第43話 邂逅し、問いかけよう
すみません。新型コロナにかかったので症状次第で、少し掲載お休みするかもしれません。
イオナにある神殿は、オルドラン教という多神教の神殿で、この街では、太陽神と商売の神、農業の神への信仰者が多いそうだ。
うん、かなり立派な建物だ。
周りでは、小さな子が施しを求めている。
聞けば、身寄りのない子を神殿で面倒を見ているらしい。
ある程度成長した子は、外で奉仕活動をしてお金を稼いでいるそうだが、まだ、小さい子はこうして神殿の近くで喜捨を募っているとのことだ。
まぁ、ただでは、面倒見れないから仕方ないか。
そんな俺のところにも子供が施しを求める。
軽い気持ちで、銀貨を渡す。
子供は、不思議な顔をして、「ありがとう。」と言い、すぐに立ち去り、揉め事が起こらないように面倒を見ている神官のところに行く。
子供に差し出された銀貨を見て、神官は頭を下げる。
「あの、銀貨を施すようなことは、一般的ではないですよ。おそらく、あの子は初めて銀貨を見たのでしょう。それで確認のために神官のところに行ったのだと思います。」
俺がいまいち事態を飲み込めず、子供を見やっていたのに気付いたティアがそう言ってきた。
「え、そうなのか?」
「みなさん、大抵銅貨一枚、多くても大銅貨一枚ですね。」
俺の問いにそう答えてくれた。
そうだよな。確か、一番高い宿で住込みで働いてる兄ちゃんも、月大銅貨5枚の賃金と言っていたな。
そう考えると、銀貨1枚は大盤振る舞いになるのか。
そんな俺達が、神殿に入ろうとする。
入口も人がおらず、中も閑散としていた。
すると、一人の神官が案内を申し出てくれた。
その神官に話を聞くと偉い神官の説法があるお祈りの日以外は、あまり訪れる人もいないらしい。
俺は子供にも大盤振る舞いをしたし、さぞ、熱心な信者に思われたのだろう。
そこで、お祈りがしたいと言って、案内は適当に切り上げて貰う。
神殿への心付けとして神官に金貨を一枚握らす。
これで、しばらくお祈りをしていても大丈夫だろう。
さて、会えればいいが、そう都合よく会えないだろうな。
えーと、ラクシュリアさん聞いていたら、返事してください。
そう心の中で呟いてみる。
返事はない。まぁ、そうだよね。と思っていたら、頭の中に誰かが語り掛けて来た。
『あの、なにかありましたでしょうか。』
あれ、でも声がラクシュリアさんではないな。
『あのラクシュリアさんではないですよね。どなたでしょうか?』
俺も声には出さず、語り掛けてみる。
『あ、申し遅れました。この世界の副管理者をしているアーセルと申します。』
この世界の副管理者?
『ラクシュリアさんの部下の人ですか?』
『ええ、人ではないですが、そんな感じでしょうか?』
ということで、以外にもラクシュリアさんではないが、それに近い方に合えたのでいくつか質問させて貰った。
副管理者と言っていたけど、他に同等の権限を持った管理者はいるのか?
ラクシュリアさんが手掛けた世界のうち、今、この世界を実質管理しているのがアーセルさんで、他の世界にはおそらく同等の権限を持った副管理者がいるが、この世界はアーセルさんだけらしい。
それとなぜこの中途半端にゲームの世界観が取り入れられている時間軸に俺が転生したのか?
ラクシュリアさんに、急に異世界の人を受け入れるように言われ、比較的時間軸の揺らぎが少ないこの時代に受け入れたということらしい。
なので、俺という特異点がおかしなことをしても、ある程度はこの世界に影響を与えることはないそうだ。
俺が、向こうの知識で食べ物を披露してしまったが、影響は大丈夫か?
