第59話 パーティー装備を作ろう
翌朝は、昨日話していた衣装を買いに、侯爵より紹介を頂いた服飾店に皆で伺うことにした。
女性の買い物は長いから本当なら遠慮したいが、俺が勧めないと本当に皆、最小限しか買わなそうな気がしたので、覚悟を決めてどうこうすることにした。
高級店が立ち並ぶ通りからは少し外れたところにある中級階層の店が立ち並ぶ一角にある店だ。
うん、こんな店でも紹介状が必要なのか。
そんな疑問を呟くと、ディートがその訳を教えてくれた。
基本、中古を扱う服飾店以外はすべてオーダーメイドなのだが、紹介状があると店頭用の見本に用意している物などから、丈直しで済みそうな物をすぐに用意して貰えるらしい。
産業革命前なので、大量生産、大量消費という社会でないから、衣服一つ作るにも、結構な時間と金額が掛かるから、そんな仕組みになっているのも仕方がないのかなと納得する。
紹介された店の前に着くと、かなりの大店で見本の衣装がかなり飾られていた。
確かにこれだけあれば、皆の好みに合った衣装も探せるかな。
俺は金なら出すので急ぎの衣装を一着と数着のオーダーメイド品を5、6着頼んだらどうだと勧めたが、皆は一応まだ成長期なので、オーダーメイド品は2着くらいでいいと言ってきた。
また、お金も自分達で出すのでと強固に断られてしまった。
うん、せっかく同行したのにあっさりと断られてしまったぞ、買い物をしている皆を眺めながら、どうした物かと考える。
すると、ディートが寄って来て俺に耳打ちをする。
「この後、ここでの買い物が終わったら皆さんお揃いで防寒用のフード付きのローブを買いに行きませんか?」
「防寒着か。確かに服の重ね着でも厳しくなってきたし、同じパーティーという感じで悪くないか。」
「ええ、それでしたら共用資金から出せばいいですしね。」
「それ、俺が出しちゃまずいか?」
「はい、パルマやミサさんはいい顔しないと思いますからね。」
「そうか。そうだよな。」
「それに私達もまだ婚約状態ですから、贈り物はあまり好ましくありませんわね。」
「そうなのか?この辺りでは婚約者に何か送るとかそういう習慣はないのか?」
「無くはありませんが、いろいろと面倒なものであるのですよ。」
「そうなのか?」
「ええ、女性は男性から貰った物と等価以上の物を送り返さなければならないといった物がありますので、贈り物をする時は注意しないといけませんよ。」
「え?」
「何か贈ってしまったのですか?」
「ああ、レアなマジックアイテムをちょっとな。俺の村の風習で、アクセサリを贈るという習慣があったのでな。」
つい地球の習慣を持ち込んでしまった。うん、村の風習と言うことで誤魔化しておこう。
「なら、自分の村の風習で贈った物なので、返礼不要と告げ、くれぐれも鑑定に出さないよう伝えておきなさい。それと防寒具の提案もしときなさいね。」
ディートは呆れた顔でそう言うと、皆のところに戻って行った。
俺は買い物を終えるまで待ち、買い物を終えたリアを見つけ声を掛け、俺が昨日送った指輪は俺の村の風習で、こっちの風習の返礼は不要なことと、貴重なマジックアイテムなので鑑定に出さないように伝える。
リアは指輪の性能を知り、驚きつつも、首を大きく縦に振ってくれた。
そして、この後、皆でお揃いの防寒具を買いに行こうと提案すると、そっちには笑顔で首を縦に振ってくれた。
続いて、最後の方まで買い物に悩んでいたディートにも同じように伝え、事なきを得た。
ふぅ、知らなかったとはいえ、危なかったなあんなマジックアイテムを鑑定に出してしまったら、恐らく大騒動になってしまうからな。
武器屋などを回って、ああいったマジックアイテムがあるか尋ねても聞いたことないという反応だったし、恐らく出回っていないか、出回っても一部だけの貴重な物だろうからな。
