第48話 侯爵様の使者と会おう
仕方なく今泊っている宿を伝える。
レグッツナー卿は伝えることを伝えて、必要なことを聞き出すと、忙しいのだろう、すぐに席を立って出ていってしまった。
残されたギルド職員が、俺達の依頼について簡単に説明してくれる。
貴族からの指名依頼で、今回は冒険者ギルドも内容について関知しない依頼になっているとのことだ。
貴族からの依頼は特殊なものが多いので、大抵冒険者ギルドに内容が伝えられない依頼が普通なので、珍しい依頼ではないらしい。
報酬についても冒険者ギルドでは依頼内容同様基本関知しないので、先方との話し合いをして欲しいそうだ。
ただ相手は貴族なので、どうしても報酬に納得がいかない場合、冒険者ギルドに相談をしてくれれば、あまりに不利な内容なら調停をしてくれるそうだ。
そのために、先程のレグッツナー卿のような人物を抱えているらしい。
それと冒険者ギルドは依頼料に関わらず、指名依頼が来た時に依頼料が不明の場合、一定の金額を貰っているので、調停が不調でもそこから補填する場合もあるとのことだ。
なら、もう少し積極的に関わって冒険者に優位にとまで行かないまでも、対等に依頼を受けれるかどうかの選択も出来るようにして欲しいが、身分制度があるからむずかしいんだろうなぁ。
冒険者なんて、身分的には最下層だろうしね。
こちらの冒険者ギルドの用件の魔物の情報について聞き込む。
王都周辺は魔物の出る場所はないそうだ。
徒歩で一日程離れた場所にいくつか狩場があるので、その周辺にテントで泊まり込むか、近くの村で宿を取るかになるらしい。
ただ、どこも魔物は初心者クラスの魔物だそうだ。
それと王都近郊にさらに足を伸ばしても、残念ながらさほど魔物は強くならないそうだ。
すると、狩りをしても習得にはならないか。稼ぎとしても大したことにならないだろうし、どうするか?
王都にいる間は、狩りは休みにしようかな。
その後も掲示板依頼に目を通すが、商人の護衛や盗賊についても注意書きくらいしかなく、特に触手が伸びるような依頼はなかった。
そんなわけで、内容も分からぬままオーベルマイヤー侯爵様に呼びつけられたら、すぐ伺うように帰り際にも再度言われて、冒険者ギルドを後にする。
その後、王都を散策する予定だったが、なんかそんな気分にならず、皆で屋台で軽く食事をして宿に戻った。
なんか、話を聞いただけで疲れてしまったよ。
だた、宿に戻っても特にやることはないので、俺は自室に戻って、ひと眠りでもいいのだが、この世界の副管理者をしているアーセルさんに尋ねたい事や教えて欲しいことを纏めておくことにした。
連絡手段を考えてくれるとのことだったから、準備が整えば向こうからアクションがあるだろうしね。
いつ会えるか、どれくらい時間を貰えるかわからないのに、その時、グダグダにならないよう聞きたいことは押さえておこう。
でも、考えてくれるって言ってたけど、向こうとこっちの時間間隔が違くて、俺の死ぬ間際とか死んだあとに連絡して来るなんてことがないよな。
ラクシュリアさんは、時間を行き来できると言ってたし、大丈夫だよね。
そんなことを考えつつ、聞きたいこと、知りたいことを書き連ねていく。
いつの間にか、また、夕食時になっていて、今回はリアが呼びに来てくれた。
「おい、起きてるか?飯の時間だ」
「ああ、起きてるぞ。今行く。」
俺はそう答えて、素早く部屋を出る。
「なんだ。早いな本当に起きていたんだな。」
「当たり前だ 。」
「嘘つけ、よく飯時に呼びに行くと寝ているだろ。」
「あの時は偶々だ。」
「そう言うことにしといてやるよ。さぁ、行こうぜ。」
そう言って、彼女らの部屋で夕飯を取る。
今回は、彼女らの部屋に待女の泊まる部屋があったので、ティアはそこに泊まるといて来た。
別に必要なら、一部屋用意するといったが、物心ついた時から待女をしていたので一人でじっとしているのは落ち着かないのでと断られた。
ただ、食事はみんなで一緒にと言うことは何とか納得して貰い。家だけでなく、宿でもそうして貰っている。
俺も食べていない人がいる中で食事をするのは落ち着かないからね。
食事をしながら、明日からの予定について話し合う。
侯爵様の依頼は最悪俺が聞けばいいし、心配なら女性陣は交代で王都に繰り出してもいいと伝えた。
ただ、彼女らもはっきりと口にしたわけではないが、口ぶりから俺だけに任せるのが心配なようだ。
なので、とりあえず三日間は皆で宿に待機しているということになった。
もちろん、裏庭で体を動かしたりは交互にすることにしたが、それだけだと飽きないかな?
