大会結果
フードの男は、シグの射撃技術に圧倒され、全ての双剣による攻撃は弾かれていた。
シグは双剣による攻撃を防ぎながら、ツィー・ツィーにダメージを与えていたために、ツィー・ツィーは残りHPが1000を下回った。
そして交戦状態にある中、ツィー・ツィーはシグに聞いた。
「お前名前は?あとレベルは?」
「シグ・ザウエル、72……。」
シグは全神経を射撃1発1発に集中させているため、カタゴトで答えた。
「72かよ……。」
204レベルであるツィー・ツィーは、72レベルに圧倒されていることに、プライドを傷つけられる。
何せ、自分より130レベル低い敵に負けようとしているからだ。
それから間も無くツィー・ツィーは、HPが800、500と減っていき0に至った。
そして、白い粒子となって消えた。
戦闘においての興奮と、マラソンを走りきったあとのような疲労が頭に昇ってきたシグは、大地にぶっ倒れた。
現実よりも綺麗に感じる空を見ながら呼吸を整える。
(やっと、終わった……。)
シグの着る《白撃の羽衣》の1部である白い羽織の左右を止める紐は、固く結んでいたのに戦いの末解けていた。
「勝った。」
呼吸を整えてから改めて勝ったということを再認識した。
シグは、かっこよく立ち上がってガッツポーズをする。
チャット欄は、いずれもシグに焦点を置いていた。
『エグすぎいいいいいwwwwwww』
『えぐすぎたげんぱく』
『ツィー・ツィー負けた泣』
『今回波乱だなw』
『で、シグ・ザウエルの情報求む!!』
『ギルド入ってないらしいよ』
『誘おっかな?』
『ぜひ私たちのところに……。』
『いやワイらのとこに来てくれ!!!!』
8時から10時という2時間というタイムリミットで設定された《俺バト》も9時21分となり、終盤に入った。
終盤になるとだんだんプレイヤーも減っていき、そこら辺を走り回るだけではプレイヤーを見つけられなくなった。
半分である9時には、その時のランキングが発表された。
1位 シャーロット・シャーロック 721キル Cブロック
2位 フォルテ・エチュード 518キル Dブロック
3位 風車・ファイヤーボール 317キル Hブロック
4位 ライフ・ライブ 280キル Jブロック
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59位 シグ・ザウエル 77キル Aブロック
一見59位という微妙な順位と思うかもしれないが、この順位は全体的に見ると上位なのだ。
初めて2週間足らず、そしてレベルは72レベル。武器は初期装備。なのに5万人の中で59位というランキングは計り知れない程凄かった。
少なくとも上位は範囲的大魔法を習得している上位ランカーしか入れないのに対して、100位以内に入っているのは、凄いという言葉じゃ物足りないくらい凄いのだ。
その後もシグはキルを取ろうとするのだが、プレイヤーを見つけられず初めての大会は終了した。
大会が終了すると全プレイヤー、最初に大会の説明が行われた空間に自動でテレポートした。
『お疲れ様でしたーーー。第14回俺バト終了でーーす。いやー良い大会でした。面白かったですねー。』
『はい!!面白かったです。』
最初のルール説明も行っていた某有名アイチューバーとゲームマスターがそう話す。
そして、ランキングが表示される。
ランキングは9時に発表されたものと比較的変わらず、シグは59位だった。
(59位か……。)
シグは1位以外はゴミという性格なために、シグは悔しさを抱く。
むしろシグは辛かった。
このレベルで59位というのはもはや1位をとるよりすごいという考えをシグは知らないのだ。
シグの元には、100位以内ランクインの報酬である100万リアと、《俺バト》TOP100と刻まれた称号プレートが魔法陣から召喚された。
その後、PvP闘技場においてTOP10に輝いたプレイヤーの表彰式やインタビュー、そして後夜祭が行われたが、シグはそこに参加せずに、【反映の都市エディン・エレン】の小さな通りを放浪としていた。
すると、見覚えのあるフードがシグの視界に移る。
「あっ……。」
それはフードを被っていた速いやつだった。
「あっ!!シグ・ザウエル!!」
声をかけてきたシグに気づき、ツィー・ツィーは声を上げた。
ツィー・ツィーはフードを下ろしていた。
うっすらと見えていた顔は、黒髪の若い男だった。
シグとツィー・ツィーはどちらも話したいことがあったらしく、近くにあった喫茶店に入った。