表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/146

第86話 マリーさんと話そう 

 マリーさんとの一件があった後も、その後も何事もなく、マリーさんは俺達の所に来てくれた。

 そして、ついに人攫いを捕らえた際の馬車や馬の換金が済み、その他の手続きも終わり、再び公爵領を離れる準備が整うことになった。


 「すまないな。馬の買い手がなかなか見つからなかったのでな。公爵家の騎士は脚竜を騎馬替わりにしているのもあって、よい馬を訂正な値で買う買い手がなかなか見つからなかったのだ。結局、買い手が付かず、裏で公爵家で買っては貰ったのだが。」


 シルビアさんが、換金が手間取った理由を説明してくれた。


 「いえ、なるべく高く売ろうとしていただいた結果ですし、謝ることはありませんよ。それにどうせ布生地の販売証明の名義書き換えも時間がかかっておりましたから、構いませんよ。」


 俺はシルビアさんの謝罪にそう答える。

 シルビアさんの方の手続きについては、仕方がない面があったので文句はなかった。

 だが、布生地については、今回の騒動を起こした子爵が結構無理に買い集めたようで、俺達にそれを元値で買い戻させたい商業ギルドと買い取るなら適正な買値で買うよう指示をした公爵家で少し揉めていたのようなので、遅くなったらしいのだ。

 その辺は相談してくれれば、今のところ売り込み先がまだ決まってないので、少しは協力できたかもしれないが、公爵家としても領都の治安を守ってくれた者を軽く扱う訳には行かなかったようで、俺達に話をせずに事に当たり、それで揉めていたらしいのだ。

 貴族の面子の話なので、当事者でも関われない内容だと黙り込むしかなかった。


 「そうか。そう言ってくれるとありがたい。それと今回の見送りには私が参加する。さすがにもう何かあるとは思わないがな。」


 「見送り、感謝いただきます。私達ももう何もないことを祈ります。」


 シルビアさん達に関わることになったのも、ミヒャエル達、謀反人と関わたことが原因だからね。

 それがなければ、もうとっくにイオナの街に帰れたんだよな。

 シルビアさんの言葉に、俺は過去を振り返りながらも、お礼を言う。


 それと、一応、うちの女性陣にマリーさんへのケアもした方がいいと言われ、マリーさんと会話する時間を女性陣が作ってくれた。

 シルビアさんとリアとミサ、パルマで馬車を使って、布生地を取りに行く。

 当初は皆で行くつもりだったシルビアさんだったが、パルマがこう説明し、この四人で受け取りに行くことにした。

 あと、マリーさんも布の受け取りに行ってもつまらないだろと話して、俺達と残って待っていることにする。

 シルビアさん達を見送った後、マリーさんが残った俺達には話しかけて来た。


 「あら、私を残して、考えを換えて下さったのかしら?」


 「残念だけど、それはないよ。ただ、マリーさんに提案したくて時間を作らせて貰った。」


 俺はマリーさんに話を否定し、そう話を持っていく。


 「なにかしら。」


 「マリーさんも、シルビアさんのように自立して、意に沿わない婚姻を避けるようにしてはどうでしょうかと提案したいのです。」


 「そうはしたいですけど、私はお姉様のように武に秀でている訳ではありませんので、難しいと思いますが?」


 「そこで私が教えた、お菓子やパンです。それをこの街で売るのです。」


 「ですが、私には商売をする資金がありません。なので無理です。それに貴族の娘という立場で商売を行うのは難しいでしょう。」


 さすが貴族と言うべきか、十歳位でもそれだけの知見を思っているか。


 「ええ、その通り、マリーさんだけでは無理でしょう。そこで、提案があります。」


 「それは、何かしら?」


 マリーさんは少し考えたが、考えが付かないらしく、そう聞いて来た。


 「それは私から説明させていただきますね。」


 マリーさんの問いをディートが受け取り、説明をする。


 ディートの説明はこうだった。

 私の父はオーベルマイヤー侯爵領のイオナの街で商売をしています。

 イオナの町では侯爵閣下と共同で料理店も出しています。

 そこで、エーデルシュタイン公爵閣下とオーベルマイヤー侯爵閣下で話を付けて頂いて、私の父の部下にこの街でその料理を出す店舗を出すように話を付けて貰います。

 そして、この街で店を出す際に、マリーさんのレシピを担保に、共同で出店をする形で話を纏めましょう。


 「いかがでしょう?」


 説明をした後に、マリーさんにこのやり方でどうかと問う。


 「ですが、同じ派閥の貴族とは言え、高位の貴族二名に話を纏めさせるだけの力が、あなた方にあるのです?

