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第40話 アジトを強襲しよう

 「あと、この死体はどうするんだ。」


 俺は、そう言って賊の死体を見やる。

 魔物と違って、やっぱりそのまんまなんだな。自分達で殺したのに死体を見るのはいい気がしないな。


 「その辺にまとめておけば良いのでは?」


 ディートは、事無げにそんな風に言う。


 「そんな乱暴でいいんだ。」


 俺はそんな扱いに呆れて、そう返す。

 すると、リア達も話に加わって来た。


 「いちいち埋めるのもな。あとで確認に来る兵士が掘り起こさないとだしな。」


 「村を襲って返り討ちした奴らも、お役人が来るまでやっぱり、一か所に集めて置きましたよ。段々臭くるので、役人に確認して貰ったら、すぐ燃やしましたけどね。」


 「あー、あったな。そんなこと。あたいは臭くて近寄らなかったから忘れてたぜ。」


 一応、こんな世界でも検分はするんだ。街から遠い村とかだと検分する方もされる方も大変そうだ。

 そういうことなら、仕方がない。片付けるか。

 俺達は、死体から金銭と武器を剥ぎ取ると、死体を引き摺って一か所にまとめる。

 こうやって、後処理をすることを考えると、やっぱ悪人とはいえ、積極的に倒したくはないな。

 さて、今度はアジトを聞き出さないとか。


 生き残った盗賊二人を脅してたり、痛みを与えながら、アジトの場所を聞き出す。

 最初は叫ぶだけで、白を切っていたが、お互いを見えない場所に隔離して、最初に話してくれた方に引き渡し時に口添えをしてやると言って、カマをかけて聞き取りを行ったところ、やかましく騒いていた方があっさりと白状してくれた。

 まぁ、約束どおり、引き渡す時兵隊さんにこいつは口を割ってくれましたと言って、便宜を図ってやろう。

 だが、俺達を襲う前にも、話を聞くと結構な被害を出した盗賊のようだ。

 多分、その程度では罪を減じては貰えないだろう。


 アジトにはまだ、三名ほど見張りがいるそうだ。

 と言うことは、結構お宝をため込んでるのかな?

 そんな期待を頭に描き、捕らえた二人を縛り上げ、賊が乗って来た馬に乗せる。

 それでも、まだ、鞍を空にした馬が四頭いるので、パルマとリサも馬に乗って貰い、馬に乗った女性陣が、賊を乗せた馬と、鞍が空の馬をそれぞれが一頭曳く形にして、アジトがあると聞いた場所へ向かうことで話がまとまる。

