第28話 魔狼について話し合おう
「魔狼ってどんな魔物なんだ?」
ディルクさんに魔狼について、詳しく説明をする。
大きさは3m位で一匹で行動している魔物で、見た目は黒色の狼だそうだ。
一週間に一度、同じ時刻に街道を跨ぐ形で通過するので、事故防止のため、ディルクさんがその時に合わせて、街道に立っているらしい。
事故防止とは言え、ご苦労さんだね。
週一回、決まった時間に通過する理由はよくわからないらしい。
攻撃方法は、普通の狼と一緒で、噛みつきや爪での引っ掻きによる攻撃が主だと言うことだ。
「うん、攻撃方法を知っていると言うことは、戦っても問題ないのだな?」
「お前さんのような奴が勝てるわけないだろ。以前腕っぷしの強そうな冒険者五人で戦って、五分もたなかったよ。」
「へぇ、ディルクさんは、見てたのかい?」
「ああ、儂の制止も聞かずに突っ込んでいきおったからな。」
「なら、戦って倒そう。」
「おい、儂の話を聞いていなかったのか。なに、戦おうとしているんだ?」
「そうだぞ。ギリー。無理にそんなのと戦う必要はねぇだろ。」
いや、動物型のフィールドボスなら、ゲームでも中級の書をある程度進めたパーティーなら安定して狩ることが出来た。
魔狼という魔物のことは知らないが、魔法も使わないようだし、きっとそんなに強くないはずだ。
ただ、体力とかはあるだろうから、普通の冒険者のように初級の書のスキルだけじゃきついかも知れない。
だが、俺達は中級スキルもある。それに薬を飲んで、付与もかければ、装備も整えたし、俺達ならいけるはずだ。
「いや、勝算はあるし、多分そいつはボスの魔物だ。冒険者なら戦ってみたいだろ?」
「おい、爺さんの話、聞いていなかったのか。冒険者五人で戦って、五分しか戦えなかったんだぞ。あたし達だって同じことになるじゃないのか?」
「ここ最近の習得速度、早くなっているだろ?」
「確かに、この前イオナの街でギリーが休んでいた時、あたい達で半日狩りに行ったんだけど、最初にギリーと会ったとこの敵、一撃で落とせたぞ。」
女性陣だけで出かけたと思ったら、なんだ、そんなことしていたのか。
まぁ、いいや。
いかつい男五人、恐らく初級終わっただけの剣士だろう。それでは、戦力の底上げも出来ず、純粋に戦うしかできない。
だが、俺の魔法付与や薬による強化をすれば、かなりこちらは戦力の底上げが出来るだろう。
なので、ディルクさんがいるので、そこを少しぼかして説明する。
「それだけ強くなってるし、付与魔法等で強化もすれば、かなり能力も上がるだろ。」
「そうだな。あ、でも、勝手にギリーに同意するなって言われてんだ。みんなと話し合って決めようや。」
なんだ、俺、そんな信用ないのか?
それとも、リアが勝手しないよう、そう言い含ませてるのか?
「よし、そうだな。パーティーのことはみんなで決めような。そう言う訳で、ディルクさん、ちょっと中でみんなと相談させて貰うよ。」
「ふん、勝手にせい。ただ、戦って勝てないからといって村の方に逃げんでくれよ。それを防止するために儂はここで忠告しとるんでな。」
うん、過去にそんな被害があったのか?相手は魔物だ、そんな遠くにまで、逃げられないだろ?
「ああ、もし逃げる時は、山の方には行かないよ。でも、魔物相手に逃げられるとも思えないがね。」
「前に斥候職が、忌避剤や何やらを撒きながら、家畜飼っている山の麓まで逃げて来て、家畜が結構な被害にあったんでな。」
「なるほどね。それは大変だったな。では、失礼する。」
俺達は、そう言って、リアと一緒に馬車の中に入った。
そして、中のディート達に状況を説明する。
「話は、わかりました。ですが、なぜ、わざわざそんなのと戦う必要があるのです?」
え、だって、ボスだよ。戦いたいじゃん。
そんな身も蓋もない答えじゃ、ディートは納得しないだろうな。
うーん。
「俺達がこの先で、鬼人を狩る予定なのだが、魔狼とやらが、近くを徘徊しているのは危険だ。それに、村人に鬼人を狩りに来てるのを見られるのも良くないだろ。」
「でも、本当に勝てるのですか?五人の冒険者が負けているのですよね。」
「俺達は、武芸の書も中級を習得中だし、それに俺の付与魔法も、中級の付与を覚えて薬と同等の能力を上げることが出来るようになっている。
二倍から三倍能力を引き上げて戦えるんだ。
更にミサの魔法も武器に属性魔法による攻撃強化も行える。
それに、中級の攻撃技能による攻撃力アップもある。純粋に考えて、それだけ強化されれば、普通の冒険者とは、攻撃能力は四倍から五倍になる。
そう考えれば、勝ち筋も見えて来るんじゃないか?」
「なるほど、でも、敵の魔狼の力が分からないのは不安です。」
よし、もう一押しかな。
「ディルクさんから聞いた範囲だと、大型の狼だが、集団なら怖いが一匹だけなら、いくらでも戦いようはある。動きだって直線的だろうし、魔法は使わないようなので、牙と爪さえ気を付ければいいんだ。
パルマだって、大型の魔物の攻撃を盾で受けるのは危険だが、直線的な動きなら、受け流したり、躱せるよな。」
俺は、そう言って、パルマに確認するよう顔を向ける。
「はい。」
「どうだ、ディート。」
「わかりました。ギリーさんがそこまで言うのなら、相手をすることにしましょう。」
「他のみんなもいいか?」
ディートが納得してくれたので、リア達にも最終的に確認をする。
「おうよ。」
「わかったわ。」
「はい。」
各々了承を貰ったので、外で待っているディルクさんに魔狼の通る場所を案内して貰うことにした。
「本当にやるのかい?まぁ、冒険者なら止められないか。ただし、先程も言ったように、儂らの村には迷惑をかけるなよ。」
「わかった。」
「では、付いて来い。」
そう言うとディルクさんは、馬車の先を歩き出した。
俺は、それに合わせて馬車を進める。
よし、これで初めての実戦でのボス戦だ。怖いけど、楽しみだ。
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