第97話 イオナの街に入ろう
日付け設定が間違ってました。すみません。
仇討ち騒動があった後、俺達はアシルさんらには同行せず、先行することにした。
そして、人がいないところで、道を逸れ、人がいないところで家を出して休むことにする。
「仇討ちなんて初めて見たな。」
「ええ、酒場で吟遊詩人の話で聞いたりはしましたが、実際見てみるとなんかですね。」
リアとミサが今日の出来事について話をしていた。
「そうだな。短い間とは言え、両者を知っていたからな。」
「ですよねぇ。」
「でもよ。ディート、あいつが仕事のことでぼろを出さなかったら、どうするつもりだったんだ?」
リアはディートにもそう話を振る。
確かにあそこは、ディートの知識もあって、うまく乗り切られたけど、あれがなかったら、どうするつもりだったのだろう。
「あそこは例え、うまく乗り切られても良かったのですよ。切り札を持っていたので、ただ、ここで使うのもどうかと思ってもいましたから、いちおう、いろいろと責めて見て、あれでわかったので、よかったです。」
「ふーん。そんなもんがあったのか?」
「ねぇ。」
ディートの言葉を聞いて、リアとミサ半信半疑でそう反応する。
「なんか奥の手があったようだが、それがなんだか教えて貰えるか?」
「ね。何か気になるよね。」
「申し訳ありません。仲間といえど、今回使わなかったのでそれを明らかにするのは控えさせていただきます。」
ディートはそう言って、二人に頭を下げる。
「ちぇ、なんだよ。パルマは知っているのか?」
「ええ、私も商会長から渡された時、立ち会ってましたので。」
「なんか、話からして、魔道具か何かの類のようだな。まぁいいや。」
リアはパルマの言葉を聞いて、答えがそれとなく予想が付いたようで、興味が無くなったのかそう言った。
「でも、あそこであのまま、あの兄弟が責められずに良かったです。」
お茶を入れ終わったティアが皆に振舞ながら、そう言う。
「ああ、ありがとう。だが、仇討ちなんてあまりいい気がしないな。」
俺はお茶を受け取りながら、そんな感想を言う。
「ギリーさんは仇討ちは気に入りませんか?」
「気に入らないとかではなく、今回は仇が見つかったけど、仇を探して苦労していつまでも彷徨うとか、考えるとなんか無駄な気がしてな。」
ティアの問いかけに、俺はそう答える。
「それは、親の仇討ちという建前を使って、貴族が自領で起こった騒動に決着をつけるための制度だから、こればかりは無くならないわよ。」
俺の答えに、ディートがそう言ってきた。
なるほど、他領に逃げた罪人を成敗するための制度なのか。
確かに騎士や貴族階級の関係者が仇討ちできる対象だから、多くは領主に対して起こした事件を解決する手段になるのか。
あの兄弟の父も領主の馬車を護衛していた人物と言っていたからな。
「なるほど、そう言ったこともあるのか。」
俺はそれを聞いて納得して、そう答える。
次の日にまた、俺達はイオナに向けて馬車を進める。
その後は特にトラブルもなく、順調に進めた。
「予定では明日、イオナに着くのか。」
俺は騎乗で、隣を並走しているミサに声を掛ける。
「うん、そのはずだね。私達の村から見える森がもう見えるからね。」
「ミサ達の村はもう近いのか?」
「どうだろう。たぶん、イオナに向かうのと同じくらいかかるのかな。」
「ミサもリアも村に立ち寄ったりしなくてもいいのか?」
「あー、私もリアも半ば追い出されて、村を出た身だからね。あまり帰ろうという気はないかな。」
ミサは寂しそうにそう言う。
そう言えば、村で結婚相手がいないので食い扶持減らしで街に出て来たのだったな。
でも、そこまで村に戻りにくい雰囲気なのか。
そう考えると、食い扶持減らしがあったり、仇討ちとか考えても、やっぱり生きづらい世界なんだな。
やっぱり、この世界で生きていくは、その領地の貴族と対等に協力関係を築いて行けるような間柄になれるような所を確保したいよな。
そんなことを考えながら、交代をしながら、途中騎馬、馬車と荷台の場所を交換して、イオナへと向かう。
夕刻頃には、平地に位置するイオナの街が遠目に見えて来た。
さすがにまだ距離はあるので、このまま進んでもイオナの街に到着するのは夜遅くになってしまうので、途中で一泊する。
「かなり街道から離れるな。」
「まぁ、町の近くだし、見晴らしがきくからなるべく目立たない所を探さないとだからな。」
リアの言葉に俺はそう答えて、馬を進める。
そして、少しくぼんだ土地を見つけ、そこを整地し、家を出し、今日はここで一泊する。
いよいよ明日はイオナだ。
翌朝、早めに出立し、イオナへと向かう。
いろいろあって、雪どけに合わせてイオナに着く予定だったが、すでに初夏になろうとしている。
戻ってからも、冒険者ギルドで盗賊退治の報酬を貰ったり、オーベルマイヤー侯爵家とクライン商会と話をして、エーデルシュタイン公爵領都に店を出す話もしないとだしな。
オーベルシュタイン侯爵とは、取り込まれたくはないのであまり懇意になりたくはないが、こればかりは仕方がないだろう。
その他にも習得もさっさと終わらせよう。
それから、今度はどこに行くか決めないとな。
まぁ、とにかく街に入ったら、今まで使っていた宿をとれればいいな。
ただ、家で作っていた料理の腕が上がったので、味に関しては、宿より自分達の作った料理の方が上になったから、街にいる期間がますます短くなったりしないか?
そんなことを考えて進んでいると、イオナの街の正門が正面に見えて来た。
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