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第63話 乗り気でない依頼を受けよう

 話し合うと言っても、二択しか回答がない。

 しかも、相手は爵位はわからないが貴族の子息っぽい、あまり失礼にも扱えないので、選択肢はないと言っていいのかもしれないが、話し合うことにする。


 「さて、どうしようか。」


 「相手は、貴族様だろ、あまりぞんざいに扱えないだろ。」


 俺の問いに、いつもどおり、リアが最初に意見を述べる。

 まぁ、正論なのだが、侯爵と仲良くなってしまったのも、予定外だし、また、貴族と関わって面倒事に巻き込まれたくはないんだよな。


 「リアの言うとおり、受けるしかないんじゃ?」


 「そうですよね。」


 リアの言葉を聞いて、ミサとティアはそう意見を述べる。

 確かに受けないと、俺達が王都に向かうのは面倒のもとになるか。

 でも、彼らを信用して平気なのかも疑問が残るんだよな。


 「まぁ、どうしても嫌なら、馬を供出して先に行って貰うのも出来なくもないですが、相手のお家騒動が王都でどうなっているかによっては、戻って来るかもわかりません。

 さらに、彼らの反対勢力が王都の方を掌握していた場合、先にあの三人を向かわせた場合、あとでそれらが私達を口封じに襲ってくるかもしれません。

 なんせ女性五人に、男性一人のパーティーなんて、珍しすぎて目立ちますからね。」


 悩んでいる俺を見て、ディートは別の案とその問題点も上げてくれる。

 それもあるが、彼らが自分達が王都に入ったのを知られないため、俺達の口封じを差し向ける心配もあるよな。

 それに馬だって、一緒に旅をしてきたんだし、戻ってこない可能性を考えると金額的には惜しくはないが、愛着はある。

 やはり、一緒に行くのがいいか。王都での対応は、本当に俺達で対応できなそうなら、侯爵家に逃げ込むと言うことも可能だしな。


 「まぁ、馬はかなり一緒にいるんだ、愛着があるから、失いたくはないな。それと戻る途中、襲撃をされるというのもあまり好きじゃない。一緒に向かえば、まだ、対応のしようもあるか。」


 「うん。馬も取られて、襲われるのは嫌かな。」


 「そうなると、やっぱ受けるしかないんじゃない。」


 「しかたがないか。幸い今からなら、日も伸びたし、城門が閉じる前に王都に入れるだろうし、馬車は金は掛かっているけど、秘密にするほどの物でもないからな。」


 「なら、早く動いた方がいいわ。彼らに追手が掛かっていないとも限らないですしね。」


 そう話がまとまったので、回答を伝えるために三人に目を向けると、貸した剣を使って、屠った狼を解体していた。

 何しているんだ?

 俺達が彼らに目を向けたのに気付いたのだろう。

 一人が俺達に話しかけて来た。


 「すまない。ここ数日水と野草くらいしか口にしていなかったので、腹が減ってな。狼を処理して食そうと思ってな。

 もちろん君達の得物だと言うのは承知している。金は王都につき次第、用意するので買い取るつもりだ。安心して欲しい。」


 いや、それでも解体する前に一言断って欲しいな。

 しかし、狼って食えるのか。まぁ、地球でも、犬を食べたりする文化があるから食えるのだろう。

 どうも先程から貴族の特権意識がちらつくな。そう考えると侯爵家は貴族として随分まともなのかな。

 まぁ、いいや。


 「狼の肉をゆずるのは別に構いませんが、先を急ぎますので後ほど食してください。

 とりあえず、話し合った結果、王都までの同行依頼、受けさせて貰います。

 馬車があるので、今日中に王都につきたいので先を急ぎますよ。食事はこちらで用意しますので、今はそれで我慢頂きたい。」


 俺はそう伝える。食事とかもできるだけ、出したくなかったのだが、腹が減っていると言われては仕方がない。


 「依頼を受けて頂いて、かたじけない。いや、今日中に王都につけるのであれば、狼の肉は不要だ。では、すぐに向かおう。」


 そう言って来たので、狼をどうしようか迷ったが、あそこまで中途半端に解体されては、馬車に載せるのも無理だし、三人も余計に載せるので、狼も解体されていない狼も邪魔になるので諦めることにする。

 それでも、そのまま放っておくと森から野生動物を招くことになるので、ミサに魔法で狼を焼却して貰う。

 焼却後、延焼させないため、死体に土をかけ、それが終わると、彼らを馬車に案内する。


 そこで、一応彼らの名前を聞いたが、家名を知られたくないようで、少年はミヒャエルと名乗り、従者たちはオットマーとニクラスそれぞれと名乗った。

 これ、家名を名乗ってないけど、王都でこのまま逃げられたりしないのかな?

