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第71話 馬車の中で語ろう

 え?ミヒャエル達が倒れている?

 この時期じゃ、熱中症なんてありえないよな?

 俺もミヒャエル達の馬車に近寄る。

 最初に発見した騎士とシルビアさんが馬車内を確認していた。

 俺もとりあえず、指示があるまで馬車の周りで遠巻きに見ている。


 やがてシルビアさんが出て来たので、近寄って状況を確認する。


 「どうしたのですか?」


 「毒か呪術的な物で弱体されている。かなり衰弱しているが、回復士としてどうにかできないか?」


 「一般的な毒でしたら可能かと、ただ、呪術的な物ですと難しいかもしれません。」


 毒だったら、『状態異常回復』でいけるだろうけど、呪術って何?状態異常で回復できんの?よくわからない言葉が出て来たので、考えてからそう答えた。


 「なら、頼む。ここで死んでしまっては連れて来た意味がなくなるからな。」


 そうか見せしめでこの後殺されるんだよな。そんなのを助けるというのもなんだが、依頼の範疇になるどろうし、承知する。


 「わかりました。では、失礼します。」


 そう言って、馬車の中に入り、まず、三人に『生命再生』を施し、生命力の減少を遅らせる。

 それから、効力があるかわからないが『状態異常回復』をかけてみる。

 そして、少し様子を伺うことにする。

 蒼白だった三人の顔が少しづつ、色味を取り戻してきた。

 これで、大丈夫なのかな?一応、脈なども確認してみるが、医者でもないし、そもそも、こっちの世界の人間の脈を診たこともないし、頭の中にそんな知識もなかったのでこれが正常化も分からない。

 なので、とりあえず顔色が良くなったがこれで大丈夫かはわからないと言って、俺は下がり、シルビアさんに変わって貰う。

 シルビアさんも状態は確認するが、やはり専門家ではないのだろう、意識があるのだけを確認して馬車から出て来た。


 「状態は持ち直したようだが、回復したかまではわからないので、休憩をしたら、出来るだけ領都へ急ごうと思う。念のため、私の騎士一名とギリーが彼らの馬車で同行してもらいたいのだが、かまわないか。」


 そして、そう言ってきた。

 確かに容体の急変に対応したりした場合、対応するにはそれがいいだろうと思い。俺も了承する。


 休憩が終わると慌ただしく出発の準備を行い、先を急ぐことにする。

 馬車に入った騎士の脚竜は、馬車の横を随行している騎士が牽き、何かあればすぐに対応できる状態になっている。

 馬車の中のミヒャエル達はまだ意識を取り戻していないのか、お互いに体を預けたままの状態でいる。

 俺はただその三人を見ているのも面白くないので、馬車の中の騎士に話しかける。


 「あの。よろしいでしょうか。」


 「ああ、何かな。騎士と言っても平民上がりだ。気楽に話して貰っても構わないよ。」


 「ありがとうございます。なぜ、護送中の彼らを毒殺なんかしようとしたのでしょうか?」


 「多分だが、他家による奪還作戦は失敗した。かといって彼らを救い出すだけの余力はもう彼らの一派にはない。それで彼らを大衆の前で処刑するような不名誉な形で死んでもらいたくない。だが、かといって自分達で殺すのも不敬になる。なので、毒を仰いでもらったという所だろう。」


 「うーん、彼らの主が不名誉な死に方をするくらいなら、ということですか?」


 そんな主の名誉を守るために、わざわざ危険なことをするのか。どうもこの辺の感性はわからないな。

 まぁ、そんなことを言ったら、襲ってきた騎士達もそんな死に体の三人を救い出そうとしていたのだから、彼らの感覚も分からないが。

 でも、周辺の街で毒殺を実行できるほどのシンパが残っているということを考えれば、ある程度兵を与えれば、再度蜂起も考えられたのか?


 「まぁ、俺達のような平民にゃ、どんな死に方だろうが、死は死だとしか思えないがな。それで生き残った自分達も捕らえられることになるだろうしな。」


 「同感です。判りたくもありませんね。」


 「でも、俺がそんなことを言ったなんて言うなよな。一応、俺もエーデルシュタイン公爵家に忠誠を誓った騎士だからな。」


 「はい。」


 そうだよな。彼も騎士だから、忠誠を誓っているのだよな。

 あれでも?俺は疑問に思い彼に聞き返した。


 「あ、そう言えば、公爵家に忠誠をと言っていましたが、確か騎士は王家に任じられるのですよね。なのに忠誠は公爵家なのですか?」


 俺が任命された時に王家に任じられたのを思い出しそう尋ねた。


 「ああ、よく知っているね。任命は見たこともない王様にされたことになってるけど、忠誠を誓うのは実際に目の前にいる主に忠誠を誓うんだよ。」


 「なるほど、そう言う仕組みになっているのですね。」


 うん、王様にはそれほど権力がないのか。

 まぁ、俺のゲーム設定でも中世風の時代設定でゲームを組み立てたしな。

 国の中で立身出世も出来ると言った感じになっていた。

 そんな世界観をなぞっているのだから、貴族同士で争いでミヒャエルのような奴が担ぎ上げられたりするのだろうな。


 「そういうことだ。で、冒険者についてだけど……。」


 その後、騎士も冒険者に興味があるらしく、俺の話を打ち切り、いろいろ聞いて来た。

 それには適当に盛り上げるようなことを言いながら、それに応えていく。

 まぁ、彼は平民でありながら、騎士になっただけあって、幼い頃から剣を振り回していたらしく、冒険者にも憧れていたそうだ。

 彼は公爵家の騎士従者に選ばれることができたので、冒険者のことはそこまで知らないらしい。

 なので、俺の話を楽しそうに聞いてくれた。


 しばらくして、ミヒャエル達に再度『生命再生』を施しておく。

 初級の『小回復』でもいいのだろうが、実際に傷とかないのに回復させて回復するかも疑問だったので、というか魔法の効果がいまいちわからないんだよな。

 ゲームをデザインした俺が言うのはなんだけどもね。実世界だと人物の上にヒットポイントバーとかある訳じゃないから、本当によくわかんないんだよな。

 そう言えば、本当に副管理者から返事ないな。

 あいつ忘れてたり、知らないことにしたりしてないだろうな。

 騎士との会話も一段落し、ミヒャエル達に魔法も施したりして、一段落していたそんな考えをしていた時に、ミヒャエルが意識を取り戻した。


 「おい、大丈夫か?」


 俺がミヒャエルにそう声を掛ける。

 騎士は外で並走している騎士に合図を送る。

 たぶん、ミヒャエル達が意識を取り戻した際の合図なんだろうな。


 「う、ここは、馬車の中か?意識が急に亡くなったのだが。なぜ、お前が馬車の中にいる?」


 「記憶や意識はしっかりしてそうだな。お前は毒か何かを前の街で盛られたらしいのだが、心当たりはあるか?」


 「あいつらが……。」 

 

 どうやら心当たりはあったらしいが、ミヒャエルは黙り込んでしまった。

 毒を盛られても、味方だった人物を庇うのか。

 立派と言えば立派だが、俺は関わりたくないから、さっさと貰うもの貰ったら、領都を離れたいな。

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