第80話 街に戻ろう
とりあえず、囚われていた女性達を馬車で街に戻すために、まず、街での受け入れ態勢を用意して貰うことにする。
それと、今回戦闘で相手の馬を怪我をさせて二頭使えなくしてしまったため、食料として潰して持ち帰ったり、残りの騎馬も連れ帰らなければならないらしい。
幸い街からも近いこともあり、そのために街での準備と馬の移送必要な人員を騎士達に連れて来て貰うことにする。
あわせて、捕らえた商人からも経緯の聞き取りを手早くした方がいいだろうと言うこともあり、騎士と一緒に先に連れて行くことにする。
彼らを連れて行くために、リアとディートが彼らを乗せた馬を牽いて騎士と一緒に先に戻って貰うことにする。
その間に囚われていた女性達に水を与えたり、軽い食事を与える。
それと彼女らを乗せる馬車の御者は女性がいいだろうと言うことで、ミサとパルマ、ティアにお願いをする。
ついでに、彼女らの世話もお願いする。女性同士の方が遠慮もいらないだろうし、いろいろと気配りも出来るだろうからな。
俺は俺で、敵の護衛の死体を一箇所にまとめながら、今後の予定を組みなおしてみることにする。
たぶん、このままだと今日、下手したらしばらく出立できなくなるだろうしな。
『身体強化』を利かせていても、死体を運ぶとなると持ち上げて運ぼうとすると相手が脱力したような感じなため、かなり力が必要になる。
なので、死体には悪いが、足を両脇に抱え持って引き摺るようにして運ぶ。
そして、一箇所に死体を集め終わり、体を休めていると街の方から騎馬と荷馬車数台の一団がこちらに向かってきた。
どうやら、街に向かった者達が戻ってきたようだ。
思ったより早かったな。
足の速い脚竜に騎乗した騎士が先に戻って来て、俺に状況を伝えてくれる。
商人はそのまま魔道具を使った取り調べをすぐに行うことになったので、街中で人攫いをしていた連中の所在とかを知っていれば、すぐに捕縛されるとのことだ。
そのための人員も街に残さないとなので、こちらに来た手勢は必要最小限になってしまったとのことだった。
で、今回救出した女性達も親元とかに返す前に聞き取りをするため、一度騎士訓練場に収容すると決まったそうだ。
その辺は特に問題ないので、対応に動いてくれたことに騎士達にお礼を伝える。
そして、とりあえず、女性らはこっちらの女性陣が世話をして街に戻すことを伝える。
向こうも女性が回りにいた方が安心するだろうと考えてくれたようで、それは了承される。
そんな打ち合わせが終わると、馬車が到着し、兵士が下りて来て、騎士の指示のもと、死体や馬の死体を乗って来た荷馬車に積み込む。
積み込み作業も順調に終わり、出発の準備が整う。
俺の馬車と脚竜に乗った騎士を先頭に、囚われていた女性達を積んだ馬車、人や馬の死体を積んだ馬車、残った馬に騎乗した兵士といった隊列で街に戻る。
一応、中に囚われた女性がいたとはいえ、貴族御用達の馬車を襲撃してしまったので、理不尽だが罰せられる心配もあったので、今回の賞罰について、並走している騎士に確認を取る。
それについては、公爵家が格上なので罰を受けると言ったような問題はないそうだ。
ということは、問題を起こした貴族が格上だと罰せられる可能性があるのか。怖いなこの世界。
そう思っていると、騎士はその点についても説明してくれた。
今回と逆の立場でこのようなことが起こった場合は、いろいろと理由を付けられ謝られることはないが、それ相応の利益を渡されるそうだ。
ただ、爵位が上でも家格腕あったり、実際の実力が上の時は力が物を言うので、格下と同様の扱いを受けるそうだ。
うん、身分ある者同士だと実力の世界となるのか、強大な力を持った連中とぶつかるのはやっぱり怖いな。
あと、今回の戦闘で騎士との取り分として、切り捨てた二人の死体の装備類と乗っていた馬を要求してきた。
