イチヤ・カイの3日間②
電気を帯びた8個のホーミング弾は、16個のホーミング弾と逆の方向から飛んできたためイチヤは挟み撃ちになった。
(この状況を打開できる方法はなにか無いか?)
イチヤは、段々と近づいてくるホーミング弾に考えている猶予もなかった。
そして、電気を帯びた1個のホーミング弾にあたってしまう。
『GAME OVER』という文字がウィンドウに表示されてストーリークエスト失敗となった。
(クッソ。負けた……。)
イチヤは、空を見上げて落ち込んだ。
(俺に、一瞬においての適応力があれば……。俺に、奇想天外なプレイングの思考力があれば……。)
「はァァ、、、」
願っても仕方が無いと、口をかっぽり開けてため息をつく。
現実よりも遥かに綺麗な空を見ながら、イチヤは考えた。
(俺は、どちらかと言うと育成ゲームやSLGみたいなじっくり考えて戦略をたてたり、数字や情報でキャラを育てるのが得意。
が、このゲームに必要な判断力とか適応能力、プレイング技術が明らかに人に劣ってる俺は、このゲームで勝ち上がっていくにはきつい。でも、戦闘が苦手とかバトル系のゲームが苦手な訳では無い。どうすれば、、、)
(そうか、ホーミング弾か。)
イチヤは、先程戦っていたホーミング弾を思い出した。
(ホーミング系の自分と別に戦ってくれる遊撃系魔法を使えば、自分に考える猶予ができる。というかもう槍すら飛ばしてしまえば……。)
イチヤに、理想像が生まれた瞬間だった。
イチヤは、1度立ち直り再度ストーリークエストに挑戦することにした。
なぜなら、クエストの報酬は理想像にあるホーミング系の魔法だと予想したからである。
ただ、再度やってもクリアはできなかった。
それでも、めげずにイチヤは再挑戦を繰り返す。
クリア出来た時には、もう深夜4時だった。
この頃にはホーミング弾の軌道変更のタイミングや周りの地形など全てを覚えていた。
結果、98度目の挑戦だった。
イチヤは、98度目の挑戦でクリアという達成感を胸に心で叫ぶ。
(おっっっしゃゃゃあああ!!!)
報酬は、予想した通りホーミング系の魔法とスキルだった。
スキル《誘導追撃の巧者》―――ホーミングを巧みに操る者のスキル。ホーミングの追撃範囲が1.5倍になり、ホーミングの攻撃力が2倍になる。
魔法《ホーミング弾T16》―――通常のホーミング弾を16個、対象に誘導追撃させる。
魔法《ホーミング弾Tボルト8》―――通常のホーミング弾より格段と能力が上がった電化ホーミング弾を8個、対象に誘導追撃させる。当たった場合、ダメージの他に、低確率で麻痺させることが出来る。
(さっきの魔法が使えるわけか、なら強くなれる。次はネットで調べて追撃系の魔法やスキルを集めるか。いや、1回寝よう。)
眠くなってきたイチヤは1度ゲームをログアウトして寝ることにした。
ウィンドウを閉じようとすると、スキルと魔法を得ましたというウィンドウの他にもうひとつウィンドウがあった。
《ストーリークエスト2部 エルフ族の集落 レベル205》
(ストーリークエストの続きか。エルフさん達申し訳ない。眠気には勝てないわ。)
イチヤはその場で、ログアウトをして、ベッドに潜った。
そして、次の日もイチヤは『isekai』をプレイしていた。
かき集めた理想像に必要な魔法スキルの情報をもとに、イチヤは『isekai』という世界を走り回った。
―――【始まりの街ヴェネラ】――――
「この傭兵を倒せば、報酬で《追尾の双包丁》をゲットできる。」
太陽の光を反射する銀色の鉄甲冑を身につけるNPCの傭兵を前にイチヤは独り言を発した。
小さな闘技場のような場所で、傭兵とイチヤは武器を構える。
「いざ!!」
傭兵はそういって、イチヤに剣を構えて突っ込んだ。
「使ってみるか……。」
ホーミング弾T16
イチヤは魔法を発動して、ホーミング弾を傭兵に向かって放った。
傭兵の方へ向かっていくホーミング弾により、傭兵は1度後退する。
そして傭兵は剣を大きく構えた。
インパクトスラッシュ
傭兵は向かってくるホーミング弾16個に向かって、大きくオーラを纏った剣を振るった。
それによって消されたホーミング弾だったが、イチヤの狙いはそこだった。
「縮地からの3段突き!!」
《縮地》という相手に一瞬で詰める魔法を使い距離を詰めて、《三段突き》という槍を前に3回突く魔法を放った。
