第58話 一日を終わらせよう
それから、ディートは皆にも侯爵家から贈られた短剣を配った。
どうやら、俺が離れた後に人数分渡されたようだ。
そして、それの意味をディートが説明をした。
「そんな、なんかえらいもん貰っちまっていいのか?」
リアは短剣の効力を知り、そう素直に驚く。
「そうですよね。普通はこう言った物は侯爵家の血縁者か地位的に上位の者に渡す物ですよね。」
ある程度知識のあるティアはそう口にする。
「ティアは一応血縁者じゃない。貰ってもいいんじゃないの?」
ティアの言を聞いて、ミサはそう言う。
だが、自身の出自を考えると、得ることができない物だと説明する。
「でも、公にできない身の上ですから、私が持つことは本来ならなかったでしょう。」
「あなた達が過大な物を貰ってと不思議に思うのも無理はないけど、侯爵としては大型の魔物、ギリーに言わせるとフィールドボスらしいですが、それを狩れるメンバーと言うことで買われているということです。」
「あれって、そんなすごい敵なのかよ。」
「ですよね。最初の時は危ない場面はあったけど、二度目は魔法使いが多かったのもあるけどあまり苦戦せずに倒せたような気がします。」
「だよね。」
「一応、あのクラスの魔物だと、領兵が相手を過去にした記録があるらしいですが、かなりの犠牲を出して討伐したけどその後その魔物が復活されたので、それ以降無駄な討伐だとして行われていないらしいですわ。」
ディートは、侯爵辺りに聞いたのか、そう説明した。
訓練された常駐の騎士や兵士のような精鋭だけなら中級武芸の書を習得しているからまだしも、討伐隊とかになると、徴兵された人も加わるだろうし、徴兵者は初級武芸の書も習得していないだろうから、そうなるよな。
「私達に自覚はなさすぎるのかもしれませんけど、領兵でさえ苦戦する魔物を倒せるのですから、かなりの実力があるのは確かです。」
「だから、こんな物までくれるのね。」
ディートの説明を聞いて、ミサが短剣を見つめながらそう呟く。
うん、そうなんだよな。
なぜか、この世界ゲームと違って武芸の書に制限が掛かっているから、上級まで扱える俺達はかなりの実力になっちゃうんだよな。
身を守るために強くなったはずが、思わぬことに逆に目立ってしまい身を守るために強くなるという目的から裏目に出てしまっている。
最初に持っていても仕方がないからと、ボスドロップを迂闊に売ってしまったのが悔やまれるよ。
そんなことしなければ、もっとみんなと気楽な関係で冒険を続けられてだろうにな。
「それと私とティアさんは王都にいる間、明日手紙を出しますが、二、三日後辺りから侯爵家で礼儀作法と貴族との礼儀を学びますので、ご承知おきください。」
「は、はい。」
「それって俺はいいのか?」
「男性、というか主客はある程度の礼儀があれば許されますので、大丈夫です。それにギリーは貴族の礼儀とか面倒でしょう。」
「まぁ、そうだが。」
「ただ侯爵家で騎士に任じると思うので、その時だけは同行ください。」
「それも、どうにかならないか?」
なんか、面倒じゃないのか、それ。
こっちで自由を謳歌するつもりでいたんだけどな。
「まぁ、侯爵のお手付きだという証みたいなものです。他の貴族に目を付けられて、変な話を持ち込まれないようにするためです。我慢してください。」
「でも、それで余計変な目で見られないか?」
「目を付けられた後に断るための物です。目を付けられなければ見せびらかす必要もないですから、貰っておいた方がいいと思いますが。」
「そんな物なのか?普段はわからないようにしていて問題ない物なんだな。」
「頂ける称号は、仕官するを証するための騎士号でなく、名誉騎士号のような物らしいのでそれで問題ないそうです。」
「俺がそんな物貰ってしまっていいのかな?」
「まぁ、貰えるもんは貰っとけばいいんじゃないの。」
「そーそー、ディートさんが貰っとけって言ってるんだから、大丈夫よ。」
「わかった。それも受けよう。なんか侯爵か、侯爵夫人の描いた通りに事が進むのが気に入らないけどな。」
「お嬢様も内心この話を持って来たことを苦々しく思ってるでしょうし、ティアさんやリアさんだってことを急がせた侯爵様のことは良くは思ってないでしょう。
でも、侯爵に睨まれて、他の貴族にも手を出されてめちゃめちゃにされることを思えばと飲み込んでいる部分もあるはずです。
なので、ギリーさんだけでなく、皆も少なからず含むところはあるのを承知してください。
長々と述べて申し訳ありません。」
俺が不満そうにしていたのを見て、パルマがそう言ってきた。
そうだよな。
気に入らないと思っているのは俺だけじゃないんだ。
俺がぐちぐち言っていても仕方がない。俺が巻き込んでしまったんだ。
俺の誘いに乗ってくれた仲間だ。引っ張て行ってやらないとな。
「あ、いや、パルマ言ってくれてありがとう。そうだな、ここで俺がグダグダ言ってても仕方がない。なるようになれだが、そこに出来る限りのことはして面倒に巻き込まれないように出来る限りのことをして行こう。」
「そう言って頂きありがとうございます。では、その辺を纏めて明日、侯爵様に手紙を出しておきます。」
「ああ、頼む。面倒な仕事を任せて済まないな。それと他になにか伝えておくことはあるか。」
「あと細かな話はあるけど、それは個別に話しておくわ。今日はもう遅いし、ここまでにしておきましょう。」
こうして、思わぬ展開の連続になってしまった一日が終わった。
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