第91話 副管理人さんと話そう
イオナの街への帰路は順調に進んでいる。
今回のルートでは、魔物が比較的弱いものが多い場所を通るため、魔物の情報等も集めることなく、街道を寄り道することなく進む。
途中にいくつかの商隊や巡回警備の兵士に出会っただけで順調に三日目まで進んだ。
夜は街や村には寄らず、郊外の人里から離れた場所に家を出して休んでいる。
今回は、狩りをするでもないので街道や人里からあまり離れた場所ではないので、家には警報装置があるが、念のため、一階で交代の見張りを行うことにしている。
今日も見張りを変わってから、特に何をするでもなく過ごしている。
うーん、焚き火をくべたりといった作業もないから、かえって暇でだな。
ディートとパルマ、リアとミサ、そして俺で別れて、見張りをしている。
一応、索敵のスキル持ちは別れて、見張りをすることにしている。
索敵があると何かと便利だしね。
当初は、ティアも見張りに入ると言ってきたが、ティアは家の食事以外の清掃等の家事を給仕として行って貰っているため、夜は休んでもらうことにした。
そんな訳で、やることもないので副管理人のアーセルさんから貰ったノートを眺めていた。
毎日、見張りの時間やることがないから、見ているけど相変わらず、俺が書いた文章しか書かれていない。
しかし、返事がないな。忘れられていないだろうな。
もっと質問を書いておくか?でも、あまりいろいろ書き過ぎて、アーセルさんが返事を書くのが面倒になられたら、困るからな。
そんなことを考えていたら、頭の中で声が聞こえた。
『こんばんわ。今、話をしても大丈夫なので、お邪魔するわね。』
『あ、こんばんわ。アーセルさん、忘れられたかと思いましたよ。』
『ギリーさん、これでも早く記入しているんですよ。それにわざわざ時間も遡上して戻ってまで来ているんですから、これが精いっぱいですなのですよ。』
『あー、そっちは時間が進むのがすごく早いのでしたっけ?』
『そーなのよ。それで、上手く時間を戻るのに力を使ってられないので、ちょっとずれてしまうのは許して欲しいのですよ。』
『まぁ、そちらも大変そうなので、いいでしょう。で、返事は書けたのですか?』
『ばっちりなのです。で、今日はこっちにいる時間も取ってあるので、少しの間だけ、特別に回答に対する疑問にも答えますですよ。』
『ほう、有難い。では早速、目を通させて貰いましょう。』
俺はそう言うと、ノートに目を通す。
まず、最初に質問とその答えは、
質問 俺のゲームの世界観を取り入れて、世界を作ったと言っていたが、俺がゲームプランナーとして関わっていたのはゲームの中期までだったけど、この世界はゲームのどこまでを反映させているのか?
回答 ラクシュリア様に確認したところ、ギリーさんが関わった所まで反映させる予定でいるとのことです。
うん、途中ゲームの拡張の方向性でプロデューサーと意見が合わなくなってやめさせられてしまったんだよな。
それ以降の仕様も反映されていたら、強力になり過ぎだから、丁度いいか。
でも、それだと、武芸や魔法は奥義まで実装しているはずだけど、こっちでももうそこまでできているのかな?
『最初の質問への疑問だが、最初は武芸の書や魔法の書も上級までだったが、俺が関わった所までなら、奥義の書もすでにどこかにあるのか?』
『それがですね。まだ、上級も満足に普及できていないので、奥義はまだ実装されていません。』
『そうか。奥義があれば戦闘中の復帰もできるのにな。あと、そういえば今思い出したが、野外の専用技能があったはずだけど、なくなっているのも、調整中だからか?』
『あれ、そのこと思い出しちゃってます?』
『うん?』
『この世界にない情報なのでそこは消し去ったつもりでしたが、他の場所にも記憶されていましたか。申し訳ありません。さすがに野外技能は蘇生とかあるので、なかったことになってます。』
『そうだ。回復職は蘇生が使えたんだ。それは世界的にまずいか。』
『はい、さすがに蘇生なんかあったら、世界のバランスが崩れちゃいますので、ごめんなさい。』
『でも、そうなると奥義に戦闘中の蘇生があったけど、それはどうなるんだ?』
『あー、そこは、申し訳ないですが別の技能に書き換える予定です。もっとも、ギリーさんがいる時代では実装されませんけどね。まだまだ、先のことです。』
『そうか。まぁ、上級が終われば習得は終わるということか。』
まぁ、後でなにか思いついたら、ノートに書けばいいから、次の質問に行くか。
質問 生産の書はあるが、以前に鞄は特殊過ぎて作れないと聞いたが、他の装備類は材料があれば生産できるようになっているのか?
