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第67話 公爵家からの依頼を聞こう

 馬車で宿の前に着くと、もう一台の箱馬車が停まっていた。

 その前に宿の従業員がきょろきょろしながら、立っている。

 そして、俺達の馬車を観止め、手を振って来た。

 なんだ?

 俺達の馬車が停まると、大急ぎで近づいて来た。

 彼は馬車にいる俺を見つけたのか手を振って来る。

 馬車が宿屋の前で止まったので、彼に声を掛ける。


 「どうした?何かあったのか?」


 まぁ、目の前の馬車で何となく予想が付くが……。


 「良かった。お客がお見えになってます。先方はもうかなりお待ちになっているんですよ。さぁ、こっちに来てください。」


 宿の従業員はそう声を掛け、俺達を急がす。

 俺も、ここまで送ってくれた御者にお礼を言う。

 すると御者は、あの馬車はエーデルシュタイン公爵の馬車ですねと、馬車の紋章を見て教えてくれる。

 御者なのに他家の紋章が判るのか凄いな。

 いや、同じ派閥の上位の家だから、知っていたのかな。

 まぁ、教えて貰ったことに礼を言い、後で内容についても問題のない範囲で報告すると伝えおいて貰うように頼んで置く。


 そして、従業員の案内を受け、前に利用したこともある宿の応接室に通される。

 中に入ると、リアとミサ、パルマがすでに座っていた。

 相手は、最初に会った騎士団の女騎士ともう一人同行してた騎士だ。

 女騎士の名前は、確かシルビアさんだったけ。

 リアとミサがソファから立ち上げり、後ろの椅子に移る。

 替わりに俺とディートが前に座り、今までのことをパルマが簡単に説明してくれる。


 うん、どうした物か。

 公爵家の話はこうだ。

 捕らえたミヒャエルを処分するため、公爵領に連れて行くのに公爵家の手勢が足りないので、ある程度内情を知っている俺達に同行をお願いしたいらしいんだ。

 王都では、王家の許可がないと、例え家人であろうと、処分は出来ないらしい。

 護送の報酬は、一週間の護衛任務の相場よりかなり高い金額、金貨30枚を示されたらしい。

 もちろん、口止め料なども含まれているだろうがな。

 そういうことなら、とりあえず、公爵領を経由してイオナに向かう場合の所要時間をディートに聞いてみる。

 通常の街道を使うと森を大きく迂回しないとい置けないらしく、結構時間が掛かるようだ。

 話を持って来たシルビアさんが王都から公爵領都までは、馬車で一週間くらいかかると説明してくれた。


 本当にどうしようか?とりあえず公爵領都までは、護衛だから誰かいる訳だから家は使え無いし、料理もあまりいいものを食べるのはまずいかな。

 そうなると、かなりの不便を強いられるんだよなぁ。

 でも、侯爵と同じ派閥だと言うし、協力すんのがいいのかなぁ?

 そう考えていると、隣のディートが質問を始めた。


 「あの他の派閥の騎士か兵士に協力を仰ぐのは?」


 そうだよね。なにも俺達があえてすることもないよな。


 「それは、我が公爵家もそうですが、王都にいる手勢はどこも最低限しかありません。手勢を貸す余裕などどこもありません。それと、仮に借りることが出来ても、公爵家の醜聞を広めることになるので、声を掛けることはないでしょう。」


 ああ、貴族の面子というやつか。

 まして、一番高位公爵家となると、余計他家には頼れないし、事は醜聞になるような事だから、仕方がないのか。


 「なるほど、仮に俺達が受けたとするといつくらいに出立する予定だ?準備もあるから、その辺は話を受ける前に聞きておきたい。」


 俺も、シルビアさんにそう疑問をぶつけてみる。

 よく考えたら、俺達は侯爵家のに手つきになっているし、関わるのはどうなのだろう?

 それにあまりに俺達に配慮がないのなら、断った方がいいしな。


 「まぁ、彼らをそそのかした連中が再度動くかもしれないので、早めには行動をしたいのですが、あなた達の準備にある程度合わせたいとは思っています。」


 「ふむ。どうするみんなは?俺はイオナに帰るまで王都にいても、もうやることないし、かなりの不便があるけど、まぁ、そう言った経験をするのもいいかと思っているのだけど。」


 向こうもこちらに譲歩する気はあるようなので、不便を強いられるけども、協力してもいいかなと思い、自分の意見を述べて、仲間の意見を聞いてみる。


 「そうですね。ここで無為に一週間ほど過ごすよりは、一週間余計にかかってイオナに帰ることになりますが、協力してもいいかもしれませんね。」


 珍しくパルマがそう最初に意見を述べる。


 「パルマは、公爵領の布製品が欲しいのでしょ?領都ならいろいろなデザインが揃ってますものね。まぁ、私も異論はないですわ。」


 それを聞いて、ディートがそう答える。


 「あたいも、受けてもいいぞ。」


 「同じく、いいわよ。」


 「はい、行きましょう。」


 そして他のメンバーもそう同意する。

 よし、決まったようだな。


 「ということだ。依頼を受けさせて貰う。では、二日後には準備を整える。それで、護送の予定を組んでくれ。」


 「ありがとうございます。では、それで予定を組まさせていただきます。依頼の契約書は後で、こちらにお送りします。それと公爵に頼んで領地の名産の布をいくつかお譲りするように頼んでおきましょう。」


 シルビアさんはそう言うと、俺達に一礼をして足早に部屋を後にする。


 「貴族様に差し出した布を貰えるかもしれないぞ。よかったなパルマ。」


 シルビアさん達を見送った後に、そう言った。


 「決して布に興味があるから賛成したわけではありません。ここで無為に過ごすより、お金を稼いだ方がいいと思ったからです。」


 「そうなのか。ならいいが。」


 パルマ本人が否定するなら、それ以上追及しないでおこう。


 「で、私達はイオナに帰る準備を終えていたのに、なぜ二日も猶予を貰ったのです?」


 「そう言えば、この前買い出しも終えてたよな。」


 「うん?まさか騎士達の前であんな料理食べるわけには行かないだろ。保存食を買ったりしないとだろ?」


 さすがに俺の鞄から出した新鮮な肉や野菜とかを食べるわけには行かないから、ディートとリアの言葉にそう答える。


 「それはそうか。でも、保存食か…。」


 「まぁ、米料理にするから黒パンより遥かにマシになるだろうし、干し肉も一緒に茹でたりすればマシになるのでは?いろいろ試して行こうじゃないか。」


 俺の言葉お聞いて、残念そうにするリアに少しでも安心して貰おうとそう説明する。

 そして、周りを見回すとみんなも微妙な顔をしている。

 あれ、みんなもしかして、食べたり寝たりすることまで考えていなかった?


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