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第52話 問い詰められよう?

 村が近づいて、道に差し掛かったところで、乗馬から移動を馬車に切り替える。

 そして、更に王都に近づいた頃、今回は馬車を牧場に預けず、2頭の乗馬だけを預けて、馬車に乗って王都に向かう。

 王都の城門を馬車分の税金を払い、中身の検査を受け、王都に馬車事はいる。

 馬車の中は、御者をしている俺とパルマ以外の女性陣と軽い移動の荷物だけだったので、すんなり通される。

 俺達は宿屋に到着すると馬車を預け、宿のフロントでオーベルマイヤー侯爵の家令さんへ宿に戻ったという連絡と明日使う材料の手配のお願い手紙を届けるように頼んでおく。


 これで明日の迎えが来るまで、自由にできる。

 最初、材料はこちらで用意するつもりだったが、貴族に作った料理だすことになるかもしれない。

 ならば料理の食材をこちらが用意するのは望ましくないとディートとティアに言われたため、急遽材料をリストアップし、手紙でお願いしることにしたのだった。

 しかし、本当に身分制度や貴族との付き合い方は面倒だと感じたよ。

 

 翌日、今回は料理をするので少し良い恰好町人の出で立ちに着替える。

 ディートやパルマは前回イオナの侯爵邸に綺麗な恰好で伺った時とはとは違った出で立ちだが、リアやミサは前回の恰好のままだ。

 うーん、あまりこんなことが続くのは御免被りたいが、いくつか彼女らも晴れの日に着るような衣装を揃えておくべきか。

 その辺もあとで相談しよう。

 それとティアは今回は給仕の衣装を着ているが、ティアにも、せっかくだし、皆と同じ格好をさせるべきだよな。

 でも、ティアと他の子らと同時に衣装を揃えるというのもどうなのだろう?

