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第35話 家を内覧しよう

 翌朝、アーベレ魔道具工房に顔を出し、カリーナさんの案内で、街の郊外で作られている家に向かった。

 冒険者が狩りに行く方角とは別の方角にならされた土地があり、周囲が幕で覆われており、作業場となっていた。

 なるほど、人が寄り付かないところに作られているのか。

 その方がトラブルもなく、いいのだろうな。

 この場所は、街で許可さえとれば誰でも使える場所らしい。

 俺の家を作るときも丁度空いていて、ここを借りられたので、整地作業を行わずに済んみ、早く仕上がったそうだ。

 近くで見ると、整地された場所は、雨が降った際の排水とかも考えて作られており、ただ平らにしてあるだけでなく、結構手の込んだ作りになっていた。


 カリーナさんの案内で天幕を潜ると、大きなフローティングボードの上に家が造られていた。


 「どうです。なかなか立派な家でしょう。」


 カリーナさんは、そう言って、自慢するように家を眺め見た。


 「ええ、思ってた以上にいい見た目です。」


 「それと、馬車を持っていましたよね?馬房はどうします。一応作るだけの場所は確保してありますけど。」


 「ああ、そうでした。うっかり忘れてました。馬が二頭入るだけの馬房をお願いします。」


 「馬車もそこに入れる感じで、いいでしょうか?」


 ああ、馬車ね。鞄にしまうって言う訳にも行かないし、馬房だけって訳にも行かないか。


 「ええ、お願いします。それと馬車を入れるところを馬房に改装って出来ますかね?」


 「それ位は出来ると思いますよ。では、棟梁にその辺も含めて、お願いしましょう。」


 「頼みます。」


 「それでは、お待ちかねの家の中に入りましょう。外見だけじゃなく、中も気に入って貰えると思うわよ。」

 

 フローティングボードの上に上がり、玄関に案内をしてくれる。

 扉を開けると、広い玄関があり、手間に段差が設けられている。


 「ここで室内履きに履き替えて下さいな。しかし、この段差と室内履きは家が汚れなくていいですね。滅多にないけど激しい雨の時は、家に上がるとき面倒ですからね。」


 そうなのだ。この辺りは、夏場はほとんど雨が降らず、乾いた空気で暑くても過ごし易いのだ。

 仮に雨が降っても、パラパラと降る程度でさほど気になまらないくらいだ。


 「俺達は冒険者ですからね。普通の人以上に足元が汚れる時が多いのですよ。」 


 まぁ、実際は俺が日本人なので、土足で室内に入るのが抵抗あるだけなのだが、そう理由を述べておく。


 「それは大変ですね。」


 俺とカリーナさんが室内履きに履き替えると、女性陣も戸惑いながらも、履き替えた。

 室内履きは、布製なので蒸れないし、風通しが良くて気持ちがいい。

 ただ、まだ今の時期はいいが、これから寒くなって来ると床の冷たさが、直に伝わって来るので、中敷きを入れるとか、どうにかしたいな。

 玄関の靴入れの使い勝手などを見ていたら、棟梁も俺達のところにやって来た。


 「おう、昨日はまた菓子を持って来てくれて、ありがとな。おかげで、孫に喜んでもらえているよ。」


 「それは、よかったですね。」


 「ああ、それとなんか要望があれば、出来る限り手直ししてやるから、遠慮なく言ってくれ。」


 「ありがとうございます。玄関は口頭で伝えただけなのに、中々の出来栄えで満足ですよ。」


 「ありがとな。玄関については、北方から流れて来た連中の中には、こんな感じの玄関を作って欲しいという要望もあるので、多少は慣れているからな。」


 「そうなんですね。」


 へぇ、まぁ、ヨーロッパでも北欧だと玄関上がりがあったりするらしいからな。



 次にみんなの要望が多かった厨房を見ることにする。


 「まだ調理魔道具は入ってないですが、使い勝手は良さそうに感じますよ。」


 「ああ、食堂の広さ以上の料理も作れそうな感じだぜ。」


 カリーナさんと棟梁がそう言って、調理場の扉を開ける。

 確かに広々していて、清潔な感じがする。

 女性陣も中に入って、水回りの具合を確かめている。

 うん、魔道具や食器棚を置いても、充分に導線が確保できそうだ。


 「そう言えば、魔道具は頼んだが、中の家具はどうなっている?」


 「おう、こっちで用意して構わないなら、用意するぜ。」


 「では、頼むか。」


 「では、後で見本を見せるからうちに寄ってくれや。特殊な木材を使わなければ、引き渡しに間に合わせるよ。」


 「わかった。」


 次に食堂を見る。

 こちらは、大きな広間になっている。


 「こっちはどうするよ?」


 「テーブルだけ、頼んでいいか?六人掛けと四人掛けで分けて欲しい。幅や高さは同じにして、材質も統一して欲しい。椅子も十脚頼む。」


 「あいよ。これもデザインを後で選んでくれ。」


 そんな感じで各部屋回り、各部屋のカーテンの取り付けとベットとナイトテーブルを各十台、簡易テーブルを各寝室に一台と椅子十脚程、追加で用意して貰うことにした。

 部屋の間取りは、問題ない。一部内装がまだ終わっていないところもあったが、見た感じ問題はなさそうだった。


 各部屋、通路の窓には、鎧戸と木戸が備え付けられており、一階はセキュリティーのため、鉄製の格子が嵌められている。

 これは、鎧戸には、虫対策で裏に網を貼り付けよう。いや、一部は鎧戸を外して網戸をそのまま取り付けよう。

 ということで、網戸は無いかと聞いてみたら、なんとあるとの回答だった。

 ただ、魔物の糸を使って作るので高く、貴族の邸宅や、一部の高級店でしか、まだ使われていないそうだ。

 でも、俺達の家は何にもない平原で使ったりするので、防虫対策は万全にしたいとの理由で、別料金を払うので一階は、鎧戸の裏に張って貰い、二階は鎧戸の替わりに網戸をはめて貰う様に頼んだ。

 これも、材料を確認しないと何とも言えないが、多分、納期までに揃えられるということだ。


 よし、これで、後はベットのマットレスやカバー、掛け布団や枕と小物類や消耗品を買い揃えればよさそうだな。

 こうして、内覧を終えて街に帰ると、棟梁の家に向かいベット台や家具、テーブルなどの打ち合わせを行う。  

 結構、細かな内容まで聞かれたので、打ち合わせが終わると、もう、いい時間だった。

 今日は、そのまま宿に帰ることになった。

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