 それと、あなた方の話を聞いているとイオナでは、私が頂いたお菓子以外にも色々な種類の料理やお菓子があると伺っていますけど、今の私のパンのレシピだけでは釣り合わないように思いますが、その状態だとそちらが出資もするわけですし、私の利益など微々たるものになってしまうような。」


 マリーさんはディートの言葉を聞き、それにその問題点をしてきた。


 「貴族との話は俺達がしっかりまとめるための道筋はつける。それとレシピの提供についても、このままでは、そうなりますね。そこでです。」


 マリーの問いを俺が引き取り、そう言って説明をする。 

 今のままでは、基本同じパンに挟み込んだ物を変えただけなので、たしかにレシピの価値として弱いかもしれない。

 そこで、マリーさんのパン作りのレシピを増やすんだ。

 上手くいけば、そのための産業の育成も出来るから、上手くいけば公爵閣下からも協力を頂けると思うぞ。

 そうすれば、公爵閣下の後ろ盾も得られるし、気に入った男性と結婚することも可能になるかもしれないぞ。


 「ちょっと、話が飛躍しすぎて、話が見えませんわ。それと料理なんてそんな新しく創作なんてできませんわよ。」


 俺の話がちょっと飛び過ぎたようで、マリーさんにも理解できなかったようだ。


 「そうですよね。今の説明は、ギリーがいけませんでした。今回教えたパンは異国の発酵させなかったパンを多めの油で焼き上げたパンですよね。」


 「はい、そうですわね。」


 「そこでです。貴族の食べるような発酵させたパンを油で揚げてみたり、一次発酵させた状態で揚げて見たりして、試して見ましょう。上手くいけば美味しくなりそうではないですか?どうでしょう?」


 「確かに面白そうなアイデアですが、それを私に教えても良いのでしょうか?」


 「私達は提案してみただけです。いろいろ試して美味しく食べられるように試すのはマリーさんですよ。パンも焼くより、高級な油で揚げた方が貴族にも喜ばれるのでは?

 それと、先程ギリーが言っていた産業の話ですが、油の消費が増えれば、油を作るための作物の作付けを増やさないとですしね。」


 「まぁ、大量の油を摂るパンを毎日食べると太りそうだけどな。」


 ディートの言葉に揚げパンを毎日食べるのを想像し、俺はそう付け加えてしまった。


 「油をたくさん摂ると、太りますの?」


 それを聞いて、マリーさんは驚いてそう聞く。

 ああ、平パンも結構な油で焼いているから、気になってしまったか。


 「ああ、太るぞ。でも、平パンならバターなどを練り込んでいないから、普通のパンと変わらないかもしれないがな。」


 俺はそう答える。

 それを聞いて、マリーさんは安心したような顔になった。

 まだ、子供と言っていい年齢だ。マリーさんはそれほど気にせずともいいと思うけどね。

 

 「わかりました。折角頂いた提案ですから、やってみますわ。油で揚げたパンは美味しそうですが、食べ過ぎないようにして試しますわ。

 それに、確かに油のような高値の付く作物が増えれば確かに領地も豊かになりますわね。」


 「頑張ってやってみるといい。それと発酵させた生地に餡を入れてを揚げるなら、生地同士で挟むより、生地で包み込む方が楽そうだな。」


 マリーの決心に、そう助言しておく。

 ピロシキもどきとか揚げパンもどきになるだろうから、生地を貼り付けて剥がれるような作りでなく、お饅頭みたいに包んだ方がいいだろうからな。

 

 「わかりました。試作してみます。」


 「うん、俺達は一週間後に出立する。それまでに食べれるような物を作ってくれると話を纏めやすいので頼むぞ。それとパンの試作を作るための軍資金を貸しておくよ。資金がなくて作る機会が減ってら、困るからな。」


 本当は、二日もあれば準備が終わるが、そこはマリーさんのために出発を延ばすことにしたのだ。

 そして、そう言って金貨二枚を渡す。


 「はい。頑張りますわ。それとお借りした金貨も稼いで必ずお返ししますわ。」


 マリーさんは、金貨を受け取ると、力強くそう言ってくれた。

 

 「ああ、楽しみにしているぞ。」

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