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第77話 東門から出よう


 次の日、俺達だけで買い物に向かう事にした。

 今回は、市場の他、いくつかの商会にも足を伸ばす。

 特にここで変わった香草や香辛料、調味料といった物はなかったので、見て回るだけで終わった。

 肉類も売ってはいたが、あまり鮮度の良い物がなかったので買うことは躊躇してしまった。

 絶対これ、殆ど腐ってて食べられないだろ。

 でも、値段は肉と言うこともあって、結構いい値段なんだよね。腐った臭いしかしないけど。

 そのことをディートに聞いたら、こんな普通は物らしい。

 

 「王都は冬に滞在したし、買い物もあまりしなかったので気付かなかったかもしれないのと、イオナの街は侯爵様が発布した衛生法が厳しいので、領内で不衛生な物を売れないので、今まで気付かなかったかもしれませんね。」


 ディートはそう説明してくれた。


 「うぇ、こんなものを普通に売って、しかも買う人もいるのか。」


 「ええ、貴族のパーティーでも、一度食材を大量に確保しないとだから、こう言った腐った肉に香辛料たっぷりで誤魔化して出したりするそうよ。」


 「なるほど。貴族でもあんな肉買うのか。今後誘われても貴族のパーティーには出ないことにするよ。」


 「だから、侯爵様はパーティーでそう言った物を出さないようにするため、ギリーの肉だけでなく、野菜や卵などを使った料理のレシピも侯爵家が買ったのだと思うのです。」


 「まぁ、野菜は量を一度に大量に確保できるし、卵は結構日持ちするしな。」


 「それでいて、ギリーの料理の味も美味しかったですしね。」


 「でも、なんで侯爵様はそんなに食事に気を使っているんだ?」


 「うーん、私のお父さんが子供の頃に始めた話らしいから、よくわからないわ。」


 うん、この辺も民間では伝聞くらいしか、情報を残せないからこの程度のまでしかわからないか。

 それだと、夏場温かい地方に行くときは、食べ物も気を付けないといけないか。

 普通に生きるだけでも、いろいろ気を配らないといけないな。

 この世界、中途半端に文明が進んで冷蔵庫とかはあるけど、冷蔵車や冷凍車見たいのはないから、こうなってしまうんだろうな。

 衛生面の知識も進んでいないようだしな。


 そんな感じで、いくつか品物を見て欲しいものがあっても、品質でいくつか諦めると言うことを体験する。

 王都は人が多いから、売れ残りがある程度しかなかったから、マシなだけだった?

 とりあえず、欲しい物を買い終わり、イオナに戻る準備も整ったので、約束どおりシルビアさんに明日、朝出立することを伝える。

 その返事は、明日の朝ということもあり、手紙を持っていった店の従業員が返事を持って来た。

 この場合、俺もまたこの人に手間賃を出すのか?まぁ、一応出しておけば間違いないか。


 手間賃を払った後、従業員が下がってから、手紙に目を通す。

 ちょっと、急すぎたかな。

 かなり荒い筆跡での返事になっていた。これは悪いことしたかな。

 でも、俺達もあまりゆっくりしていられないからな。こればかりは仕方がない。

 で、手紙の内容だが、所要があってシルビアさんは来れないので、顔見知りの騎士を二名ほど途中までつけてくれると言うことだった。

 公爵領では、いろいろ起こって大変なようだが、頑張ってください。


 翌朝、宿での支払いを済ませ、馬車の準備をしていると脚竜に乗った騎士が二名現れた。

 シルビアさんと最初に会った時にいた騎士の中の二名だ。

 彼らと再会の挨拶を済ます。

 一応、彼らは平民出身の者であっても、騎士の称号を一代限りとは言え、拝命しているので扱い的には、貴族として東門からの出入りが許されるらしい。


 すると、俺が貰った名誉騎士の称号も使えば、貴族門からの出入りができるのかな?

 知られたくはないから、何かあった時以外使う気はないけどな。

 そうして、彼らの同行の元、貴族の出入り口である、東門に向かう。

 これでお任せで、門外に出れるな。

 一応、彼らは門を出てもしばらく同行してくれるみたいだし、もうここでの厄介はないかな。

 それと彼らから聞いた話だが、今回ここに来る原因にもなったミッシェルの刑の執行が決まったようだ。

 今日刑罰の沙汰が発布され、一週間後に執り行われるらしい。

 それの準備もあり、シルビアさんは今日はここに来れなかったそうだ。


 騎士からは刑の執行を見てから、街を出てはと言われたが、そんなもの見る気もないので断った。

 一応、この街に来た時、刑の執行を確認してから街をでるか聞いたが、仲間も、そんなのを見ても仕方がないと言ってくれたので、街を出るのが今日になったわけだしね。

 順調に東門に辿り着く。

 朝方と言うこともあり、こちらの門も結構な人が集まっている。

 まぁ、ここの騎士団が手続きしてくれるから、特に何することもなく、馬車で待機する。

 すると騎馬を操っていたリアとパルマがこちらに寄って来た。


 「なぁ。あと立派な馬車の幌付きの荷車なんだが、人の反応がたくさんあるんだけど。」


 リアがそう俺に言ってきた。

 俺はリアが言った荷馬車を見てから、俺も探査をしてみる。

 うん、十五人くらいの反応か、確かに多いな。

 手続きをしている騎士ではなく、俺達の護衛をしている騎士を呼び、質問をする。


 「すみませんが、あそこの馬車はどのような馬車だかわかりますか?」


 「あちらですか、少々お待ちください。」


 彼も馬車の護衛から外れ、東門の兵士に近づき、事情を聴いてくれている。

 しかし、その間に問題の馬車は手続きが終わったのだろうか、門を出て行こうとする。


 「おい、出て行っちゃうぞ。どうする?」


 リアが俺にそう言ってきた。


 「落ち着け。向こうは荷馬車だし、あれだけの人を積んで居たら、さほど速度は出ないからいつでも追いつける。」


 「そうですよ。いざとなれば私達の騎馬で押さえられます。」


 「そうだな。」


 「ああ、それに荷馬車にしては積んでいる人数がおかしいだけで、まだ何かあったわけではないからな。」


 それと俺達の馬車の中にいる残りの三人にも、ちょっとおかしい馬車があるので、何かあるかもしれないと伝えておく。


 そんなことをしているうちに、騎士が二名とも戻って来た。

 あの馬車については、公爵派の貴族による布の買い出しのための馬車だと言うとこだ。

 さすがにそれはないな。さて、騎士達にはどう説明したものか。

 もう一人の騎士も、先程の騎士の報告になんでそんなことを言ってきたのか疑問に持ちながら、門外に出る手続きが終了したことを報告してきた。

 まずは、俺達も外に出よう。その前に騎士に了承は取っておこう。


 「では、出発しましょう。それで、先程の馬車なのですが、四頭立てなのに馬車が少し重そうにしていたのでおかしいと思い聞いたのですが、積んでいるのが布生地と言ってましたが、怪しいので足止めしてよろしいでしょうか。」


 「いや、一応貴族の荷物だぞ。足止めして何かあれば問題になるぞ。」


 「それは、こちらで責任は負います。お願いします。」


 反対する騎士に、俺は再度頼み込む。


 「うーん、でもなぁ。君達に何かあればそれはそれでなぁ。」


 「ああ。」


 そう言って、二人の騎士は考え込む。


 「なら、聞かなかったことにして、俺達が先行して先に問題を起こしてしまったことにしてください。では、出発するぞ。」


 俺はそう言って、騎士の了解も取らず、半ば強引に出発することにした。

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