第33話 気分転換に森に行こう
その後も、俺達は探索スキルの開花を試しながら、森の中を歩いていた。
だが、一向に他の二人は身に着かなかったため、陽が沈み始めてきたので、野営の準備のために平原に戻ろうとした。
ちょうどその時、森の奥に魔物の反応を見つけた。
「お、森の中でも魔物の反応があったぞ。」
リアもそれに気付いてみたいで、そう報告してきた。
「ええ、でも、結構奥の方ですがどうします?」
パルマは、魔物の反応が奥地なので、時間的にも魔物を確認しに行くべきか問うてきた。
「そうだな。別に魔物は逃げないし、明日確認して狩ろう。今日はこのまま野営のため、平原に戻ろう。」
「そうね。森の奥に行くなら、どっちにしろ馬を連れては行けそうにないし、戻りましょう。」
「そうですわね。」
こうして、平原に戻ると、野営地をミサに『地形操作』で作って貰い、夕食や眠るための準備に取り掛かった。
馬を森に行っている間に、どうするか話し合ったが、ここにミサの魔法で囲いを作り、水飲み場を用意して置いて行こうということになった。
確かにこんな場所じゃ、人も近づかないだろうし、そんな感じでいいか。
やはり魔法があると便利だな。
だが、こういった時のためにも、家が出来上がったら、使用人を確保するべきなのだろうか。
家の中の清掃だけでなく、馬の運動も適度にしてもらえるしな。
それと守秘義務も守って貰いたいし、その辺の伝手がありそうなディートに今度相談するか。
しかし、便利にしようとすると何かと維持費が掛かりそうだな。
魔力は、今日は戦闘を行っていないため余っているので、今のうちに囲いを作って、馬をそこに放してて置く。
次の日の朝、森に行く準備を終えると、さっそく、森へと足を生みいれる。
最初は、適当に進んで行く。
そして、魔物の反応を見つけると、そこからはその反応を頼りに、森を進んで行く。
魔物の反応があった所は、開けていたりはせず、木々が立ち並んでいた。
「まいったな。これは、戦いづらそうだな。」
「ああ、こりゃ、剣も碌に振るえないぞ。」
「ふふふ、任せて下さい。」
ミサはそう言うと、『地形操作』で魔物がいる手前の森を更地にする。
ああ、そうだったな。『地形操作』は、地形効果をなくすための魔法で本来の使い方は、これが正しい使い方だったな。
あまりに便利で本来の使い方を忘れていたよ。
「これなら、ここに魔物を釣ってくればいいでしょ。」
「そうですわね。」
「おっしゃ、いっちょ釣って来るか。」
「まぁ、待て。あの魔物は、「撞木蜥蜴」だ。おそらく物理耐性があるから、武器に魔法付与をかけて貰え。それと普通に強いぞ。」
シュモクザメのトカゲ版だ。こいつも日本風のエリアにいた魔物なんだよな。撞木なんて西洋にないから、このままでは意味が解らないだろ、ハンマーヘッドリザードでいいか。
「わかったわ。開けた場所にしたから『火纏い』でいいわね。」
そう言って、ミサは、前衛3人の武器に火纏いを掛ける。
俺も、魔法でみんなの能力を強化する。
「では、改めて釣って来るぞ。」
リアはそう言って魔物に向かっていった。
ハンマーヘッドリザードがリアに反応し、丁字型の頭を左右に揺らして、こちらに向かって来る。
リア達は、魔法付与された武器で攻撃してたので、攻撃力も上がっていることもあり、思ったほど苦戦せずに倒すことが出来た。
問題は、ドロップだった。俺は知ってはいたが、実物を見ると何とも言えない感じだ。
有用品何だろうが、こいつの頭の部分が魔石と共に丸々ドロップしたのだった。
「これ、グロテスクだけど、売れるのか?」
リアが、疑問に思ったのかそう聞いて来た。
「一応ドロップしてるから、売れるんだろ。多分。」
ゲームだと錬金素材や強化薬の材料になったが、強化薬とか、こっちでは売ってないみたいなんだけど、本当にこれ売れるのかな。
俺も、本来の使い道がこの世界で再現されていないので、いまいち確信が持てずそう答えた。
「すみません。商人でもこれは知りません。どのように保存して持っていけばいいのでしょうか?パルマはわかる?」
「お嬢様、私も分かりませんです。すみません。」
そうだった。ゲームではアイテムとして鞄に入れて持って帰ればいいけど、現実だとそうは行かないよな。
俺の鞄の存在も知られたくないし、普通に考えると、乾燥させて持って帰るか、塩漬けにして持って帰るか、だよな。
それで、売値が付かなかったら、その作業は無駄になるか。
「とりあえず、気味が悪いけど、このハンマヘッドリザードの頭は、俺の鞄に入れておくか。ギルドで加工方法がわかったら、加工して持っていこう。」
「おい、さっきシュモクトカゲって言ってなかったか?」
リアは、俺の言い換えに気付き、そう聞いて来た。
こいつ、以外に細かいんだな。
「この辺りだと撞木の意味が解らないだろうから、この辺りの魔物の名称に言い換えたんだ。ちなみにトカゲはリザードと同じ意味だぞ。」
「へぇ。」
リアは、俺の説明に興味なさそうに返事をした。
とりあえず、この気味の悪い頭のドロップは、鞄にしまい狩りを続ける。
狩り自体は、順調に進んだ。
そして、しばらく狩りを続けていると、木々の切れ間から鬼神らしき姿を見つけた。
「お、あれ、鬼人だよな。」
釣り役だったリアも目ざとく見つけたようで、そう言ってきた。
「ああ、だが、ここからじゃまだちょっと距離があるな。もう少し、安全のため、周りの魔物を排除しないとだよな。」
そうして、鬼人のいる方向にいる周りの敵を排除しつつ、安全を確保する。
そして、鬼人と俺達の間に敵が居なくなったのを確認して、ミサに『地形操作』で更地を少し前に伸ばして貰う。
こうして、準備が出来たので、鬼人との戦闘を始める。
鬼人の持っている武器は刀と剣だ。周囲の敵も強い。上級の武芸の書の期待が持てる。
結果、難なく倒せたが、残念ながらドロップは魔石と鈍らの武器のみだった。
だが、鬼人がいたことで、地形的に戦いづらいがここで、狩りを続けることとなった。
結局、ここでの狩りは鬼人を見つけづらい、見つけても引き寄せづらいこともあって、十日ほど狩りをすることになった。
でも、おかげで剣の武芸書上級一冊、中級三冊、刀の武芸の書上級二冊、中級二冊を手に入れることが出来た。
これで、ミサの魔法と俺の杖術以外は上級が手に入ったな。
その後は、無難に平原を走破して街道に辿り着いた。
途中、新たな魔物には二度ほど遭遇したが、残念ながら鬼人に遭遇することはなかった。
だた、日数的には、そこでも習得が出来たことから、それぞれ一週間程狩りを行ったため、移動を含めて二カ月以上の長丁場の遠征となった。
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