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第47話 王都に向かおう

 ボスと戦い終えた後、俺達は次の敵を見つけるべく、馬を走らせる。

 ただ、 ボスが終わって三日馬を走らせたが、魔物を見つけられずにいた。

 小川に差し掛かったので、馬を休めるべく、休憩をとる。

 振り向くとイオナの街がある方向は、うっすらと雪に覆われている。

 もうすぐ、イオナの街も雪に閉ざされるだろう。

 冬の間のイオナの街の冒険者はどうしているのか気になって、リア達に尋ねる。

 なんでもリア達も村で使っていたそうだが、雪の中でも動ける足装備を付けて、冬の雪の中魔物狩りに精を出すそうだ。

 まぁ、冒険者なんてその日暮らしのようなものだから、冬だろうと稼がないといけないか。

 現に俺達も稼いでいるわけだし、別にその日暮らしって訳じゃないけどな。

 馬車を出し、その中で暖を取りながら、今後について相談する。

 ティアは、お茶の用意をしてくれる。

 寒い中、馬を走らせていたこともあって、お茶の入ったカップを持つだけで温かさが心地よい。

 そして、一口お茶を口に運ぶ。

 一般的なハーブティーだが、口の中に香りが広がり疲れが和らぐ。

 そして、体の中から温めてくれる。実に心地いい。


 「この辺も雪に覆われるのかな。」


 俺は、そう呟くと、ディートがそれに答えてくれた。


 「ええ、左に見えるあの山脈からの風が雪を運んできますので、この辺もやがて雪に覆われますね。」


 「なら、雪が降る前にもう少し王都に近づくか。」


 雪の中馬を走らせるのも大変だし、そう提案する。


 「そのほうがいいでしょうが、王都に近づくと習得が進まなくなるかと思いますが、よろしいのでしょうか?」


 パルマは、俺の提案に同意しつつ、王都に近づくと魔物が弱くなるようなので、そう習得の心配をする。

 習得も早くこなせればそれはそれでいいが、別に今は急ぐ必要もない。

 上級を使える人間はこの世界では、少ないのだ。

 急いで目立つ技能を覚える必要もないだろう。


 「まぁ、習得は別に急がなくちゃいけない訳でもないし、快適に過ごすためにも今のうちに王都に近づこう。」


 「確かに移動も肌寒くなってきたし、厚着して魔物狩りも防御は厚くなるかもだけど、動きが鈍るからな。」


 「そうですわね。魔物の血や油も冷えると刀に付きやすくなりますからね。」


 武器を振るうリアとディートも寒くなる際の影響を上げて、暗に無理をする必要もないことに同意する。


 「それも不思議だよな。魔物を倒すと霧散するのにその前に斬りつけた血肉は、武器や地面にこびりつくんだからな。」


 「言われてみれば、そうよね。」


 「ですわね。」 


 「では、隊列を広げるのをやめて、王都目指して移動するか。」


 「「「「はい。」」」」


 こうして魔物探しを中止して、隊列を密にして枯れた草原を駆け抜けて行く。

 ただ、途中一度だけ魔物の反応を見つけたので三日だけ狩りをした。

 一応、鬼人が紛れていないのを確認して、いないのを確認して、先を急ぐことにした。

 それから一週間ほど馬を走らせて、やっと街道にぶつかることが出来た。

 これだけの広い草原、川は少ないし、水量もなかったが開墾すれば畜産ぐらい出来るだろうに、まだそこまで土地を余らせてなお、人を養えるのか。

 まだ、人口が増えすぎているということはないようだな。

 ディートによるといくつかの街を中心にその周辺の開墾は行われているが、人も金も足りずなかなか拡がっていないそうだ。

 治安維持や物流を考えるとそう無闇に手広くとは行かないか。


 街道に出ると馬車と馬の隊列を組み、王都目指して進む。

