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第79話 敵を制圧しよう

 パルマはもともと剣より盾を使った戦いが得意なため、馬上での片手剣のみの戦いで苦しい戦いが続いている。

 ただ、相手の馬車も逃げているため、馬を降りての戦いが挑めば、パルマを無視して馬車の護衛をするか、もしかしたら、リアのもとに向かわれてしまう可能性がある。

 そのため、やむを得ないのだが、馬上での戦いを強いられている。

 それでも二人の男を相手に決定打こそ出せずにいるが、優位には立ち回れている。


 一方、リアは四騎の敵に苦戦気味になっている。

 こちらは、さすがに実力リアが上回っているが、敵が一撃離脱で次々攻撃を仕掛けてくるため、攻め手を欠き、防御で手一杯になっている。


 そして、落馬させ、止めを刺すことができなかった男が馬を捕まえ、再度戦列に加わろうとしていたが、俺達の馬車が魔法の範囲に入ったので、ミサがその男めがけて、『魔力弾』を複数放つ。

 ミサの魔法は男に命中し、再びバランスを崩し、再度落馬する。

 ただ、今度は後方から背中や頭部に魔力の塊が命中したため、意識が昏倒して落馬しので、着地に受け身を取れなかったことから、恐らく生きていてももう動けないだろう。


 男が乗っていた馬を、馬車からディートが飛び降りて捕まえに向かう。

 俺はディートに『身体強化』の魔法を掛けて、その行動を援護する。

 そうして、すかさず敵の馬を確保すると、ディートは先にリア達の援護に向かう。

 俺も自身に『身体強化』の魔法を掛け、リアが斬りつけて落馬させたもう一頭の馬を捕らえるために、手綱をミサに預け、飛び降りる。


 「あ、ちょっと。」


 慌てて、ミサを手綱を受け取る。


 「私が手綱を持ちます。」


 ティアが馬車内から様子を伺っていたようで、そう言ってすぐさま御者台に出て来て、手綱をミサから預かる。


 「ありがとう。任せるね。」


 ミサはそう言うと、魔法で倒した男の横を馬車が横ぎる際、もし、襲ってきたらと警戒を行しながら通り過ぎる。


 俺もなんとか馬を捕らえ、それに乗り込むと俺も馬を走らせる。

 馬車よりは早く、近づけるし、近接戦闘にも参加できるので、俺とディートが加われば、かなり優位に立てるだろう。

 それまで、リアとパルマも頑張ってくれよ。

 