回答 生産の書はギリーさんが持って来た装備を有効にするため、残してあるものなので、回復職に他の装備はもちろん、他の職業の作れる装備も一切こちらでは作れないようになっています。
『やっぱり、作れないのか。性能面で全く別物になってでも、無理なんだよな。』
『残念ですが、ゲームのような高性能品が作れるといろいろ問題が生じてしまいますので、すみません。』
『問題?』
『はい、こちらの世界ゲームのように何度もキャラメイクして皆高能力のキャラという訳ではありません。なので、装備条件が厳しい高性能な物を装備できるのが上位の僅かなものだけになるので、ますます、各人の力量がかけ離れてしまうことになってしまうので、それと現実ですと世界各地で文明により特殊性があるため、ゲームのように同一装備が各地に流通というわけにもいかないのです。』
なるほど、プレーヤーは納得の能力を作るのにそれこそ、最低でも数千回、下手したら数万回はリセットして作ってるからな。
現実だと、実際には低能力の人もいっぱいいるという問題と、文明が違うのに画一的に装備が一緒というのは難しいよね。
だから、装備はこっちの現実寄りの装備体系になっているのか。
でも、ところどころで、おかしな武器があったりしてるけどな。
そこは、向こうと全く同じような文化として発達していないからという理解でいいのかな。
こうして、他の質問の答えにも目を通して、聞き返すという作業を行う。
といっても、最初は様子見で、六個ほど記入にただけなので、俺の再質問も何とかアーセルさんがここにいられる時間内に聞くことが出来た。
他の質問は、魔物の地域性がなくなっている気がするが、故意にそうなっているのか。
これの答えは、魔力が地脈を流れ、その魔力濃度とその属性で出現する魔物が決まってしまうということなので、どうしても地域性がなくなってしまうとのことだった。
するとフィールドボスも、同じようなボスが数か所に存在してしまっているのか?と再質問を行ったが、それは魔物同様ランダムに配置されているそうだ。ゲームのマップより現実は遥かに広いので仕方がないとのことだ。
それを聞いて確かにと納得する。
次に、スキルは同じことをして、習得が出来る人とできない人がいたが、この違いは何なのか。
これは、スキル習得に必要な能力値、俺が自分の能力として見ることが出来るゲームでの能力値以外にも、いくつかパラメーターがあるそうだ。それらの能力が基準を満たしていれば、あることをすることによって、習得できるようになっているらしい。
ゲームの能力値なんて簡略化して数値化しているのだから、実際にはそれらの数値だけじゃ足りないか。それらの能力を知ることが出来るのか聞いたが、それはやはりできないらしい。
ただ、俺のそれらの能力も一般人よりかなり高い数値になっているらしい。それはありがたいね。
そして、次にそれに付随して、俺は武器などの性能が見ることが出来るがこの能力も他の人も習得が出来るのか。
これも俺が持って来た袋がすべて同一性のでないため、特別にわかるようにしたので俺だけの能力ということだ。
でも、こっちの世界の武器や防具の性能として見ることができるはどうしてか聞いた。
それは、本当は俺が持って来た装備だけ見えるようにするつもりだったが、調整ができないのでこっちの世界の物も分かるようになってしまっただけだそうだ。
それと意識して見れは、武器や防具だけでなく、全ての物品の性能を視覚化できるそうだ。
試しに机を数値化してみて見たら、確かに耐久値とか見えた。
普段意識していなかったから、気が付かなかったよ。
今回の最後の質問は、王国の騎士達はどうして技能の書を持つことが出来ているのか。
これは、アーセルさんに聞くようなことではないけど、貴族たちに聞くわけにも行かないので、聞いてみた。
上級技能をすべて終わった時点で、初級、中級、上級とそれぞれ各人の能力によって作れるようになるらしい。
ただ、大半の人は作ることが出来ないので、貴族や騎士などの身分階級のみしか修得できないようになっているとのこと。
俺達も作れるようになるのか聞いてみたが、何人かは作れるようになるが、実際に一冊作るのに一か月ほどかかるらしいので、よほどのことがない限り作ろうとは思わないのではと答えてくれた。
そんなに大変なのかな?
こうして、質問にも答えてくれたので、再度ノートで聞き返すことがなくなったのは良かった。
ただ、毎回こうして会えるかはわからないと言われた。
場合によっては、ノートに答えだけ記入するだけで、戻ってしまうこと間あるそうだ。
とりあえず、ひと通り再質問が終わったところで、アーセルさんは今回はこれでと言って俺の頭の中でした声は聞こえなくなった。
意識が戻っても時間はほとんど経過していないのだよな。
まだ、俺の交代まで時間があるので、再びノートを見て、再度読み返したりしながら、過ごすことにした。
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