第60話 お菓子作りをしよう
そして、侯爵家にお菓子を作りに行く日が来た。
それと、ディートとティアの行儀作法のレッスンも侯爵からこの日からと言うことで連絡を貰い。
また、馬車を用意して貰い侯爵家に向かう事になった。
自分達の馬車で向かう事も考えたが、あのお屋敷街を幌馬車で向かうのもあれだし、侯爵が迎えを寄こすと言ってきたので、きっと幌馬車で来るなと言うことだろうと納得し、自分達の馬車はまた牧場に戻し、素直に侯爵の好意に甘えることにした。
まぁ、今回もディートとティアはレッスンで別れるが、菓子作りに関しては人数が居ても一品づつ教えるのと、イオナの街の屋敷ほど料理人がいなかいのもあり、俺達三人で何とかなると考え、教えることにする。
菓子作りは、さんざん俺達が作って来た菓子ばかりなので、説明も含め結構スムーズに進む。
ある程度指導が一段落して、魔導オーブン焼く作業になった。
屋敷に訪れた時、家令さんが時間があるときに料理と今回のお菓子の報酬の話をすると言われたので、あとはリア達に任せて、家令さんの所に向かう事にする。
俺と話し合う前に、ディートを同席させた方がいいか聞かれたが、これぐらい俺だけで出来ないといけないだろうと、俺だけで受けることにした。
家令さんと話をこのまま俺と話を進める。
今回の話を進めると、俺達が用意した料理についてはすべてのレシピを買い取ってくれると言うことになった。
「え、あのレシピを全部買い取って頂けるのですか。」
「ええ、侯爵家の皆様にご試食頂いて、すべて合格が頂けました。勿論、料理によってはパーティーに出すには好ましくない物もございましたが、日常で食べる分には皆問題ないとのことでしたので。」
あ、この言い分だと家令さんはその料理をあまり好ましく思ってないな。
そう思い、その分は値引きして受けようと条件を提示する。
「では、パーティーとかで使う料理は今までの料金で、それ以外は金貨一枚でいかがでしょうか。」
「いえ、そのような配慮は不要です。それに今はそのような扱いですが、今後変わるかもしれませんので、すべて今までと同様に買い取ります。」
家令さんはそう言って、すべて同額で買い取ると言ってきた。
確かに今後どうなるかわからないから、その言い分も分かるな。
値引きを提案してもいいけど、貴族ってそい言った提案は好ましく思わないんだよな。
相手の言うとおりにするしかないか。
「わかりました。」
そうして、金銭の話を詰めて、いつもどおり契約書の用意を行う。
それを待っている間に家令さんが話かけてきた。
「新しい穀物の料理を今回の料理いくつか今回提供して頂きましたが、どうしてでしょうか。」
うん、俺が食べたかったという理由じゃ、理由にならないか。
もっともらしいことを適当に言っておくか。
「あれは、小麦が育ちにくい南方で育成ができる穀物でして、しかも、小麦より一粒当たりの収穫量が遥かに多いので、この国でも育成出来れば豊かにできると思いましたので、今回それらの使い道として提案させていただきました。」
「なるほど、素晴らしい見識ですな。とても一介の冒険者とは思えませんですな。」
「あ、いや。俺もディートの事業に一丁咬みしてますので、一生懸命勉強してんですよ。米を買い付けした時にどうやって食べるかなど聞いて参考にして工夫しましたからね。」
本当のことは言えないので、更に嘘に嘘を重ねる。
「なるほど、ますます冒険者にしておくのは惜しい御仁ですな。」
なんかうまく誤魔化せていないよな。ますますドツボに嵌まってるような。
「いや、料理の知識も冒険者として各地を巡っていた母の知識が役立っているだけですし、魔物との戦いについても両親からの言葉が参考になっていますので、やっぱ、根は冒険者がいいんですよ。」
「なるほど。そういう話を聞くと冒険者は奥が深いのですな。」
「ええ、まぁ。」
もう、いい加減に話しているので、あまり突っ込まないでください。
そして、やっと、契約書が来たので、契約を終えて、報酬を貰う。
まだ、菓子作りが終わっていないのに貰っちゃっていいのかなと思いながら、受け取る。
その後も、米のことを色々聞かれたが、別に農家でもないのでわかる範囲で答える。
でも、この世界の米って、地球の米と同じ作り方で良かったのかな。
説明してから、ふっと不安になったが、説明してしまったので、観念することにする。
どうか、違ってませんように。
それから、しばらくして料理人が俺を呼びに来て、菓子が一通り出来上がったと告げに来たので、一緒に厨房に戻ることにし、退出する。
厨房に戻り、出来栄えのチェックを行うとともに、皆と試食することにする。
この時、すでにマナーなどのレッスンが終わったディートとティアもすでに厨房に来ていた。
ディートはともかく、ティアは冒険中は俺の昼食のパンケーキくらいしか食べてないからね。
なんか試食を楽しみにしていたようだ。
侯爵家の料理人たちとも一緒に一緒に試食する。
料理人たちともすでに料理と菓子を二度も一緒に作ったりしているので、解れた雰囲気で試食が進む。
甘い物を食べる機会は例え料理人でもなかなかないようで、まぁ、本職の料理でなく、今回は菓子の試食だからか、みんな楽しみながら試食をする。
評価も、うまいとか美味しいなとか抽象的な言葉が多く、結構気軽な雰囲気が感じられるが、実際作るのに慣れてない物作るのにそんな雰囲気でいいのか疑問に思い、隣にいた料理人に聞いてみる。
「ああ、菓子については、料理長がと菓子担当がメインで作るので、覚えはしたけど作る機会は暫くなさそうなのでね。」
「そうそう、菓子の材料は高いから、俺達に任せられるのは俺達はまだまだ先になるからね。」
「なぁ、材料が高いから、触らせて貰えないからね。今回は純粋に頼まして貰ってる訳だよ。」
なるほど、ただ、パーティーの時作るとなるとそれなりに数を作ることになってたし、そう簡単ではないと思うが、俺がとやかく言うことではないので、それは黙って聞き流す。
ただ、料理長ともう一人、恐らく菓子担当は、料理の時と同じように一生懸命質問を浴びせられる。
また、他にもレシピが無いか聞かれる。
俺も料理は毎日作っていたが、菓子は暇な時だけだったし、材料と分量が簡単な物しかレシピ見ないで作れないから、これが限界なので、細かなことを聞かれても厳しい。
あー、でもプリン位なら、生クリームたっぷりにしてバニラビーンズなしのなら、作れるか。
まぁ、ここで披露しても、面倒なので言わないけどね。
そんな感じで、試食も無事済み、俺達は侯爵家を後にする。
これで、とりあえず俺は騎士の叙任式の時に顔を出せば、今後何事もなければ用済みとなるな。
もっとも、ディートとティアはこれからしばらく侯爵家に通い詰めになるから、大変だろうけど。
そして、宿に帰り、今回の報酬を皆に知らせる。
前回の報酬から金額が金額なので、宿に気軽においておけないし、持ち歩くのも大変なので俺が預かることにしている。
なので、報告だけだ。
俺みたいなのが居ない場合どうしているかと言うとギルドが預かりってくれるそうだ。
ただ、ギルドに預けるのはいろいろルールも面倒らしいので、すぐに出し入れできる俺に管理をお願いしていると言うことらしい。
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