 リアは方々から襲って来る敵を馬を巧みに操りつつ、剣で受け流す。

 本当は剣を受け止めて、相手を崩したりして隙を作りたいのだが、敵の手数の多さから、それが出来ずにいる。

 それでも、相手の隙を突こうと様子を伺いながら、必死に剣を振るう。

 やがて、俺の騎馬がリアを魔法で援護に入る。

 俺はすかさず、リアに剣を振りかざそうとしている男に『弱体化』の魔法を掛ける。


 男は抵抗できずに魔法に掛かったらしく、振りかぶった剣の重さとその勢いに耐え切れずに大きく体勢を崩す。

 リアはそれを見逃さずに、相手の馬に蹴りを入れる。

 それで馬が跳ね上がり、体勢を崩した男は頭から落馬をする。

 落馬先に敵の別の騎馬がおり、踏まれる形になった。

 落馬した男は嫌な叫び声を上げ、動かなくなった。


 一方パルマは二人の敵に囲まれながらも、必死に敵の攻撃を躱し、反撃を試みている。

 パルマの武芸は馬上で有用な物がほぼないため、力では上回っているものの、技では互角かそれ以下といった感じになってしまっている。

 ただ、相手が二人だけなため、相手を力任せに剣を弾いたりして、体勢を崩しつつ戦っていたので、敵の手数で圧倒されることは何とか防いでいた。

 このままでは状況が変わらないですね。

 そう考えつつ、リアの方に目をわずかに向ける。

 すると、リアが一人を馬上から蹴り落とし、敵を三人にしており、更にディートと俺がそこに迫っているのが見えた。

 なら。

 相手がまた剣を打ち下ろしてきたとき、パルマは再び剣を弾き上げると、今度は相手に覆いかぶさるようにして、懐に飛び込み、一人を馬上から引きずり落とす。

 そして、パルマは受け身を取り、素早く起き上がると背中に背負っていた盾を構える。

 落馬させた相手を一人確実に仕留める。

 そして万一もう一人がパルマでなく、リアに向かっても、俺らが間に合うのでそこまで負担にならないだろうと言う判断だ。

 幸いにして、もう一人の男もリアの方に向かわず、勢いを付けて馬でパルマを弾き飛ばそうと突撃をしてきた。

 それをパルマは軽く横にステップを踏み、馬を躱すと、そのまま馬の横腹に勢いを付けながら、盾と共にぶつかりながら、剣を突き立てる。


 馬は内臓をえぐられるように剣を突き立てられて、そのままバランスを崩すように斜め横に倒れ込む。

 乗っている人間は盾と馬の体で足を挟み込まれながら動きが取れないため、馬から飛び降りる事も出来ず、一緒に倒れ込む。

 パルマは突き刺さった剣を無理せず抜かずに、手を離すと、盾が馬に当った反動を利用し、体勢を整えながら離れる。

 そして、最初に飛び込んで馬から引きずり落とした男に体を向ける。


 「へ、お嬢さん。盾だけで俺と遣り合うつもりかよ。」


 剣を両手で構えて、男はそう言って、パルマを威嚇する。

 馬上と違い、剣を両手で振り回せるため、剣の勢いも、力も先程より上がるのだ。盾だけで防ぎきれないだろうと考えてそう言ったようだ。


 「あなた相手なら、これだけで十分ですよ。」


 パルマも挑発するようにそう言い返すと、盾を構える。

 男は剣戟を浴びせつつ、構えた盾に隙を見出そうとするが、いずれも盾に弾き返されてしまう。

 そして、剣を弾かれ、一瞬バランスを崩してしまった瞬間に、すかさず、パルマが盾を利用して、相手の体を持ち上げられる。

 そのまま男は体を地面に叩きつけられる。

 鈍い音がして、背中に激痛が走る。

 さらに、盾に体重をかけ、パルマが倒れた男を地面と盾でプレスをする。

 肺や腹部にもミッシと言う音がして、呻き声を上げると男は意識を途切れさせた。


 リアを囲っていた男達も、後方からディートと俺が近づいてくるのに気付く。

 さらに後方に馬車があるのにも恐らく気付いているようだ。

 敵の馬車の周りで戦っていた敵は、パルマに馬から振り落とされた男もいずれも地面に倒れている。

 数の優位は崩れ去ろうとしているのを見て取る。

 明らかに形勢が不利になったのを悟ったようだ。

 だが、人攫いは重罪だ。仮に降伏したところで、死罪か鉱山労働といったところだろう。


 「散って逃げるぞ。」


 敵のリーダーは不利を見て、そう叫んで馬を街道から離れた方向に向ける。

 その言葉を聞いた残りの二人も、すぐさまそれに従い、思い思いの方向に馬を向ける。

 リアは逃がすまいととっさに一番近くにいた敵の背中に剣を投げつける。

 突き刺さりはしなかったが、見事に剣が背中に当りその痛みに耐えきれずに、バランスを崩すように男は倒れ込む。

 そこにディートが詰め寄り、止め刺すと、リアの剣を拾い上げて、リアの元に戻る。


 逃げた残りの二人もいつの間にか距離を詰めて来た脚竜に乗った公爵家の騎士達に追われている。

 足の速さではさすがに脚竜にはかなわず、距離を詰められ二人とも、さしたる抵抗も出来ずに切り捨てられた。

 俺はパルマの乗っていた馬の手綱を持ち、パルマのもとに向かう。

 

 「馬から落ちたが、怪我はないか?」


 そして、そうパルマに声を掛け、手綱を渡す。

 パルマは手綱を受け取りながら、それに応える。


 「ありがとうございます。馬から飛び降りただけで落ちてはおりません。ただ、ちょっと打ち身があります。」


 それを聞いて、俺は治療を行う。

 リアもいくつか切傷があったため、それも治療する。

 二人とも大した怪我でなく良かった。


 そして、俺達はそのまま逃げた敵の馬車を追う。

 敵の馬車は俺達と合流してきた騎士二人に囲まれ、観念して足を止める。

 馬車の荷台に繋がれていた女性の縄や猿轡を外し、治療を行う。

 そして、今度は御者と商人を捕らえて、逆に縄と猿轡を咬ませる。

 こうして、断ったはずの人攫いの依頼のうち捕らわれた人の救助を成功させた。 

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