第50話 契約をしよう
あけましておめでとうございます。
今年も続けていきますのでよろしくお願いします。
「そうか。なら、依頼として同様の大型の魔物のドロップ品と魔石を一つ用意して貰えないだろうか?」
侯爵様は、ディートの言葉を聞いてそう言ってきた。
さてどうした物か?
依頼自体は、ここに来るとき倒した魔物のドロップが一式あるので、それを差し出せば済むけれど。
頻繁に、ボスドロップの依頼を受けるというのは、俺達がボスドロップを収集できる特殊な存在だと周りに気付かれる可能性が高くなる。
「うーん、かなり危険な依頼だというのは理解して貰えますでしょうか?なぜ、そのような依頼をするのでしょうか?」
とりあえず理由を聞いて、大した理由であれば、難易度を理由に断ろう。
「それなのだが、儂もクライン商会から買ったはいいが、我が家にあっても、いささか持て余す物だったのでな。
それで国王が即位して25年と言うことだったので、君から教えて貰った菓子や料理のレシピと一緒に送らせて貰ったのだ。
そこで、ちょっと問題が生じてな。儂も支持している第一王子アードルフ殿下が魔物のドロップを見て、自分も誕生日に欲しいと言われてしまったのだよ。
次期王と目されており、儂も支持をしている方の頼みを断れんでな。
すまないが受けて貰えないだろうか。」
それは仕方がないことなのか?
貴族の世界は面倒すぎるな。
でも、確かに侯爵様が断って、王子様が魔物のドロップ欲しさに、入手経路を調べて俺達に辿りつけられてしまったら、それはそれで面倒か。
仕方がない、一応侯爵様に念を押して今回は受けることにするか。
ディートにも通じるかわからないが、一応目で語り掛けてみる。
ディートはため息をついて頷いてくれたので、話が通じたということにして話を進める。
後ろの女性陣には後で言葉の限りを尽くして、説き伏せておこう。
「はぁ、わかりました。その話引き受けましょう。同じものでなくてもよろしいのですよね。」
「引き受けてくれるか。すまないね。魔物のドロップはもちろん同じ物とは言わんよ。むしろ違う物の方がいい。」
「では、魔物の強さも今回の方が強いものでも構いませんね?」
「それは、まぁ、構わない。大型の魔物の強さなんて戦った者にしかわからんしな。」
「了解しました。」
「して、報酬の方だが討伐報酬として金貨100枚、それとドロップ品の価値に応じて別途追加報酬を払うということでいいかね。」
まぁ、討伐は既に住んでいるのでそれでいいでしょう。
一応、他のみんなにも了解を取ってみる。
みな、一様に貴族の前で緊張しているのか、とくに異論もないのでそれで契約を交わすことにした。
それと、今後このようなことがないようにボス討伐者に対する守秘義務を結んでもらうようお願いした。
「報酬はそれで構いません。だた、今後こう言ったことがないように私達のことは伏せて頂くようお願いします。」
「それは勿論だ。これでも、過去の魔物討伐の記録を目を通したりしているので大型魔物の凶悪さはわかっているつもりだ。」
「ありがとうございます。では、それで契約の方をお願いします。」
「ああ、それとだなアードルフ殿下の誕生日なのだが、あとひと月もないのが大丈夫だろうか?もちろん多少は遅れても構わないが。」
「その辺は、心配には及びません。実はすでに一体分のドロップを所持しておりますので。」
「なんと、それは誠か。しかし、よくそんな物パーティーの損失なく何体も狩れるものだな。」
「その辺は、守秘義務と言うことで、ただ大きな物ですので持ち歩くには、少々目立ちますので、現在は王都にはありません。ですので用意するための時間は頂きたく存じます。」
「ああ、もちろんだともその辺は、こちらの準備もあるから、相談しよう。では、契約の準備をさせて貰うぞ。」
そう言って、家令に何やら命じると、家令は退室していった。
それでその間も、侯爵様やそのご家族と会話と言うことになったのだが、なんか俺や他のパーティーメンバーの出身地とかいろいろ聞かれてなんか気の休まらなかった。
色々質問攻めをされたが、パーティーでの戦闘についてなどそう言ったデリケートな質問はさすがにされなかったので助かったけど、偉い人から色々話をされるのは本当に勘弁してほしいと思ったわ。
そんなこんなしているうちに契約の準備が整ったのか、家令が数人の男性と共に戻って来た。
契約書が俺の前に差し出されたので、目を通す。
一応こちらの条件や、侯爵様が提示された報酬など間違いなく記載されている。
他の内容についても、特に揉めるようなことになる記述もなさそうだったので、了承する。