商人とそれに関わった者は人攫いの罪状で斬首、今回の依頼主の貴族も同じ派閥とは言え、公爵家に泥を塗る行為をしたので潰されるから、今回はそれらを俺達の者にして問題ないそうだ。
つまり、俺達は残りの騎馬4頭と、馬車馬4頭、荷馬車、それと積んでいた食料等、本来の積み荷の名産の布生地、殺した男達の装備、あと捕らえた商人や業者の荷物類、死んだ馬の肉の代金を今回の報酬で貰えると言うことらしい。
なんか、こまごまとしたものまでいろいろ貰えるのだな。
そこで、騎士達に積み荷の分割はしなくていいのか尋ねたが、自分達自身が処置した物だけで問題ないし、公務中に得た利益は半分は公爵へ、残りは騎士団の飲み代に消えてしまうので、それで十分だと言うことだ。
まぁ、公務員だものな。公務での利益で私腹は肥やせないと言ったところか。
でも、命を張っているのに大変だなぁ。
そうこうしているうちに、街に着く。やはり今回のことはまだ、公にできないので、行きに来た東門より入る。
そして、俺達は死体や馬の死骸を積んだ馬車と別れる。
これらから得られる物は後ほど目録が渡され、現物もしくは、現金で貰い受けれるらしい。
俺達と囚われた女性達、そして兵士が乗った馬は、騎士達と一緒に訓練場に向かう。
そこに、先に戻っていたリアとディートが先程まで商人らを乗せていた空馬一頭と共に東門から合流する。
訓練場には、すでに天幕とテントがいくつか設えられており、とりあえずテントで囚われた女性達を収容し、天幕で身元の確認や聞き取りを行うそうだ。
それと、商人から魔道具を使っての聞き取りが終わり、街中の人攫いをした実働組織を捕縛するべく、騎士団と兵士がすでに動いているそうだ。
魔道具で簡単に口を割らせられるとか、考えると酷いな。使い方さえ間違えなければ、今回のように便利な物だけどな。
そっちは騎士団らが動いているのだから、問題なく終わるかな。
これでこの一件と、ミヒャエルの件が終われば、シルビアさんも少しは肩の荷が下りるのかな。
一応公爵家だし、いくらなんでも、これ以上大きな面倒事を抱えてたりはしないだろう。
あーでも、子飼いの子爵家に裏切られたのだ。
その件でもう一悶着あるのかな?
さすがにいくら何でも、そんなことまで俺達が巻き込まれないよな。
ひと通りが済み、ここで俺達も解放される。
馬については、馬車がない時全員が馬に乗れるように馬を二頭貰おうかとも考えたが、移動の際、馬車で休めなくなってしまうので、全部売ることにした。
生きた馬も鞄の中に入れられれば、貰っても良かったが、さすがにそれは無理だったしな。
四頭立ての馬車にすることも考えたが、今の馬車を四頭で牽くと言うのは、軽すぎて難しくなるそうだ。
また、馬車を大きくしてもフローティングボードを設置したら、やはり操作の難しさは変わらないらしい。
なので、馬車も売り払ってしまう。
中古とは言え、馬も馬車もそれなりにいい物らしく、結構な値段で売れると言われた。
馬の良し悪しとかよくわかんないよな。
食料類は騎士や兵士に寄付をしておく。
布生地については改めて、俺達への販売証明を付けて、引き渡して貰えるようにしてくれるそうだ。
その辺の心遣いはありがたいので、礼を言っておく。
ただ、現金化や目録作成、証明書作成の準備等の作業もあるので、引き渡しには、二、三日待って欲しいと言われた。
それは仕方ないか。と言うことで了承する。
宿は以前使っていた所を使うつもりなので、変更があった場合のみ、伝えると言っておく。
宿は戻ったのがまだ昼をちょっと過ぎた時間ということもあり、無事に使っていた宿を取ることが出来た。
馬車等も日数的に宿に預けることにする。
馬達にはまたしばらく、不便をかけるが諦めて貰おう。
さて、日も持て余してしまうがどうしたものだろう。
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