ギルド内戦争勃発?
ギルドホームを購入して、少し経つとギルドホーム内は家具で溢れてきた。
【繁栄の都市エディン・エレン】は大きな街とだけあり、家具の店がNPCのゲーム仕様の店とプレイヤーが経営する店を合わせて100店舗程度存在しているため、シグ達は自由に気に入った家具を買い込んだ。
そのため……。
大きな会議ができそうな部屋。
その部屋は、多様なものでゴチャゴチャだった。
レイアウトもその部屋のイメージもゴチャゴチャなその部屋には、大きな銀色の机の周りに6つの席が置いてある。
その席にギルドメンバーは全員集合していた。
「んじゃこれより第1回ギルド会議を始めるゥ……。」
シグは、誕生日席のような席に座らせられて、ぼやーっとカタゴトでそう仕切った。
なぜなら、ギルドマスターとしての仕事を真っ当しろということで、ツィー・ツィーに言わせられたからである。
「じゃあ、最初のギルド会議の議題だが……。ちょいと皆さん、周りを見てくれないか?」
仕切る気のないシグを見てツィー・ツィーは、シグに言えと仕込んでいた議題を自ら発言した。
「なんかあるの??」
周りを見渡した日和は、ツィー・ツィーが何を言いたいか分からずに対して平然と質問を質問で返した。
わかってくれない日和にツィー・ツィーは、呆れる。
「はァァーー、あのなー……。イメージもテーマも合わない家具が溢れかえりすぎてんだよ。まず、あのラックにかかってる10本くらいのモデルガン、シグのだろ??自分の部屋に飾れや。次にあのイヴニャーのぬいぐるみとかポスターとか、イヴニャー好きなのはわかったから自分の部屋に飾ってくれ、クロエちゃん。ナイトの甲冑かっこいいけど3体もいらんだろ、誰かわからんが。あとそのでっかい等身大オークあんなの要らないだろ。ダメだ、言いたいことが多すぎる。」
ツィー・ツィーは、部屋にある不要物に指をさして指摘していった。
20畳くらいある部屋は、寝れる場所がないくらい家具で溢れかえっている。
「等身大オークはいるわよ、可愛いじゃん。確かに大きいけど。」
―――日和
「銃は別にかっこいいから良くね?」
―――シグ
「ナイトってカッケーじゃん?」
―――レイン
「イヴニャーは悪くない……。」
―――クロエ
一斉に答えが返ってくる。
ツィー・ツィーは自己中すぎるギルドメンバーに頭を抱える。
唯一普通であるイチヤに助けの目線を送るが、助けなんて無い。むしろ知らんという顔をしている。
「分かった。とりあえずツィー・ツィーは家具を減らしたいんだろ?ゴチャゴチャしてるから。」
「シグ……。分かってくれたか??」
「うん分かったよ。ならモデルガン置いてるガンラック以外ならいいよ、減らしても。」
「ごめん、シグ。ちょっと期待した俺が悪かった。」
「ツィー・ツィーさん。私提案があります。」
「おっ、クロエちゃん、どんな提案?」
「この部屋を全部イヴニャーで統一するっていうのはどうですか?」
「……。えっと、クロエちゃん……。ネタでもなさそうだね。」
その後長らく言い争った結果、日和の案に全員賛成したことによって言い争いは終結した。
日和の解決案はこうだった。
「分かったなら、3、4階の自分の部屋は自分が好きにレイアウトしていいとして。この会議室、玄関、庭園、1階の大広間、倉庫部屋、隣の小さな部屋を、最近実装されたカードゲームで勝った順で選んでいって、その人担当となって好きにレイアウトしていいって言うのでどう?」
この案を採用した事によって6人の間でトランプによるカードゲーム戦争が勃発した。
さっきまで言い争いをしていた会議室に緊張感が走る。
全員、家具を買い込みすぎて置く場所が無いために必死なのである。
勝負は1回きりのババ抜きだった。
2枚、2枚と手札を無くしていく6人だったが一番最初に手元にカードが無くなったのは、白髪の少女クロエだった。
「やったー。私会議室で。」
クロエが会議室担当になった途端に、会議室がイヴニャーに占領されると思い残りの5人は武者震いがした。
2位抜けはレインで、大広間。3位抜けはシグで、庭園。4位抜けは日和で、玄関。5位抜けはイチヤで、倉庫部屋。6位抜けはツィー・ツィーで隣の小さな部屋に決まった。
ツィー・ツィーは負けたのである。
気づいた時はすでに、会議室には画像やプリントされている家具を含めてイヴニャーが大量発生。玄関の吹き抜けには、等身大オークの置物。庭園のハンモックの周りには、モデルガンが置かれ、大広間は甲冑やロボットが置かれていた。
「このギルド、疲れる。」
ツィー・ツィーはそうぼそっとつぶやいた。