 ディートに言われたことを思い出し、ティアとどう接するのがいいか考えてしまう。


 それからこちらの馬車も用意する。

 今回御者は、ミサとリサが名乗りを上げた。

 まぁ、貴族の馬車でじっとしているよりは、幌馬車を扱っていた方気楽でがいいと判断したのだろう、

 俺も、そっちが良かったが、ギリーがパーティーのリーダーなのだからと御者をすることは許されなかった。

 でも、おれがパーティーのリーダーになった覚えはないので、なんでだと反論したが、あれだけ自由にに振舞っておいて今更ですかと言われてしまった。

 確かに、俺の我儘を金の力で黙らせていたようなという自覚はあったので、反論できずに黙り込む。

 で、俺達の馬車には、魔物のドロップ品の剣と角、魔石を入れておく。

 剣はかなりの重さだが、馬車に仕込まれたフローティングボードおかげで重量が軽減できてるようで、馬も何なくそれらの入った馬車を動かすことができるようだ。


 そんな準備を終えると、やがて迎えが来て、皆と一緒に侯爵邸に向かう。

 今回は家令と見知らぬ中年の男性が屋敷の前に迎えに立っていた。

 家令のエスコートで馬車を降りると、家令からその男性を紹介された。

 その人が今回お世話になるこの屋敷の筆頭料理人だそうだ。

 俺達は軽く挨拶を済ませると、俺とディートはドロップの価格交渉のため応接室に、パルマ達は料理の準備をするためにと別れることになった。


 俺とディートは今回は一階のこじんまりした応接室に案内された。

 そこで、お茶を飲みながらくつろいでいると、家令に「準備が出来ました。」と言われ、中庭に案内される。

 中庭に入る手前に侯爵様と第一夫人と数人の護衛が立っていた。

 そして中庭に敷かれた布の上の魔物のドロップ品の前には数名の男性が立って、ドロップ品を見ながら話をしていた。


 「よく来てくれたね。今回は、無理な用件を聞き入れてくれてありがとう。あそこに居るのは我が家に出入りしている鑑定人だ。今回は彼らに鑑定を頼むつもりだ。

 しかし、そちらが誰か入れたい、外したいといった希望があれば対応させて貰うがどうかね?」


 「いえ、侯爵閣下がご用意いただいた方です。こちらに異論はございません。すべてお任せします。」


 侯爵が言った言葉にどう返すのが正解なのかと悩んでいると、隣のディートがそう答えてくれた。

 うん、頼りになります。いい商人です。


 「では、鑑定は彼らに任せて、我々は鑑定結果が出るまで、中で控えていよう。ここにいても邪魔になるだけだし、君らも彼らに顔を覚えられたくないだろう。」


 侯爵はそう言うと側に控えていた男に何かを命じて、自身は俺達を再び屋敷に入るようジェスチャーで示し、家令の先導のもと来た時とは別の応接室に案内される。

 しかし、広いよな、このお屋敷、応接室だけでいくつあるんだ?

 身辺警護の人も人払いされ、侯爵、第一夫人、家令、そして俺達だけが残される。


 「余人はいない。ここからは気楽に話して貰って構わないですよ。」


 侯爵でなく、夫人の方がそう切り出す。

 やっぱ、人がいなくなると率先して会話をしてくる夫人のほうが権力を持ってるのではないですか?


 「いえ、領主と領民という立場もありますので、そこはご勘弁いただきたく存じます。」


 ディートが俺に変わって返答してくれる。

 俺も横でその言に首を縦に振る。


 「まぁ、いいでしょう。それでこの前話した娘の件ですが、そちらの殿方は余り分かっておられなかったようですが、貴方が説明して下さったのでしょ?」


 夫人はそう言って、ディートを見る。


 「ええ、このままでは何時までも気付かないと判断し、僭越ながら説明をさせていただきました。」


 「あら、それは結構なことです。それでそちらの殿方はどうするお考えなのでしょう。」


 今度は俺を見つめて、そう言ってきた。

 うーん。

 これ、よく考えたら、身分的にも元々拒否できなかったんじゃ、むしろ知らずに気付かずに最近知らされたのは悩む期間が少なく済んでよかったんじゃ。

 でも、出来るだけ抵抗してみるか。


 「こればかりは、ティアさんの気持ちもありますので、すぐにどうこうするというのは……。」


 「今は、娘の気持ちを聞いていませんよ。あなたの気持ちを聞いているのですがね。」


 「俺の気持ちですか……。」


 俺の気持ちか、どうなんだろうな。

 正直まだ会って、一カ月しか、いや、ほぼ四六時中一緒にいるんだ。

 相手のことわからないということはないよな。

 正直、どう思っているんだろう。

 女性ばかりのパーティーだからなるべくそう言うことは考えないようにしてきたし、向こう見いた時も色恋にほとんど縁がなかったからな。

 俺はしばらく考え込んで、慎重に答える。


 「俺は正直言って、よくわかりません。仲間にしたし、遠征中も一緒にいて不快感とかはなかったです。ただ、愛しているかと言われると正直わかりません。」


 「そうですか。一緒にいて問題がないなら、結婚しなさい。」


 え?なんで、その結論になるの?

 

 「愛しているかもわからないのにですか?」

 

 「ええ、一緒にいて嫌とかいう事はなかったのでしょ。なら、問題ないではなくて。」 


 貴族的には政略結婚とかもあるから、その程度の感情でも問題ないのかな?

 でも、平民は違うよね?

 あー、こっちの常識がわからな過ぎて、答えに窮する。

 俺がそう言われても悩んでいると、それを見た夫人は再度言葉をかけきた。


 「今日のところは、あまり追い詰めて嫌われてもですし、この辺にしておきます。ただ、私どもは諦めたわけではないということを、承知しておいてくださいな。」


 後で、ディートからこの辺の常識とかいろいろ気恥ずかしいが、聞いておこう。


 「すみません。ありがとうございます。」


 俺がとりあえず、そう返して、この一件はひとまず終わった。

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