでくる、前後左右、全ての方向からナイフが飛んできていて、さすがに全部交わして弾くことが出来ない。
ナイフが足を掠める、血が流れ出すが、ワイバーンと戦った時に比べれば気にならない
(毒は仕込まれてないか)
ナイフを弾き、避け続けながら目を凝らす、だんだんと彼女の移動が見えるようになってくる
「次は こっちだな!」
そう言いながらハルは左に飛ぶ、その前に暗殺者が現れる、暗殺者は焦って逃げようと後ろを向くが、それをハルは狙っていた
「俺の狙いは最初からこっちだ!」
そう言いながらハルは剣を横に振る、暗殺者のマントが切れる
「あっ……」
そのままハルは背中を蹴り、民家に激突する、確実に骨を1本折った感覚がした。
そのままその場に倒れる暗殺者を踏みつけ、尋問を始める
「お前 ナイフ投げる時1回1回マントに手入れてから投げてるから 複製の元がそこなのはバレバレ あと毒はさすがに複製できないみたいだな」
そう言いながら顔を隠すフードを取る。
フードの下から女が出てきた
「クソ! なんであの1級がいんだよ!」
「なんでショウの事を知ってる?」
そう言いながら踏みつけてる足に力を入れる
「痛い!痛い!痛い!」
「とりあえず早く話せ 痛くないようにはしてやるから」
「アタシが受けた1級試験に合格したのはあいつなんだよ! その時邪魔されたのがあの王やってるやつ!」
「妨害の恨みで暗殺か」
そう言いながらハルは彼女に縄をかける。
一時の静寂が訪れる、だがその静寂をかき消したのは……
「申し訳ありません」
彼女は泣きながら言った
「お前 誰に謝ってる……」
ハルは最悪の予感がする
「まさか こいつは囮か!?」
護衛はこれで終わりではなかった。
どうもC1elです
まずは第11話をお読み頂きありがとうございます
前書きを上手く書けるようになりたいです
C1elでした!




