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第61話 休息をしよう

 それから、俺達はしばらく王都での休息を満喫している。

 とはいっても、人がある程度多いだけで、特に何がある訳でもない王都で、俺は訓練で体を動かす以外は、ゴロゴロするだけといった生活をしている。

 こんな時、副管理者の何だっけ、アーセルさんか。会いに来て欲しいんだけどな。

 そんなことを思い、一応神殿にも何度かは足を運んだが、会えずじまいだった。

 本当に時間の流れが違い過ぎて、俺が生きているうちに連絡するのを忘れたりされないよな?


 一方、女性陣は、俺よりは出歩いているみたいで、程よい休息をしているようだ。

 もっともディートとティアは教育で頻繁に侯爵家に通っているので、それほど休息という感じでもないようだけども。

 しかし、あまり侯爵家と俺達が接触していると言うのは目立って良くないのでは?と思い、たまたま、ディートと二人だけになった時に、尋ねたことがあったが、こう言われてしまった。


 「確かにあまり接触をするのは良くないですが、今はまだ、王子殿下にもドロップ品を渡していませんし、侯爵回りもさほど騒ぎになっておりません。

 今の内ならまだ、周囲もたかだか一侯爵家に目を光らせている存在はそれほどありませんから問題ないでしょう。

 王子殿下にもドロップを渡せば周囲で騒ぐ者も現れるでしょうから、接触を控えなければですがね。」


 なるほど、この中世のような文明社会ではカメラなどもないし、過去を洗うのは大変な訳か。

 見つからないよう、人力で周囲で聞き込みをすれば、目立つだろうし、相手に知られないように情報収集をするのは難しいか。

 ドロップ品を持っていった時も、俺達に配慮した形で鑑定人達とも顔を合わさせなかったし、彼らとて信用第一だから、鑑定した物の話をを外部に話したりしないだろうが、今後、彼らが鑑定をしたのが万一漏れてもそこから俺達に辿り着くのは難しいか。

 屋敷の人間だって、見ず知らずの者を受け入れたりしないだろうから、同じ派閥からの紹介だろうしね。

 派閥の味方が味方が出し抜こうとした場合以外は、外部に漏れにくいし、味方なら、わざわざそんなことしないだろう。

 だから、今のうちにディート達に詰め込み教育をしているわけか。

 

 なら、なおさら、今後侯爵から貰った短剣は滅多に出さないようにしないといけないな。

 そのためにも、慎重に動かないとだな。

 やっぱ、その為にも俺も常識を侯爵家で教えこんでもらえばよかったな。

 そんなことを考えてみる。


 「俺も今のうちにいろいろ学びたかったな。なんて思ってません?」


 俺が何考えているかわかっているかのように、そんなことをディートが言ってきます。


 「い、いや、そんなことないですよ。」


 俺はそう否定しますが、ディートは構わずしゃべり続けます。


 「どうせ、ギリーは快適に過ごすためには妥協する気はないのですから、変に知識を入れて考えないでいいですよ。ただ、必ず私達と相談してくださいね。まずい時は助言させてもらいますからね。」


 そうだな。なんか俺がこの世界の元になるようなゲームを作って、そこを途中でやめてから、今まで一人で生きてきたこともあり、なんでも勝手に決め過ぎてたかもしれない。

 この世界では仲間がいるんだ。今までのように自分勝手に決めずに、これからはもっと相談して行こう。


 「ああ、わかったよ。」


 「いい返事です。」


 なにその言い方、かわいいけど、なんか俺が操縦されている感があるな。まぁいいか。


 「ああ、よろしくお願いします。」


 「なんです?その言い方は、気持ち悪いですよ。」


 「えー、俺への愛はないのか。」


 「知りません。それとまだ、婚約中です。そんな簡単に愛とか言うものではありませんよ。」


 え?時代的に恋愛とかに対しても、いろいろタブーは多そうだけどそれもいけないの?

 照れ隠し?という訳でもなさそうだよね。


 「本当に?婚約中は本来どんなものなの?」


 疑問に思い、そう聞いてみる。


 「え?今までと特に変わらないわよ。恋愛なら少しは親密に振舞うかもだけど、前も話したとおり贈り物し合ったりもめんどくさいしね。滅多に会えない貴族同士とかなら、手紙のやり取りをしたりするらしいけどね。結婚するまでは特に変わるようなことはないと思いますよ。」


 「そうなんだ。勉強になったよ。」


 え、今までと変わらない?そうだったの?それなら、気軽でいいか。

 デートに誘わないといけないのかなとか、考えていたけど、ティアもディートも忙しそうだったので、誘わずにいたけど、それで正解だったんだ。

 

 「では、もういいかしら。」


 そう言って、ディートは去って行こうとする。



 そう言えば、ディートへの告白ははぐらかされて、まだしていなかったな。

 そう思い、呼び止める。


 「ちょっと、待ってくれ。」


 「どうしたの?まだ、聞きたいことがあるのかしら?」


 「いや、ディートには、まだ言っていない言葉があったのを思い出してな。結婚してくれないか。」


 そう言って、リア達同様指輪を渡す。


 「あ、ありがとう。では、失礼するわね。」


 ディートはそう言って、受け取ると、恥ずかしそうに立ち去る。




 そんなことがあってから、しばらく過ぎ、ディート達も侯爵家でのレッスンや教育が終わる。

 だが、まだイオナの街がある方の山脈を見るとまだ雪に覆われている。

 リア達に聞いても少なくてもあと一カ月は雪に閉ざされているそうだ。

 王都に来るときは狩りをしながら来たので、それ位の時間をかけて来たが、帰りは同じルートを通るのもつまらないので、今回は話し合って普通に街道を使って戻るとする。

 それなら、イオナの街にはゆっくり向かっても二週間あれば帰れるので、完全に雪解けが終わってから帰ることにしている。

 途中で立ち往生とかになると面倒だし、ぬかるみの中馬車を走らせるのも、危なそうなので安全第一ですよ。


 ただ、王都と言ってもそれほど娯楽がある訳でもないので、王都で過ごすのも飽きてしまっていた。

 なので、また、王都を出て、近郊で適当に過ごすことにする。

 宿屋暮らしが飽きたこともあるし、料理も侯爵家で作って以来、しばらく作っていないと言うこともあってその辺も含めて、気分転換と旅をするリハビリを兼ねている。

 前回、料理のレシピを考えた時に使った街道を再び、俺達は行くことにする。

 冬と言うこともあり、特に人とすれ違うこともなく、前回同様街道がなくなる場所に辿り着く。

 そして、また、馬だけで少し奥へと向かい、人が来なそうな場所で家を出して、そこで寛ぐことにする。 

 そこで、しばらく魔法を使た連携の確認や、訓練も行いつつ、料理作りを楽しむ事にする。

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