終結
150人をキルした化け物なシグを倒したことによって、守っているプレイヤーは全員歓喜した。
「おい!あいつを倒したぞ!!」
「よっしゃあああ!!逆転あるんじゃないか?どうせこいつ以外強いやつはいないだろ??あとはそこのお嬢ちゃん倒して、ツィー・ツィー倒して終わりだな。」
しかし、歓喜で溢れた守りの陣営の中に2人、喜べない者がいた。
「待て、お前らそのお嬢ちゃんをあなどるな。そいつはやばい。正直シグ・ザウエルよりやばい説がある。」
「何言ってんだよアカネ。そいつのテイムモンスター見てみろよ。イヴニャーだぞ??あのザコキャラの。」
「いや、本気で侮るな。あのイヴニャーは異常だ。」
「マヒまで、何があったんだよ。」
普通なら序盤に出てくるいわゆるザコキャラであるイヴニャーを見て弱いと語る盾使いは、先程までそのイヴニャーと戦っていたヒマ・ジョウタイとアカネ・スカーレットに口を挟まれた。
そんな中、その会話を聞いていたクロエの脳に血が上っていた。
(私に20人くらい倒すことできるのかな??でもあのイヴニャー馬鹿にした人は倒さないとな……。)
怒っている雰囲気を醸し出しながら若干笑顔のお嬢ちゃんに盾使いは殺気を感じた。
「イヴちゃん、龍神の逆鱗」
クロエは殺気をはなちながら、大量のMPを消費して魔法を発動した。
その魔法はクロエの頭上に魔法陣を起動させて1本の剣を召喚した。
それを見ていた盾使いの男はふと思った。
「なんだっけあの剣、どこかで……。」
クロエの頭上から生まれた人では持てないような巨大な剣を見て記憶が詰まる頭をフル回転させる。
「あっ!!あれはもしかして、レフティアの魔法なんじゃないか??確かレフティアと戦った時あんな剣を口にくわえてた気がする……。お前らシールド系の魔法で固めろ!!あれはやばい魔法だ!!」
盾使いの咄嗟の回想により、クリスタルを守る20人は自分たちを障壁系の魔法で固めた。
「エターナルバリア」
「ストーンシールド」
「バスターシールド」
「防御力強化 」
「守護者の監視」
バリアを貼る魔法を持っているプレイヤーがバリアを貼る中、イヴニャーを馬鹿にした盾使いだけは、持っている盾を地面に押えて魔法を発動した。
すると、その盾は光を纏って大きい盾になった。
そしてその盾を頭上に振り上げた。
「来るぞ!!」
盾使いがそう叫んだ瞬間空中を浮遊している剣は、刃を上向きにブレーキをかけ、ドラゴンのような演出を見せた。
その演出とともに辺り一帯に、暴風、落雷、燃焼、豪雨、地震が起こる。
尋常ではないダメージが約20人のプレイヤー達を襲う。
いままで戦闘がなくHPへのダメージが0だったこともあって、粒子になるものは出なかったが、ほとんどのプレイヤーがHPが残りわずかまで追い込まれた。
しかしこの魔法によって1発で倒せると思い、クロエは自身の魔力の4分の3という大量のMPを使って放った魔法だったが、倒せなかったために失敗だった。
(さすが、ランク10のプレイヤーってところ。すごいな……。)
あまり勝利にこだわっていないクロエがそんなことを思っていた時、守りの陣形は完全に崩れていた。
本来ならクリスタルを囲んで守っていたものの、シグとクロエの強襲にあい、シグとクロエが来た方角だけを守っていたのだ。
そのため、後方に20人もろとも全く気づいていなかった。
「超高速移動」
1人の男がクリスタルの半径5メートル以内に入って、剣を振り上げる。
パリンッ
振り上げられた剣の刃がクリスタルを真っ二つにした瞬間だった。