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第72話 お米をみんなでたべよう

 シルビアさんが馬車と並走し、俺と俺と一緒にいる騎士に状況を伺う。

 俺達は問いかけられてことになるべく簡潔に答える。

 馬車の中で気が付いているミヒャエルさんは居ないかのようにスルーされている。

 シルビアさんもとりあえずミヒャエルさんが意識を取り戻したことに安堵する。

 最悪、謀反の旗頭のミヒャエルだけでも処刑場に送り込めれば、公爵家のメンツは保たれるからな。


 そして、ミヒャエルの言動から先程の街で毒が盛られたのは確定したので、騎士を一名先の街に戻す。

 更に先触で領都にも一名派遣する。

 俺は馬車に同乗している騎士に護衛の手勢が減るけど平気か聞いたが、こればかりはどれもすぐ対応すべき処置だから仕方がないと話してくれた。

 それにもうここは公爵領なので、ここで襲われることはもうないだろうとも言っていた。

 まぁ、他家の兵が公爵領で公爵軍の兵と交えたら、侵略行為になるから、そう簡単には兵を差し向けられないのか。

 それを聞いて安心はするが、一応周囲は警戒しておく。


 幸いに特に怪しい者を見つけることもなく、無事に領都に到着する。

 ミヒャエル達は領都に入る前に無事に全員意識を取り戻した。

 ただ、三人とも一命をとりとめたけど、嬉しそうな雰囲気はなかった。

 結局、命を失うことになるから、当然と言えば当然か。

 一世一代の勝負に出て負けたんだから、仕方ないのだろう。

 でも、そんなことを平然ではないだろうが命を懸けて権力を得るためだけに勝負に出れるなんて、俺の思考とは違い過ぎるな。

 この辺は、平和で文化的な地球で生活とは違うから考え方も先鋭的になってしまうのは仕方がないのかな。


 彼らは牢がある行政庁舎がある建物に連れていかれる。

 ここは建物の前が広場になっており、どうやらここで、様々な祭りや処刑なども行われるらしい。

 ただ、今回の処刑は周知を行ってからの公開処刑で行われるらしいので、すぐには執行されないそうだ。

 今回のミヒャエル達の蜂起で亡くなった人もいるらしいので、そういった人の遺族の恨みが少し晴れればとか、平民の娯楽的なこともあるのだろうからな。

 俺の感覚では、あまり理解したくはないけどな。


 とりあえず庁舎で引き渡しが終わり、シルビアさんに謝礼を貰う。

 最初の約束の金額より、戦闘があり、それをほぼ損害を出さずに撃退できたのと、毒殺を防いだこともあり、報酬はかなり弾んで貰えた。

 あと特産品の布については用意があるので後日と言うことになった。

 ただ、金額的に金貨をすぐに用意できないので、最初の報酬額以上は替わりに宝石させて貰ったとのことらしい。

 まぁ、宝石なら嵩張らないからいいかと思い了承したが、宝石の価値なんてわからないので報酬額に見合っているのかわからないのだけど。

 そこで、こっそり横にいたディートに聞いた。


 「これって、価値的に見合うものなのか?」


 「ええ、大丈夫よ。だいたい売値換算に少し上乗せしてくれているはずだわ。ただ換金するのは近場でしないと流通量や好みで価値が変わるから、思わぬ損をすることもあるから、気を付けないとだけど。」


 ディートはそう教えてくれた。

 なるほど、金、銀などの金属はそれなりに流通していて、算出量も急激に変わりにくいから、通貨としての流通させることができるけど、宝石なんかは算出量なんてたかが知れているから、新たな鉱山が開かれたりしたら価値が一気に下がることもあるし、流行にも左右されるから、価値が安定しないのか。

 しかし、急な支出を金貨で払えないとか、貨幣の流通量が意外に少ないのか?

 俺達に話が聞こえてしまったようで、シルビアさんはすまなそうにこう言ってきた。


 「すまないな。今回の騒乱でいろいろ街で貨幣が必要となるので、今は手元に金貨を多めに用意しておかないならないそうでな。」


 うん?話しぶりだと金貨自体はまだまだあるのかな?

 俺が話を理解できないと判断したのか、ディートが付け加えてくれた。まぁその通りなんだけど。


 「市中に流す貨幣のバランスを崩すと、貨幣の価値が急激に変動するので、領民が困らないように領内で調整する必要があるんですよ。

 たぶん、騒乱の保証で銅貨や銀貨が大量に放出したので、それを商人が回収した貨幣を金貨に換えるのに、公爵家が金貨が十分に手元にないと銅貨や銀貨が余ってしまうので、価値が下がり、庶民の生活に影響が出なようにするためですよ。」


 うーん、銅貨、銀貨の流通はほとんど街中で完結するから、金貨の換金できる量を十分確保しておかないと、領内の経済に影響が出ると言うことか。

 ほとんど周辺で流通が完結する世界だから、それはわかるけど、仮にも公爵家の懐事情がそこまで脆弱なのか。

 パルマが布を欲しがっていたくらいだから、それなりの名産品の育成もしてるようだし、そこまで困窮してるとは思えないけどな。

 でも、あまりこう言うことを口にしちゃまずいか、不敬になる。


 「そう言ったことも調整しているんだ。大変だな。」


 「ええ、オーベルマイヤー侯爵の所は銅や鉄の鉱山をいくつか所有しているので、他の貴族より余裕があるから、満額金貨で払って頂けただけですよ。」

 

 「へぇ、そんな事情があるんだ。」


 すると貨幣の流通量はかなり少ないのか?そうなると鞄の中の貨幣をそう簡単に使えない?