それと今日の冒険者ギルドでの対応についても小言を言われたよ。
貴族との対応について、向こうが貴族だったら、席を立って向こうに座るよう促されたら座る。
名乗りは向こうに求められてから行う。
など前にも聞いたいくつかの注意を今回再度言われたよ。
うん、言われてことはわかっていたよ。
でも、こっちの世界に来る前の常識はそう簡単に抜けないんだ。
ただ、そんな言い訳を彼女らにすることは出来ず。
ただただ平謝りをして、もうしないと約束するよりなかった。
でも、また忘れそうだよな。はぁ。
それから二日過ぎた頃、宿屋にオーベルマイヤー侯爵様からの使者が来てくれた。
結構早く来てくれたな。ありがたい。
それと、お宿の主人にこのことを話すのを忘れていたけど、気を利かせてくれて、使者を宿の応接間に案内してくれたので、そちらで対応させて貰うことにする。
使者に来てくれたのは、イオナの街にいた時に何度か会っていた家令さんだった。
「王都に来られて、まだ羽も休めておられないところ、主人がお呼び出しして申し訳ありません。」
まったくだよね。
そう思ったが、当然口には出さずにこちらも時世の挨拶をする。
家令さんはさそっく本題に入ってくれる。
こっちは型通りのやり取りなんてわからないから、ありがたい配慮だね。
侯爵様に依頼は表向きはお菓子のレシピや料理のレシピについてと言うことらしい。
ただ、別でお願いがあるらしく、そちらは侯爵様から聞いて欲しいようだ。
なんだろ?家令さんが俺達に直接話せないことって?
面倒な事なのかな?
あまり面倒だと、いやだなぁ。
それにお菓子については、もう簡単に作れるレシピが思いつかないのだけど。
せめてベーキングパウダーがあればもう少し加えられるけど、そんな物の作り方なんて知らないからどうしようもない。
何を作るかは話を聞いてから考えよう。
いざとなったら、口に合うかはわからないけど和菓子でも作ってやるよ。
話の内容はだいたい承知したので、後は伺うだけなのだが、なんと先方は都合が良ければ明日来て欲しいとのことだった。
なんか急な呼び出しですが、急ぎなんだろうか?
やっぱりとっても面倒な事とかか?
でも、こっちも早めに面倒なことは終わらせたいの、それで了承する。
先方は俺達全員で来てくださいとのことだ。
全員とはティアさんも含めて平気なのかな?と聞いてみる。
家令さんは、ええ、もちろんですと笑顔で頷いてくれた。
庶子だとわかってしまい、追い出された人をそんなすぐに呼び入れて平気なのだろうか?
もしかして奥様は来ていないのかな?
とりあえず、全員で来て欲しいという要望を聞き入れる。
まだ、別れて一カ月しか経ってないのにもう会いたいとかでないよな。
家令さんを見送り、別れる。
別れ際に明日もだいたいこの時間に馬車で迎えに来るので準備をしておくようにと言われた。
明日は冒険者としての依頼だし、冒険者装備でいいよな。
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