買った衣装は、オーダーメイドは結構な日数が掛かるし、既製品もサイズ直しがあるため、本日は金だけ払って預かり証を貰うだけである。
結構な金額を 払ったようで、店を出る時の見送りはかなり丁寧であった。
そして、防寒用のフード付きローブを買いに武器屋に出向くことにした。
どうせならいいものを買おうということで、ギルド本部近くの武器屋に顔を出す事にする。
そこも大きな店構えで、冒険者用とは思えない立派な防具類や刀剣類も扱っていた。
聞けば、貴族街からも近いこともあり、貴族お抱えの兵士や騎士なども買いに来るし、王国騎士も趣味用の剣を買いに来たりするため、汎用品から宝石をちりばめた一品ものもある飼っているそうだ。
さすが、王都という品揃えと言いたいが、武器の性能は作り込みが甘いのか、それほど性能がいいものはぱっと見少なかった。
今日は、防寒具を買うために来たので、武器のコーナーは軽く流し見で、防寒具を扱っているところへ向かう。
防寒具もそれなりに揃えられている。
生地の厚さや材質も様々だが、防寒性能は勿論だが、なるべく動きを制限しないように、軽い素材で稼働しやすい物を探す。
「これなんか、いかがでしょう。軽いし、防寒だけでなく耐暑用にも使えるみたいですよ。」
「へぇ、どれどれ。」
「あ、いいんじゃない。これ、触り心地も凄くいい。」
「でも、お値段が結構しますよ。」
「そうね。どうかしら?ギリー、これはいいと思うのだけれど。値は張るかもだけど、これならオールシーズン使えそうよ。」
飾ってある防寒具をティアが試着し、動きを確認し、それを皆が触ったりしながら感想を言って、聞いて来た。
うん、確かに結構いい値段だが、生地自体は良さそうだし、見た目以上に丈夫そうだ。
パーティーの資金も今回で結構溜まったので、高いけど余裕で支払えるし、いいだろう。
高いだけあって、品質も良く、性能も高いうえ、均一な仕上がりとなっているしね。
「そうだな。これにしようか。さて色はどうするか?」
俺がそう言うと、後ろから店員が話しかけて来た。
「気に入りましたか?そちらですと、夏場も使えますので明るめな色がよろしいと思いますよ。」
確かにそうだな。
「予備を含めて7着欲しいのだが、すぐ揃えられる色は何がある?」
「すぐ用意出来るのとなると、白と灰色、あと変わったところで水色となりますが、どうでしょうか?それと多少お金はかかりますが、ある程度の図案を頂ければ魔道具で紋章を入れられますがいかがでしょうか?」
「そうだな、色は何か希望があるか?」
「そうだな。冬に野外で目立ちにくい白か灰色がいいいな。」
「そうですね。それなら夏も熱くならないでしょうし。」
「だよね。」
「はい。」
「なら、白がいいかしらね。白ならパーティーの紋章を入れたりすれば目立ちません?なにかいい案はギリーないかしら?」
え、俺にそこを振る?
目立つのはどうかと思うが、まぁ、ただの白よりは後ろからでも仲間とわかるように入れて貰うか?
なら、ゲームのタイトルロゴに使われたエンブレムでいいか。
そう思い、簡単にラフで描く。いわゆる東洋の龍ぽい魔物に魔法の火球と剣が交差するというありがちと言えばありがちのデザインを描いて皆に見せる。
「どうだ?こんな感じで?」
皆からは特に反対もなく、店の人からも見慣れない魔物ですね、これなら他の意匠とかぶることもないでしょうと合格を貰ったので、試しの布に紋章を魔道具で入れて貰う。
だいたいイメージ通りにできたけど、やっぱ、これを背負うのはちょっと恥ずかしいな。
俺はそう思っていたが、女性陣は特に異論はなさそうなので、それで了承し、紋章をローブに入れて貰うことにした。
その後、皆の身長に合わせて、丈を調整して貰い、支払いを終えた。
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