ホーミング弾に意識を向けていたNPCの傭兵は、その《三段突き》をそのまま食らってしまい一発で倒されてしまった。
「おっし、やっぱホーミング弾使いやすいな。俺の時間が生まれる!!」
イチヤは、少しずつ強くなっていることを実感し昨日のような劣等感は薄れてきた。
―――《常闇の墓場》―――
ネットで調べてる中見つけた情報をもとに次に、【常闇の墓場】に訪れた。
【常闇の墓場】は、名前の通り闇に包まれたように薄暗い墓場で幽霊が鎌を持ったようなモンスターがウロウロしていた。
イチヤはその幽霊の察知範囲をくぐり抜けてボスのいる最奥に向かった。
(ここのボスは、経験値が全然出ないゴミボスって有名だけど、技を見る感じもしかしたら……。)
イチヤの理想像は、追撃系の魔法で敵を凌駕し、その間に生まれる絶対的自己時間を作ることだった。
そのためもはや自分の武器である槍も追撃させようと考えたのである。
「こいつがボスか。」
地面に刺さる大きな十字架の前に白い幽霊のようなボスが佇んでいた。
イチヤは戦闘態勢に入った。
幽霊は不愉快な奇声をイチヤに向かって発して、闇を纏った鎌を一夜に向かって飛ばした。
(これだ!!この技が欲しい。)
イチヤの狙いはその技だった。
このゲームでのスキル魔法獲得は、そのストーリークエスト、ボス、モンスターが、持っているスキル魔法が獲得できることが多いために、イチヤはその鎌を飛ばすような魔法が報酬として獲得できると思ったのである。
鎌は、自由自在に動きイチヤを攻撃した。
闇を纏っているからか、攻撃力はおそらく数段と上がっていた。
槍で必死に浮遊している鎌の連撃を防ぐイチヤだったが、一撃一撃が重かった。
(マジでこの技、魔法として獲得できんかな?そしたら俺の理想像に当てはまるんだけどな。とりあえず倒さないとな。)
―――ホーミング弾Tボルト8
―――追尾の双包丁
イチヤは、2つの魔法陣を連続で発動する。
攻撃されている中、イチヤはボスである幽霊に向かって8つの電化を帯びたホーミング弾と2つのナイフを放った。
お互い直接的には交わらない追撃魔法での攻撃をする交戦状態に入った。
しかし、この直接的に交わらない交戦状態を予想していたイチヤには秘策があった。
イチヤはアイテムボックスから1つのアイテムを取り出す。
「《解放怪力の秘薬》使いますか。」
イチヤは、マーケットにおいて3万リアという高価で買った、包みに包んである秘薬を飲んだ。
効果は、主に槍の基本攻撃の火力源となるSTR(筋力)のステータスが30秒間5倍という強力な物だった。
「やっべなんかみなぎった感えぐい。」
喉から湧いてくる何かを感じ、イチヤは震えた。
そしてその力の元、浮遊しながら振り下ろされる鎌の刃を槍で弾き返したところ、その鎌は弾き飛ぶ。
「おいおい、まじ?エグすぎんか?」
ただし30秒しかないので驚いている暇がなく、イチヤは縮地の魔法で幽霊に近づき槍で攻撃した。
ホーミング弾とナイフの攻撃もあってか、難無く5、6回の突きで倒すことが出来た。
報酬は、これもまた予想通りだった。
スキル《全範囲浮遊撃》―――持っている武器でオールレンジ攻撃ができる。この場合の攻撃力は通常攻撃の2倍になる。
スキル《亡霊の加護》―――超低確率で魔法による攻撃を100パーセントカットする。
(オールレンジ攻撃か、マジで狙い通りだな。もう一個の方はまぁあってもいいくらいか。)
イチヤの大事な3日間は、寝不足への前進と共に、理想像へも1歩前進した。
そして、目の下にはクマが湧き、強くなったために自信が湧いた。
イチヤ・カイ
Lv.139 槍
スキル 《中級槍使い》、《速度槍の心得》、《両手持ち》、《敏捷怪力》、《誘導追撃の巧者》、《全範囲浮遊撃》、《亡霊の加護》
魔法 《三段突き》、《縮地》、《旋風斬り》、《ホーミング弾T16》、《ホーミング弾Tボルト8》、《追尾の双包丁》
HP―――13000 MP―――1800
ステータス
STR―――67
AGI―――167
INT―――91
VIT―――88
DEX―――140
DEF―――33
装備
《武人の軽装》
《マジックリングIII》
《貫矛の槍》
イチヤは、もはや戦うのをやめて全てを飛ばして戦いますm(_ _)m
これからシグ達のように規格外な奇行に走っていくイチヤ君をご覧あれ、、、