 この街道自体は王都と山脈付近の街を結ぶ街道らしく、ところどころに宿場があるが、俺達は家があるので宿場には買い物で寄る程度にして進む。

 冒険者ギルドがある規模の街では宿泊をして魔物の情報を集めたり、情報を仕入れたりするため宿を取る。

 それでも、家での自由な行動に慣れてしまったため、精々二泊だけして移動という形をとっている。

 冒険者ギルドでの魔物の情報も、すべてが冒険者が倒せる程度の魔物の情報なため、狩りに寄るようなこともせずに進む。


 街道に出てからの俺達はそんな調子で進んでいたため、王都にも三週間足らずで到着した。

 一応王都では長期滞在の予定なので郊外の牧場に馬を預ける。

 この時期は雪に覆われる領地の貴族が、王都に来ているらしく、かなり郊外の牧場に馬を預けることになった。

 宿の方は王都に滞在する貴族は王都に屋敷を持っているので、宿に空きがないということはなく、いくつか宿を見て決めることができた。

 王都はさすがに大きく、イオナの街の優に十倍ほどの規模があるとことで、一泊銀貨一枚以上の宿もかなりの数があった。

 俺は、王都の物価も考慮して、いつもより高い宿に宿泊することにした。

 女性陣からは、宿代は俺持ちと言うことになっていても、あまりいい顔をされなかったが、ギリーだからという言葉で諦めて貰ったよ。


 王都では、まず冒険者ギルドに顔を出す事にした。

 のだが、急ぐことはなかったな。失敗した。

 俺がギルドの職員に名乗りを上げると向こうが被せるように俺に質問してきた。


 「あ、あの、イオナの街で冒険者登録したギリーさんですか。」


 え、なんで俺を知ってるの?

 その質問に答えるのが嫌になったが、嘘をつくわけにも行かず、素直に答えた。

 すると、職員は俺達を有無を言わせず、打ち合わせ用の一室に連れて行った。

 俺はソファーに座ったが、彼女達はいつでも逃げれる用にだろうか、誰も隣に座らず、後ろに控えている。

 ディートさんくらい横に座ってください。一人じゃ寂しいです。


 「なぁ、これ、面倒ごとっぽいよな。」


 「ですね。」


 「ここから立ち去る訳にも行かないよな。」


 「行きませんね。」


 部屋に閉じ込められた俺は、色々とつぶやくが、それにパルマが相槌を打って、俺の逃げ道を塞いでいく。

 そんなことを繰り返していると、ドアがノックされ、ギルドの職員が戻って来た。

 その横に偉そうな人が立っているよ。

 なんだろう?悪いことはしていないよね?


 「初めまして、王都のギルドのサブマスターをしているパトリック・グレッツナーだ。よろしく。」


 「初めまして、俺はギリーというよろしく。」


 女性陣は俺の後ろで頭を下げる。

 あれ、名乗るっちゃいけなかったの?

 俺がそんな態度でオロオロしていると、ディートが話をつないでくれた。


 「不肖な身ですが、お話をしてもよろしいでしょうか。」


 「ああ、構わないよ。私はここでは貴族ではなく、一ギルドのサブマスターに過ぎないから、そちらのギリー君のように楽に構えてくれて結構だよ。」


 あー、貴族だから、名乗りは求められてから、名乗らないとなのか。

 まずったね。つい、普通に応答してしまったわ。

 まぁ、ここはこのままディートに任せてしまおう。

 気楽にしてくれと言いつつ、俺と会話をしようとしていないし、こいつ絶対気にしてるよね。

 まぁ、とにかく、話を聞くと、俺達はイオナの街の領主オーベルマイヤー侯爵様から指名依頼がでてるしい。

 俺達が王都の冒険者ギルドに立ち寄ったら、依頼があったことを伝えて、滞在先の宿を教えて欲しいと冒険者ギルドの方話があったそうだ。

 なに?つまり、貴族からの依頼だから、対応に偉い人が出て来たの?

 それって、断れない奴じゃん。

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