 そんな風に向こうは情報封鎖し、こっちもあまり詮索されたくないので、余計なことをしゃべらず、ギスギスした感じで王都に向かう。

 馬車の中では、三人が腹が減っているとのことなので、あまり美味しい食べ物で目立たないようにと、非常食として鞄に入れていた白米の握り飯を渡す。長粒米だが、水分量を多くして握った物だ。

 やはり、米を食べたことがなかったようで、文句を言いながら彼らは食べていた。

 本当に面倒なのを拾ってしまったよ。


 男三人が居るので、馬車の荷台に俺が入って彼らの相手をする形でいる。

 御者台には、リアとミサが乗っている。

 あの二人は本当に貴族と一緒になるのを避けるよな。

 そんなことを思っていたら、御者台からミサが俺を呼ぶ声がした。。


 何事かとそちらに近づき、幌から顔を出して話をすると、後方から馬のようなものが五騎ほどこちらに近づいていると報告があった。

 後ろからと言うと、三人を追って来た追手か?

 その報告を聞き、俺も探査をかけてみる。

 確かに後方から近づく一団があるな。まだ、距離はあるが、やがて追いつかれるだろう。

 さて、どうするか?このスキルも知られるわけには行かないから、ぎりぎりまで追手のことは伏せておかないとだな。

 それと、近隣の村の近くに獣を呼び寄せないように狼を焼却したのは悪手だったかな。

 こうも早くこちらに向かってきたということは、煙で位置を知らせてしまった可能性が高いからな。

 さてどうするか?彼ら三人がいるから、ディート達と相談もできないしな。


 ある程度近づいて来たので、俺は皆に休息を提案する。

 馬車の中で襲われるより、馬車を降りているときに襲われた方が対処できるからな。


 「少し早すぎないか。我々は一刻も早く王都に向かいたいのだが。」


 そう彼らからは反対の声が上がったが、俺はあそこに到達するまでも移動をしていたし、こっちは長いこと休息をしていないんだと反論をした。

 俺の言葉を聞いて、何かあったのだろうと察してくれたのか、ディートとパルマが俺の言葉に同意してくれた。

 俺達にそう言われては、強く反論できないので、彼らからもしぶしぶ同意が貰えた。

 そこで、俺は御者台の二人に声を掛け、休息に適した場所があったらそこで休息をすることを告げる。

 もっとも、リアも探査を使えるので、実際に危険になる前に休息に適して居なくても、馬車を止めてくれるだろう。


 やがて、なんとか休息できそうな街道沿いの木が立ち並んでいるところ見つけ、馬車をそこに寄せて、休息を準備をする。

 そこで、休息を取る振りをして、皆で馬車を降りる。

 その時、ディート達、馬車の中にいたパーティーメンバーに追手のことをそれとなく伝える。

 馬を馬車から外し、綱を木に結んで桶に水を入れてやる。

 そうして、馬を休息させつつ、俺達は追手が来るより先に強化魔法を掛けて、臨戦体制をとる。

 これで、向こうが仮に中級の武芸の書まで使えても、かなり優位に立ち回れるだろう。


 やがて、小さな点で、こちらに近づいてくる一団が見える。

 向こうも俺達を見つけたはずだが、勢いを落とさずにこちらに近づいてくる。

 よく見ると向こうが騎乗している動物は馬ではなく、二足歩行のダチョウをもっと体格をよくしたような生き物に乗っていた。


 「なんだあれ?馬じゃないよな。」


 「ええ、あれは脚竜と言われている鳥と蜥蜴を合わせたような動物です。エーデルシュタイン公爵家の騎士だけが騎乗を許されている物ですね。」


 なんか、絶対これ面倒事になるよね。やだなぁ。

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