 ディートがさらに細かな事情も説明してくれた。


 「それと銅は貨幣だけでなく、庶民の生活必需品にも多用されているので、簡単に貨幣を増やせないので、相場を維持するために相当な苦労があるそうですよ。商売仲間がおかげで生活必需品の用の銅の買い付けは時勢を読まないといけないと嘆いていましたよ。」


 「あと、銀についてもそうだな。貴族の生活品に多用されるからな。」


 シルビアさんがそう付け加えてくれた。


 「いろいろお役人さん達も苦労されているのですね。」


 日本は比較的に銅の算出が多かったなどの要因あり、古くから銅銭があったけど、銀貨はなかったし、西洋では十六世紀頃まで逆に庶民が使う銅貨がなかったとか聞いたから、貨幣を流通させるには需要と供給といった要因が重要になるから、難しいのだろうなぁ。

 なんか小難しい会話だったけど、勉強になったので、それは良しとして、別れようとした。


 だが、そこを騎士達に呼び止められ、俺達が護送中に食べていた米料理の作り方を教えるという約束のことは話してきた。

 そう言えば、護送中は食べられなかったので、領都についたら教えると約束していたね。

 侯爵家には金を払って教えた料理をただで、教えるのはまずいよな。

 まぁ、こっちで騎士達がどんなふうに米を使っているか聞いて、そこから当たり障りのない物を教えよう。

 そんな訳で、改めて明日騎士の訓練場の一角を借りて、教えることにする。

 訓練場はここからそう離れていない場所にあり、ここからでも見えたので、明日直接伺うことにした。


 とりあえず、おすすめの宿を教えて貰いそこに宿泊することにする。

 シルビアさんはよければ自宅に泊っても構わないと言ってくれたが、貴族宅に泊るのは気を使いそうだし、丁重に辞退する。

 宿は幸いに希望する部屋が空いていたので、そこに泊り、馬車と馬はそこまでこの街に長居するつもりはないから、このまま宿に預けることにする。

 久しぶりのベットでの睡眠に俺はベットに入るとあっという間に眠りに落ちてしまった。


 翌朝、目を覚ますと疲れが取れたようで、ここ数日の気怠さはなく実に快適に眠ることができた。

 本当はは風呂に入りたかったのだが、この辺りは水は貴重らしく、高級宿でも最上級の部屋以外風呂はなく、お湯で体を拭くだけであったので、さすがに風呂だけのために今回の護送で貰った金貨をすべて吐き出すと言うことは出来なかったので、早めに家をどこかで出して、風呂に入りたいな。                 そして、みんなと朝食をすまし、この街の商店を少し覗いてから、騎士の訓練場に向かう事にした。


 買い物を済ませ、予定より少し早く訓練場に到着する。

 そこで、まずは騎士達の料理を作る料理人に、俺は米を使った料理について話を聞く。

 その間、リア達が料理人の助手たちと料理の準備を整える。

 料理人に話を聞くと、この辺で作られるようになったのは最近のため、あまり利用されておらず、だいたいミルク粥にしたり、お米をキャベツに巻いてロールキャベツ風の煮込み料理にしたり、水で戻してサラダに使っているそうだ。

 うん、日本人としては、食べてもいいなと思うものはロールキャベツ風の煮込みくらいか。

 

 聞き取りを参考にいくつか即興で米料理を作ることにする。

 即席のスープの素とかないので、米を骨付きの鳥と一緒に炊きこんで、それを炒めた野菜と卵に混ぜて塩や香草類を効かせて、チャーハン風のご飯を作ったり、ソーセージや塩蔵肉、野菜、ターメリックのような物と炊き込んでパエリア風のターメリックライスを作った。

 それと米を煮炊いて、チーズや香辛料を加えたチーズリゾット風の料理を用意した。

 最後に遠征用として、白米を炊いてそれを干したものを作りおいてあったので、それをお湯で軽く戻した物に干し肉、野草を加えた物を用意してみた。


 少し早いが、鍛錬を短めに切り上げ、みんなで夕食として食べることにする。

 食べ慣れない米料理に戸惑いながらも、みんなで食べ始める。

 料理人の助手達もいくつか副菜を用意してくれたので、量も多く豪勢な食事となった。

 それでも、騎士だけあって食事量も凄く結構な勢いで料理が消えていく。

 あまり食べ慣れない味だろうと心配していたが、塩味主体の料理と違い味も香りも目新しいこともあったのか、米料理は遠征用の雑炊風の料理であっても好評であった。

 貴族であるシルビアさんも、複雑な味に慣れているけどそれでも美味しかったらしく、これなら、貴族の食卓にも出せると喜んでもらえた。

 ただ、遠征用の雑炊風のご飯については、麦粥や黒パンに比べればうまいが……と、やはり貴族には物足りないようではあった。

 料理人さん達も改めて、お米の美味しさに触れられて、安く買える食材でもあるので新たな可能性を探ろうという気になってくれたようだ。 

 これで俺の米食推進の目的は達成されたかな。

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