そして、約束の物の引き渡しについて相談し、契約の立会人が立ち会い可能で、侯爵様も都合が良い日時ということで、一週間後に魔物を引き渡し、ついでにその時料理や菓子について料理人に指導するということで話がまとまった。
その条件で、それぞれがサインを行い、無事に契約が結ばれた。
これで侯爵家での話も一段落したので、俺達は屋敷を後にすることにした。
帰りも馬車で送っていただけることになったので、わがままを言って宿に近い市場で下ろして貰うように頼んだ。
そして、別れ際に、また、一週間後今回と同じ宿に迎えを出すということで御者さんと話がまとまり、別れた。
俺達はさっそく市場で買い物を行う。
明日から五日間、少し王都から離れたところに家を出して、料理の試作と相談を行うことを皆に話す。
皆も宿のありふれた料理より、新しい料理を食べれるということで、それに了承してくれる。
買い物は市場で生鮮食品やこの辺の名産品を手に入れ、少し離れた食料品街で品揃えのよさそうないくつかの店で減った調味料や、新たに見つけた食材を買い入れる。
宿に戻ると部屋の契約は勿体無いがそのままにしておいて翌日からしばらく、食事だけはいらないということを伝える。それと合わせて六日後辺りに馬車を預かってくれるようにあらかじめお願いしておく。
それと皆には、依頼を引き受けてしまったことと、その辺の意図を話しておいた。
あと、戻ってくるまでに貴族様に出せるような料理を考えて完成させるため、家で試行錯誤することになることも話しておいた。
それを聞いて、皆、新しいおしい料理を作ることに闘志を燃やしてくれたようだ。
翌日、俺達は冒険者の装いで王都を出ると、牧場で馬車と馬の返却を受け、王都から離れることにする。
目的地は昨日のうちに話し合い。基本周辺の村々としか繋がれていない道を選び、なるべく王都から離れ、人目の付かない場所に向かうことにする。
しばらく進むと、村々を抜けて行き、道もなくなって来たので、馬車をそこでしまって、馬に乗って道なき道を進んで行く。
やがて、陽が沈むころに周囲に人がいないのを確認し、家で出す。
まぁ、やっぱり自分の家に方が宿より落ち着くな。
今日は、時間もないので今まで教えた料理をリア達に作って貰うことにする。
食事をしながら、今までの料理で美味しかったものやいまいちだったものなどを聞き取って行く。
現地の人の味覚もちゃんと確認しておかないとな。
やはり、肉はあまり食べられなかったのでその辺の料理はおいしいと言っていた。
あと、野菜メインの料理も味付けが色々豊かになっていて、改めて美味しいものだと確認させて貰った。
まぁ、塩で茹でた野菜や豆料理が村や安宿で供される料理なようだし、それに比べればうまいのは当然か。
でも、貴族はそんなもの食べないだろうし、少なくても供される料理は俺達の宿の食事を基準に考えればいいかな。
そんな話をしていたら、パーティーにでた基準でしか話せないが、基本貴族は野菜だけの料理は喜ばれないというか食べないとディートから聞かされた。
野菜をメインにするものもあるが、肉で野菜を包んだり、巻いたりして出すそうだ。
ティアにも意見を聞いたが、ティアはハウスキーパーが主な職務だったため、貴族が食べる食事についてはあまり知識がないそうだ。
給仕たちが食べる食事は、貴族とは別で貴族に仕える前に食べてた食事とあまり変わらなかったそうだ。
それでも、パーティーの時は余り物が供されることがあるが、前回のパーティーはあまり余り物がなかったため、食べられなかったそうだ。
それはすまなかった。
ただ、パーティーの時はディートの話していたように肉料理が一杯だべられたようだ。
なるほど、まぁ、是非とも出したいご飯料理もそう言った趣向で作ればいいか。
となると肉巻きおにぎり?いやいや、時間はあるもっと貴族に喜ばれそうな物を考えよう。
そうこうして、その日はいろいろ皆でアイデアを出しながら、夜が更けるまで話し合いをした。
翌朝は、朝食を軽く済ませると、手の込んだ料理の準備のため、準備に取り掛かる。
料理を行いながらも作り方や美味しくするためのコツを皆に説明して行く。
その際にお互いの知識や好みなどを反映させるべく、意見を出してくれる。
色々頑張って、気に入られそうな物を作って行こうじゃないか。
しかし、貴族と関わるときはもっと冒険者要素が絡むことで苦労するかと思ってたが、なんか苦労のベクトルが違うよな。
まぁ、今回はボスドロップの話もあったから、いつもより多少はマシだけどな。
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