第64話 騎士団と交渉しよう
とりあえず、俺はまだ馬車の中で休んでいるミヒャエルさん達にエーデルシュタイン公爵とやらの騎士が近づいてきているので、確認して欲しいとのことを伝える。
彼らは困ったような顔をして、お、互いを見合わせると仕方なしと言った感じで、馬車から出て来た。
そして、近づいてくる一団を見て間違いないと告げて来た。
こちらはお互いの関係が判らないので、どうするべきか指示を仰ぐ。
彼らは困ったような表情を浮かべる。
少なくても味方ではないな。で、どうするつもりだ?まさか、貴族の騎士団相手に戦えなんて言ってこないよな。
そして、彼らはお互い目を合わせると、つないである馬めがけて一目散に走る。
ん?なんだ逃げるのか。
俺達は慌てて後を追い、それを阻止しようとする。
もう、俺達の物を奪おうと考えるなんて、その時点で依頼人ではないからな。
「あいつらを捕らえるぞ。」
俺はすぐさまそう指示を飛ばす。
それに向こうは貴族とその従者とは言え、冒険者である俺達に比べれば身体能力も劣っているうえ、こちらは既に魔法で身体を強化している。
馬に辿り着く前に、彼らを捕らえることに成功する。
彼らは必死に体を動かし、俺達から逃れようと抵抗する。
しかし、俺達は逃げられないように体を地面に押さえつけ、無力化し、武器を取り上げ、手足を拘束する。
さて、どうなるんだこれ?
やがて騎士団が近づいてくる。
騎乗している脚竜とやらは、近くで見ると大きさは馬より少し大きい感じだが、二本脚なので体長はそれほどない。
ただ、その分小回りは聞きそうな印象だ。
俺達は状況が判らないので、近づいてくるその騎士たちをただ眺め見ている。
目の前に到達したとき、騎士の一人が俺達に声を掛けて来る。
「そのほうらは、冒険者か?」
兜をかぶっていたのでよくわからなかったが、その声は女性の声だった。
騎士と聞いていたから、男性ばかりと思っていたので、一瞬驚いたが、慌てて返答し、自己紹介と仲間を紹介する。
「はい。その通りです。私はギリーと申します。そして……。」
「私達はエーデルシュタイン公爵麾下の騎士団である。先程、遠目に見て揉めていたようであるがいかがした?」
む、向こうは所属のみの名乗りか。すると平民に名乗りをしないと言うことは、この女性もある程度身分があるのか?
まぁ、変に目を付けられないように丁寧に答えておきましょう。
「今朝方、狼に襲われていた一行を助け、王都に向かっている途中にあなた方が近づいているのに気付いたので、彼らに声を掛けたところ、急に私達の馬を奪って逃げようとしたので、捕らえた次第でございます。」
「ほう、冒険にしては丁寧な口ぶりだな。なるほど、わかった。すまないが、その者達を確認させて貰えないだろうか?」
「口調は商人を目指しているので、勉強中でつたなかったらすみません。かまいません。どうぞ。」
あ、また、つい日本での癖で丁寧すぎなくらいに話しちまった。
適用に誤魔化して、さっさと検分して貰おう。
そっちの用のある人間なら、さっさと持っててください。そう思い、女騎士に捕らえた男達を見せるため、案内をする。
捕らえた男達は俺を見て文句を言う。
「依頼人を捕らえるとはどういう了見だ。解放しろ。」
「そうだ、この極悪人が。」
「私は貴族だぞ。こんな仕打ちしてどうなるかわかっているのか。さっさと逃がせ。」
よくもまぁ、人の物を奪おうとしたのに、よく開き直ってそんなこと言えるよな。
俺は半ば感心しながら、近づく。
そして、俺の後ろにいた女騎士を見て、態度が急変し、途端に黙り込む。
「ほう。貴様が貴族を名乗るのか。いい度胸だな。」
彼女は彼らを見るとそう言い放つ。
ん?こいつは貴族じゃない?貴族だと騙るとまずいのでは?
よく事情を呑み込めない俺はただ眺め見ることにする。
ミヒャエルと名乗った少年はそう言われて黙り込む。従者と名乗った二人も同様に大人しくなる。
「ふん、その程度の覚悟で蜂起してたのか。だから、蜂起中にさっさと逃げてしまったのだろうがな。」
「……。」
どうやら、こいつらが俺達に話していた内容とは逆だったようだな。
「こいつらは、我らが追っていた者で間違いがない。身柄を引き渡して貰いたいのだが、構わないだろうか。」
こんな奴らと関わっていても仕方がないでの、さっさと引き渡したいので同意することにする。
「もちろん、かまいません。」
「ありがたい。ただ、我らの乗り物は一人乗りでな。すまんが、彼らを王都まで連れて行って貰えないだろうか?」
え、それって、結局最初の条件と変わらないし、報酬も出ないしで、いいことないんじゃないか。
さすがに納得できないので、俺は拒否をする。
「いや、金も出ませんし、俺達の物を盗もうとした連中と同乗はさすがに嫌ですよ。」
「確かに、貴様の言い分はもっともだが、礼金は払うし、周囲は我らが護衛するのだ。それで受けてはくれまいか。」
いや、あなた方と一緒というのがすごく面倒そうなのですが。
「しかし、……。」
そう言い淀んでいると、付近の村人と馬車を徴用すると村人は帰りもあるし、それに今から徴用すると確実に今日中に王都に辿り着けなくなり、村人に負担が掛かってしまうのだがと言ってきた。
村人の苦労までは、知らんがな。そうは思うが、確かに村人だとはした金、もしくはただ働きでという可能性もあるか。
でも、ここは公爵領ではないから無料はないかな。
だが、用もないのに王都まで行って、泊りで戻って来るなんて、村人には確かに負担が重いだろう。
俺は悩んだ末、伝家の宝刀、仲間と相談を持ち出す。
相手は俺がリーダーなのに相談が必要か?向こうはと言っていたが、何でも一人決めないと決めたので、俺の要求をのませた。
ただ、騎士団を前にしての相談となり、あまり素直な議論が出来なかった。
そのため、移送の件は渋々ながら、受け入れることになった。
まだ、なんとか今日中に王都に辿り着けると言うことで、我慢することにした。
一応、報酬は出してくれるんだが、まぁ、人助けで受けた最初の王都まで捕らえた三人を連れて行くときに受け入れた報酬と同額となった。
まぁ、上乗せ要求は難しいので仕方がないね。
そんな訳で、捕らえた彼らを連れて騎士団と共に王都に向かう事になった。
出来れば王都についたら、さっさと彼女の騎士団とおさらばしたけどできるかな。
何事もなく、王都に向かうが、その途中に俺達は手前の牧場に預けたいので、その辺を騎士団と交渉するが、王都に入るための税金を支払うので王都の仲間で、正確に言うと公爵邸まで連行して欲しいと言われてしまった。
なんか、面倒に巻き込まれないようにと考えてるのにどうも思い通りに行かないな。
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