表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/146

第92話 頼み事を頼まれよう

 副管理人のアーセルさんから回答を貰い、さらに回答への再質問を貰った次の日もイオナの街へ馬車を進める。


 「この辺は大きな街はないのか?」


 俺は馬車の中で休憩中にディートに訪ねた。


 「そうですね。もしお寄りになるでしたら、少し回り道する必要がありますわ。何かご用でもありますの?」


 「用というほどの用でもないが、もうすぐ習得が終わりそうだろ。」


 「ええ、そうですわね。」


 「なら、イオナの街に入ると、また習得の機会が暫くなさそうだろ。なので、王都側とは逆に側に街があればそっちに逸れて習得が出来ればと思ってだな。」


 「一応、かなり目的地から逸れるけどそちら側にもありますわ。ただ、そちら側ですと往復でおそらく正味五日ほど余計にかかることになりますわ。」


 「そうなると微妙だなー。イオナからでもそれ位あれば、習得できる狩場に辿り着けるしな。」


 「ですわね。どうします?」


 「うん、やめておくか。そこで情報収集したり、移動したりもしなきゃならないからな。」


 一から情報を集めるとなるといろいろ大変だしな。

 新しい街を見るという楽しさもあるが、同じ国の近隣の街だそれほど変わり映えもしないだろう。

 そう考え、提案してなんだが、結局真っすぐにイオナの街に向かう事にする。


 「それと、また厄介事に巻き込まれかねませんですものね。」


 ディートは俺を揶揄うようにそう言ったが、厄介事については、みんなで巻揉まれているんだ。

 俺が原因でない可能性もあるぞ。

 そう思うが、声には出さずに、素直に拗ねた顔をしておく。

 女性とは言い合わないで素直に巻かれておくのが、一番だな。

 しばらくすると馬車の御者台のティアから声が掛かる。


 「すみません。前方の街道の右側に休んでいる一団がいるそうです。おそらく馬車が一台らしいのですが、いかがしますか。」


 どうやら索敵スキルを習得しているリアが何かを見つけたようだ。

 俺も探索スキルで確認をする。

 うん、馬と人が三人程か。

 さすがにこの人数で襲撃とかはないだろう。

    

 「休んでいる荷馬車か何かかな?ティアは、リアとミサには一応警戒を緩めずに近づくように伝えてくれ。あと、パルマはティアの警護で御者台に移っておいてくれ。」 


 一応、動かない一団の横を通り過ぎることになるから、最低限の警戒だけしておこうと考え、そう伝える。

 二人は返事をすると、即座に行動に移す。 

 ティアは、手早く騎乗している二人に警戒して、そのまま進むように指示をする。

 パルマは御者台にいるティアの右側にいつでも盾を構えられるように座る。


 馬車の荷台から様子を見ていた俺は、街道の脇に寄せてある馬車を確認した。

 その馬車の下に、一人が潜り込んで、残りの二人がその様子を伺っているようだ。

 どうやら馬車が壊れたようだな。


 リアとミサは、故障した馬車を見つけると、騎馬で先行する。

 先に状況を確認するのだろう。

 これなら、戦闘になることはないだろう。

 後は、外の仲間に任せることにし、俺は顔を引っ込める。

 横で一緒に外を覗き込んでいたディートも、同じく安心したようで、馬車の中に俺と同じように顔を引っ込めた。


 馬車はしばらく進み、先程の馬車が停まっていた辺りで足を止めた。

 うん、呼び止められたのか?

 そう疑問に思っていると、御者台に移ったパルマがこちらに顔を出し話しかけてきた。


 「ギリーさん、ちょっとよろしいでしょうか。こちらに出てきていただけますでしょうか。」


 「ああ、了解した。ちょっと待ってくれ。」


 俺はそう返事をすると、馬車から降りて、外の様子を伺う。

 すると故障した馬車のところにリサとミサが向こうの一人の男性と話をしていた。 


 「どうなさいましたか?」


 俺はそう話しかけながら、そこに向かった。

 パルマとディートも俺の後についてきていた。

 ティアは馬車を少し先に進め、邪魔にならないように道の脇に止めようとしているのだろう。


 「どうも、足止めしてしまい申し訳ありません。私は王都出身の行商人アシルと申します。隣の二人は護衛の冒険者です。実は、馬車の車軸が壊れてしまって、困っていた所なのですよ。」


 アデルさんは、そう短く自己紹介と現状を話してくれた。

 さすがに重量が嵩張る車軸の予備を積んでる馬車はないだろう。

 そうなると、どこか人里で調達するようだな。

 幸い、車軸の長さはこの国では、一頭立てと二頭立ての通常用と4頭立ての大型用に統一されているので、通常用なら予備が大抵の村や町にはあるはずである。


 「車軸ですか。すると近くの村か街で車軸を届けて貰うようですね。」


 「そうなのですが、この辺ですと徒歩で行くと半日ほどかかるので、今日中に戻ってこれないため、車軸を直せないか見てみたのですが完全に折れてしまって途方に暮れていたのですよ。」


 アシルさんは、そう困ったように言ってきた。

 夜、馬車が動かないと、盗賊や野生動物に襲われた際、どうしようもなくなるか。

 それとアシルさんの馬車は一頭立てのそこまで速度の出ない大型の農耕馬が牽いているので、これに騎乗して向かうのはさすがに大変か。

 すると、俺達が近くの街だか村に知らせに行けばいいのかな。


 「なら、俺達が知らせに行けばいいでしょうか?多少はこれは頂きますが。」


 俺はそう言って、お金をが必要だと手で示す。


 「ぜひ、お願いできますか。報酬は銀貨1枚でお願いできますでしょうか。」


 この世界善意で何かやるというのは、騙されるとではと疑う人が多いので、金を要求したが、俺達はさほどお金に困っているわけではないので、それで了承する。

 もっとも、行商人のアシルさんからすれば、銀貨1枚はかなり大きな金額だろう。

 それに車軸の交換にもお金が掛かるだろうし、今回は恐らくどう頑張っても、赤字になってしまうだろう。

 それでも、夜、動けない馬車と一緒に過ごすよりは、よいのだろうけど、そう考えると商売って大変だな。


 お金を受け取ると、俺はアシルさんにこの辺りの一番近い人里を聞く。

 すると、この先に馬車で二時間ほどのところに村があると教えてくれた。

 騎馬でなら、一時間半もかからないだろう。そこから馬車で戻って来ても、修理は何とか出来るだろう。

 そこから、また村に戻るのは厳しいかもしれないけど。

 それと疑うのは悪いが念のためそちらの馬車も、村から戻って来るまで、ここで待機してくれないかと、お願いされた。

 確かに、俺達が持ち逃げしないとも限らないし、疑うのは当然か。

 別に、急ぎの旅でもないで、それを了承する。


 村に向かうのは、男性がいた方が信用されるというのと、何かあった際に一番役立つだろうということで、俺とディートで向かう事になった。

 なんだろ、まだまだ信頼度が足りないのかな。

 俺一人で十分な気もするのだけれど。

 とりあえず、俺達は騎馬に乗り、近くの村を目指すことになった。


 馬を街道に沿って進める。

 今までは街道では多少、早駆けする程度だったが、長時間、早駆けさせると、草原を走らせる以上に結構お尻にくるのがわかった。

 これはきついな。この辺もなんか魔法道具で軽減できないのかな?

 イオナの街に着いたら、聞いてみよう。

 それとこの揺れだと話しながら、馬に乗るというのもできないな。舌を嚙みそうだ。

 そんなことを考えたり、しながら走って、なんとか予定通りに村に着いたのだった。

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