チャットにて
シグのことは、現実では本名の詩草冴斗で表記します!!
喫茶店でツィー・ツィーと別れたあとシグは、11時だったことからログアウトをした。
ベッドで、体を寝かせてフルダイブをしているシグ(詩草冴斗)は、ベッドから体を起こした。
(髪が黒い……。)
最近『isekai』をしすぎて、ベッドの横に置いてある鏡を見た時に、ゲーム内で設定した紫髪ではないことが違和感でしかない。
毎日のルーティンである12時寝6時30分起きに間に合うように歯磨きや次の日の学校の準備を終わらせる。
そして、寝る前にスマートフォンで『isekai』の公式アプリである《現実世界でisekaiスローライフ》を確認した。
『isekai』公式アプリでは、『isekai』のイベント情報などを見れたり、『isekai』のアカウントでログインすることによってその時のステータスや持ってるアイテムの確認や、フレンドとのチャット、電話ができる。
フレンドのチャットを確認すると、タイミング良くイチヤからチャットが来る。
『大会シグ目立ってたらしいな。俺も結構いい感じだったわ。てかすまん、大会終わって会おうと思ったんだけど、宿題したかったから抜けたわ。』
冴斗がタイミング良く見た事により既読マークがついたため、イチヤは驚く。
『既読はや笑まだやってるん?それともアプリ?』
『アプリ 俺もやめたとこ。』
『大会、イチヤは何位だった?』
『568位タイ。俺にしてはできた方だわ。11キルもしたし。まぁ安定でシグには叶わないけど、』
『俺も59位だったし、そんなんでもないけどな。』
イチヤは、シグが自分の順位の凄さを理解してなさそうなことは承知の上だった。
『あっ!!』
冴斗は、いきなりあることを思い出して、そうチャットに書き込んだ。
『どした?』
『イチヤ!!ギルド作ろうと思ってんだけど、入らないか?』
その後、冴斗は5分程度に渡って、事の内容を話した。
『ツィー・ツィーさんが一緒に作ろうって言ってきて、ギルドメンバーを探してたと。入るに決まってんじゃん。どこのギルド入ろうか迷ってたんだよ。でもそっちの方が楽しそう。』
冴斗がその手の情報に疎いだけであってイチヤは知っていた。
ツィー・ツィーという人物の凄さを。
イチヤとギルド設立について盛り上がっていると、冴斗の元にもう1件のチャットが届いた。
送り主は、マーケットで出会った日和・ヒヨリだ。
『シグ・ザウエル、君すごいね。』
チャット内容を確認した、冴斗は、強引にもイチヤとの盛り上がりを終わらせて、日和のチャットを返した。
なぜなら、ルーティンを守るためだ。
とっくに12時の針を越した時計は冴斗を焦らせる。
本当なら寝ればいいのだが、冴斗の性格上、人のチャットを返さないと寝れないのだ。
『いきなりどした?』
『ライブで《俺バト》見てたら君が写ってて【陰陽旅団】のツィー・ツィー倒したじゃん。すごい!』
『ありがとう!!』
心の中で、ライブって何?と思うシグだったが、褒められたことに素直に喜んだ。
あんまり、女の子とのチャットが得意では無い冴斗は少し緊張する。
『あっ、そうだ。それで思ったんだけどさ。あの銃やるよ。シグ・ザウエルに。』
しかしこのチャットで、冴斗の日和・ヒヨリに対しての緊張と12時を超えたことへの焦りは、全て消えた。
『え?????まじ????????』
一目惚れした銃を撃つことが出来るという嬉しさのあまりに、はてなマークを連打する。
『うん。お前みたいな銃うまいやつが使った方がいいかなって……。私が持ってるよりね。』
『まじか、ほんとありがとう。』
冴斗の頭にあの時一目惚れした漆黒の銃が移る。
『じゃあ明日午後6時に【繁栄の都市エディン・エレン】の噴水前で会おう!』
『分かった!!』