第32話 寄り道をしながらいこう
俺達は道なき草原の草を薙ぎ払いながら、進む。
半日ほど進むが、俺の索敵には、反応がない。
そう簡単には、魔物を見つけられないか。
俺が、魔物の反応がないのを報告すると、リアが話しかけて来た。
「なぁ、ギリーのその魔物を探す能力は、どうやって身に着けたんだ?」
ゲームだと、あるイベントをこなすと身につけられるのだが、現実世界だとどうなんだ?
とりあえず、イベント内のミニゲームの内容を話してみるか。それで本当に身に着くかはわからないが。
「これか。別に魔物だけを見つけるわけじゃないけどな。ある時、森に行った行方不明になった女の子を見つけて、熊や猪を避けながら森の外に連れ出したら、いつのまにか身に着いたんだよ。」
「なんだ。それ。あたしも使えたら便利そうだと思ったのに、そんなので身に着くわけないだろ。」
あれ、俺の話が嘘だと思われちまったな。まぁ、実際の出来事じゃないから、半分嘘だけど。
でも、必死に周囲の気配を伺えるようになれば、身に着くということじゃないのかな。
「要は、周囲の状況を必死に探っていたら、身に着いたみたいな?」
「それくらいで身に着くなら、あたいだって、村にいた時、森の中で木の実を探したりしてたし、使えるようになっててもいいんじゃないかな。」
「そうか。でも、俺が身に着けたのはその時だってのは、本当だぞ。」
「ふーん。」
「リアも、頑張って周囲を探りながら、歩いてみなよ。意外と覚えられるかもよ。」
「ミサまで、そんなこと言って。まぁ、試すだけ試して見るか。覚えられれば、儲けもんてことでよ。」
そんなくだらない話をしながら進んだが、結局、この日は魔物を見つけることはできなかった。
それから数日、道なき道を進んで行くが、途中に見つけられた魔物は以前に戦った火狐だけだった。
一応、既に狩ったことのある魔物であったが、鬼人が紛れているか探るため、二日ほど狩りをしてみた。
結局、ここでは鬼人は見つけられなかった。
更にまた進み、森にぶつかった。
今度は、その森を左手に見えるように沿って進むことにする。
そうすると今度は別の街道にぶつかるはずなので、街道に到達したら、イオナの街の戻ることに決めた。
まぁ、そんなに簡単に未発見の魔物を見つけられるわけはないのだが、二日も歩くと飽き始めて、リアは森の中を歩けば、探索のスキルが覚えやすくなるんじゃないかとか言い始めた。
そんなことで覚えられれば苦労はないが、まぁ、何もない平原をただ歩くよりはと、気分転換を兼ねて森に入ることにした。
どうせ、目的地のある旅でもないからな。
森の中は木漏れ日が差し込んで明るさもあり、そんなに歩きづらいという感覚でもなかった。
ただ、この森はかなり深いらしいので、迷うといけないので浅い部分にしか入らないようにした。
それに馬も引き連れて、森に入っているから、あまり奥には行けないしな。
野生動物は、それなりにいるようでリスや何かの小動物や、鳥の気配が感じられた。
さすがに、森の浅い所だと大型の動物の反応はないようだな。
「リア、近くに小動物や鳥がいるが、感じ取れるか?」
「鳥くらいは、鳴いているからわかるけど、小動物か。」
リアはそう言って、神経を研ぎ澄ませ、周囲を探る。
「お、あそこになんかいるぞ。」
リアが、そう言って指を指し示す。
ん、気配を感じ取れたのか?
「ええ、木の上からこっちを見てますね。リスでしょうか?」
「あ、本当だ。あれは、大ムササビですね。あんな姿をして、空を飛ぶんですよ。」
「小さく見えますが、大きいのですか?」
「うん。小さく見えるけど50cmくらいあるよ。手を広げて飛んでるときは、もっと大きいけども。」
「ああ、あれに近くを横ぎられたときは、おどろいたな。」
「そうなのですのね。」
「で、リアは、あれを感じ取れたのか?目で見つけたのか?」
「どうなんだろ?見つけた時に見えちまったのか、見えてから見つけちまったのかよくわからん。」
「まぁ、次も感じ取れたらわかるだろ。」
「これで覚えられたならいいな。」
そんなこんなで、また暫く進む。
「あ、あそこに。」
また、リアが何かを感じ取ったのか、木の上に指を指す。
俺の探査にも反応する。
指を指した方をみると、そこには何もいない。
「あれ?いない?」
「いや、ちゃんといるぞ。」
俺がそうフォローを入れると、木の陰から大ムササビが滑空して森の奥に消えて行った。
「覚えられたのか?」
「たぶん?」
「おっしゃ、やったぜ。」
「おめでとう。」
「「おめでとうございます。」」
リアの喜びにみんなが祝福を述べる。
その後、他の女性達もリアの真似をして挑戦してみるが、結局身に着いたのはパルマだけだった。
身に着く、身に着かないの違いは何なのだろう。いろいろ考えてみたが、これといった答えは浮かばなかった。
だが、戦闘以外のスキルもこっちの人が習得をできるとわかったのは、収穫だ。
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