白撃竜とのレベル差約120②
(この竜を倒すには、まずあの魔法陣から射出される白いレーザーを何とかしないとな。)
シグは、一発で自分を仕留めた恐怖の白いレーザーの対策を考えた。
白いレーザーは、コンマ1,2秒という、音速くらいのスピードなため躱すことも出来ず、たとえ木に隠れたとしても木を貫通するため本当に対策のしようがなかった。
このレーザーをどうにかしようを考えている間に、白いレーザーに瞬く間に殺られ、初心者応援機能である10のライフのうち2を失い、最初のと合わせて残りライフ7になった。
ただシグは、そのライフ2つを失ったことよって1つの可能性を見つけた。
(あのレーザー、魔法陣が出てから1秒後に射出されている。もし銃弾を当てて魔法陣を消せるとしたら??)
そう仮説を立てたシグだったが、この仮説があっていたとしても難点がひとつあった。
(1秒……。)
魔法陣が発動されるのは、竜の周りどこかだった。
今までは、1回目は、竜の顔の左上。2回目は、竜の顔の前。3回目は、竜の左翼の真ん中。
魔法陣がどこで出現するのか分からないということは、1秒の間にどこかで発動される魔法陣にエイムを合わせて撃つという、高度な射撃が求められる。
(このゲームの魔法銃の弾速は、実銃より少し遅くて約毎秒200メートル。ってことは、ここから竜が50mだから銃弾到達まで約0.25秒。俺が魔法陣にエイムを合わせて撃つ時間は0.75秒ということか。)
シグは、頭でイメージをした。
……。
……。
(あれ?俺ならできるくないか……。)
(久しぶりに腕がなるな。やろうか。)
シグは、竜の前に棒立ちして、魔法陣が出現する瞬間を待った。
「来い!!」
【魔物の森】にシグの気合いに満ちた声が広がる。
そして、竜の左翼の上あたりに魔法陣が出現する。
出現したと同時に、シグの薄く輝く紫の右目は、魔法陣の方へ反応する。
それと同時に、銃を持つ右手も、向きと角度を変えて左翼の上辺りに標準を合わせた。
この時、魔法陣が出現してからコンマ5秒。
―――バン―――
魔法陣が出現してから約コンマ9秒。魔法陣は銃弾との接触によって消滅した。
シグの仮説は正しかった。
そう。このゲームは、魔法発動の際に出現、発動される魔法陣が阻害された場合魔法発動が出来なくなるのである。
その後同じ要領で、魔法陣が出ては消し、出ては消しを繰り返していたシグであった。
レーザーは防げているはものの、レーザー射出の魔法陣が出ていない時に銃撃を竜にしているはものの一向にHPバーが減らない。
(ダメだ。全然HP減らない。)
シグは一生懸命に、約50ものレーザー射出の魔法陣を消して、竜に対して300程度の銃撃を与えていたが、竜のHPバーはやっと4分の1減ったくらいだった。
だんだんと作業ゲーになってきた戦い方にシグは呆れを抱いてた。
一撃射撃は、ホーンウルフとの連戦においてMPを0にしたため元々使うことが出来ない。
しかし、約20分たった頃だった。
レーザーの魔法陣を出すという1つの攻撃パターンしか無かった竜に変化が訪れた。
(まじか、魔法陣が4つ連続で出現した?!?!)
魔法陣が1秒ごとに4つ連続で出現したのである。
咄嗟に対応しようとしたシグだったが、いきなりの攻撃パターンを対応しきれず、1つの魔法陣しか消すことが出来なかった。
残りの3つの魔法陣からレーザーがシグを目掛けて射出された。
放たれた3つのレーザーは、シグを貫く。
シグは赤い光になって消えて、再度同じ場所にリスポーンをした。
(警戒を怠った……。完全に自分のミスだ。)
シグは、作業ゲーになったと思い込んでいた自分の過去に対して反省をする。
(ただ、4つ魔法陣が連続で出現するとは思ってもいなかった。さすがに4つ連続で撃ち抜くのは、俺でも無理なんじゃないか?)
本来ポジティブなシグがネガティブな思考をしていると、再度魔法陣が4連続で出現した。
―――バン―――
―――バン―――
―――バン―――
―――バン―――
(案外いけるな。さすが俺だ。やるじゃん。銃の腕なまってると思ったけど、そうでも無かった。)
心の中で自画自賛をしているシグであったが、『isekai』運営などからしたらこのプレイは一種のチート、バグと言っても過言では無いくらいのプレイ技術だった。