先程も言ったように、多少のことではこの時代時間軸は揺らがないので大丈夫だとのこと。食事についても遅かれ、早かれ、どこかで作られるだろうし、さほど影響はないそうだ。
細かいことだが、俺が武器を見ると細かな数値も分かるがあれはなんなのか?
ゲームのキャラを、こっちの世界の人に合わせた時の影響なので、仕様ですとのこと。仕様じゃしょうがないね。
俺の持っている鞄類は、こっちでも作成できるのか?
あれも、こっちに持って来た時の物なので、仕様ですとのこと。作れないのか、残念。というか、あんなの量産出来たらやっぱまずいよね。
他にも、いろいろ聞きたかったが、向こうもこれ以上の接触は難しいとのことだったので、また、改めて、接触したいと申し出た。
向こうはかなり悩んでいたが、ある程度意思疎通しておいた方が世界の管理が楽だと考えたようで、連絡手段を考えてくれるとのことだった。
こっちも情報が欲しいし、向こうもあまり勝手に動かれたら困る。
うん、win=winの関係が築けたかな。
でも、向こうの話しぶりだと、俺はラクシュリアさんから無理やり預けられた異物のような物らしいし、なるべく大人しくしているのが望ましいんだろうな。
俺も、いろいろ騒動に巻き込まれないよう気を付けよう。
そうして意識が、こちらに戻って来ると、女性陣達が俺を心配そうに揺すっていた。
あれ、こういう時って時間が停止しているんじゃないの?
どうやら、普通に時間は過ぎていたらしい。
とりあえず、俺はちょっと疲れたのか意識を失ってしまったと苦しい言い訳をしてしまったため、ここでしばらく休んでから、宿に戻ることになってしまった。
宿に戻ると、ディート達が戻って来ていて、馬の代金を提示してくれた。
俺は、その額に文句はなかったので同意する。
ディート達は、再びその回答を持って商会に向かうとのことだった。
さすがに何度も往復させては悪いと思い、俺が行こうと申し出たが、ディート達も俺が神殿で意識を失ったと聞かされていたので、逆に休むように怒られ、大人しく部屋で休むことにした。
その日は、それでおしまいとなり、翌朝、あらためてイオナの街を再度発つことになった。
牧場で、盗賊達の馬をクライン商会に引き渡す。
二頭貰うことも考えたが、そうすると街道での移動中に馬車で休む事も出来なくなってしまうので、そのまま六頭売り払ったのだった。
こっちの世界では高級車のような物だ。それを六頭も売ったのだ。結構な稼ぎとなった。
支出も結構出てるが、入ってくる分もこうして結構入ってくるので、収支はマイナスではあるけれど、向こうの世界から持って来た金額はそれほど目減りせずに済んでいる。
今のところ、この国の貨幣制度を混乱させずに済んでいるのかな。
今度は、前回と違って、旅の行程を順調に進むことが出来た。
前回平原を走破して街道にぶつかった所に辿り着くと、街道を突っ切る形でその先に進むことにする。
「ここからは、馬車でなく、馬で移動だ。」
「あいよ。」
索敵の恩恵を最大限受けるため、馬を少し間をあけて走らせる。
こうして魔物を探しつつ、見つけては狩りをし、繰り返していく。
ティアの魔法は、護身用と言う名目で習得させたが、家を設置する時の『地形操作』を覚えて貰うためでもある。
なので、最初のうちの狩りは、ティアを交えての狩りとなった。
だた、初級の魔法書なら、この辺りの魔物なら、習得値は最大限に入るようで、最初の狩場ですぐに初級を覚えてしまった。
そして、中級の魔法書も覚えさせる。
ティアは普通は初級の魔法書しか覚えられないのに、なぜか中級があるのかと驚いていたが、構わず覚えさせて、習得させる。
こうして、『地形操作』まで、あっという間に習得させてしまった。
ただ、いくつかの魔法を使わせていただけなので、実戦スキルは全くない。促成栽培だ。
あ、こんな戦闘に役立たない覚え方をさせるなら、魔法使い登録でなくても良かった?
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