 ティアさんも馬に乗れるけど、冒険者でもないので馬車でゆっくりして貰うつもりだった。

 ところが、ティアさんに話をして馬車に乗るように促すと、彼女も協力してくれると言ってきた。

 確かにティアさんも馬に乗ってくれれば、馬を曳かずに手が空く者が二名できるから、何かあった時の対処はしやすいか。

 少し迷ったが、やはりこういう時は人が多い方がいいので、協力をして貰った。


 賊のアジトに近づいて来た。

 木々が茂った森林で、その奥に隠れ家として簡易出来な住処を作ってあるそうだ。

 見張りがいるかと注意して近づくが、索敵に引っかからないので森の入口で警戒はしていないようだ。

 敵の主力が、仕事に出ているのに随分不用心だな。

 そんなことを考えながら近づく、縛り上げた賊を近づけるのは危険なので、少し離れた場所に馬や馬車と一緒に置いておく。

 見張りの必要なので、俺と同じ索敵を習得したリアと給仕のティアさんを置いて行く。

 念のため、ティアさんにも護身用に賊が持っていた短剣を手渡して置く。

 向こうの見張りは三人らしいし、俺達四人でもなんとかなるだろう。


 森に入り、しばらく進むと奥の方に三人の人の反応があった。

 どうやら、これが見張りの盗賊のようだな。

 気配を気取られないように、慎重に近づく。

 やがて、向こうを肉眼で確認できるところまで近づく。

 少し開けた場所に立ち木を利用して造られた簡易あばら小屋があった。

 その前で、見張りのはずが焚き火を囲んで、談笑をしている三人組がいた。


 「あれだな。」


 「はい、こちらに気付いていないようですし、一気に奇襲しますか?」


 「そうだな。俺とミサで魔法付与をする。その後、ミサに魔法を撃ち込んで貰い、一気に俺とディート、パルマで制圧しよう。」


 「ギリーも前に出るのですか?」


 「回復役は奇襲には要らないからな。久しぶりに斧の出番だ。」


 「わかったわ。」


 「では、付与を掛けるぞ。その後合図したら、ミサは、魔法で攻撃してくれ。」


 「はい、任せてちょうだい。」


 魔法付与を掛けた後、ミサの魔法の射線から外れるように移動し、奇襲しやすい位置を陣取る。

 俺が、ミサに手を振り下ろし合図をお送る。

 すると、見張りめがけて魔法が放たれる。

 中級魔法の『礫弾幕』のようだ。地面がたわみ、そこからいくつもの礫が火を囲っている見張りに向かって飛んでいく。


 「ぎわぁ」「あぎゃ」「ぐっへ」


 人の声とは思えない叫びがする。

 俺達も三人に目掛けて、駆け寄る。

 しかし、既に魔法で片が付いていたようで、反撃することも出来ずに三人は横たわっていた。

 皆、かなりの傷を負っており、苦しみのたうち回っていた。

 治療は、ミサが中級魔法を使ってしまったので、こいつらの供述から、俺達がまさか中級魔法を使えるのが知られるのもまずいので、抵抗できない者を殺すのも良心の呵責があるが、息の根を止めることにした。

 俺が打ち合わせの際に初級魔法以外使うなと注意しなかったのも悪かったし、さて、どうしようか。

 そう思っていると、ディートがパルマに命じ、一体の死体を焚き火に放り込まさせた。


 「おい、いいのか?検分前に火にかけちまって。」


 「仕留めた時、暴れられて火が燃え移ってしまったということでよろしいのでは。それにミサさんの魔法の跡を見られるのもまずいでしょう。」


 「だよな。」


 俺もディートの言葉に同意した。うん、殺した時一人に火が燃え移って、残りの二人も延焼してしまった。不幸な事故だ。

  

 俺達は、ミサがこちらに姿を現してから、一応魔法について注意をしておいた。

 ミサも、それを聞いて反省をしていた。

 つい、安全のため確実にダメージを与える魔法を選択してしまったとのことだった。

 完全な奇襲だったし、魔法行使に余裕があったから、確実性を高めるため、大技を使いたくなっちゃったんだね。

 わかるよ。その気持ち。ということで、反省会をすませて、当初の目的の盗賊のお宝を拝みに行く。


 結果は、大したものがなかった。

 いや、正確にはあったのだが、布類は、どこかの貴族が発注した物らしく、貴族の紋章が描かれた木箱に入っていたし、その他の調度品類も貴族の紋章が施されていたのだった。


 「これは、どう取り繕っても、持ち主がわかっちまうな。」


 「ええ、さすがに持ち主不明とは言えませんね。」


 「ですが、多少のお礼は頂けるでしょう。」


 「でも、このお金は持ち主不明でいいよね?」


 俺とディート達の会話に、ミサがアジトを漁って見つけた金貨の入った小袋を手にして、そう問いかけてきた。

 俺達は、その小袋を見て、大きくため息をついて否定した。


 「それにもどこかか焼き印が付いてるぞ。」


 「残念ですが、その袋はポーツァル商会の物ですね。」 


 「そんな、なんで律儀に奪った袋に戻してるのよ。」


 ミサは、大声を上げて、そう文句を言っていた。

 でも、盗賊は盗んだものを後で適当に捌くつもりでそのまま留め置いただけだし、まさか取り返されるなんて思ってもないから、そのままにしていたんだと思うよ。

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