第26話 リンデンブルグの街に寄ろう
今回は、オーベルマイヤー侯爵が開催するパーティーを避ける意味もあって、一カ月以上の遠征の予定である。
必要があれば、途中で他の街にでもよればいいと考え、彼女達にも伝えておく。
とりあえず、前回習得をした魔物で、二週間ほど習得し、もう少し技能を習得してから、鬼人のいる場所へ向かうことにする。
昼食は相変わらず、スフレパンケーキで済ませ、夕食や、朝食は、新たな食材を交えつつ、調理をした。
米は、白米で食べてもいいが、品質が良くなさそうだし、味があった方が食べやすいだろうと考え、米に野菜や鶏肉を入れ、バターで炒めてから、鶏ガラスープ炊くピラフ風にしてみた。
パンの替わりに食べるものと説明したが、確かに腹持ちはいいけど、副菜のほうがしっくりくるイメージと言われてしまった。
なまじ、味がついているのがいけなかったか。パンと一緒に食べたら太るよこれ。
それと、香辛料を使った料理のチャレンジしてみたが、いくつか配合が悪かったため、臭いがきつい物を作ってしまったり、失敗もしてしまった。
そんな失敗もありながらも、なんちゃって何々風の創作料理もおおむね高評価を頂けました。
これは、自分の腕なのか、高い調味料の所為なのか微妙なとこではあるが、褒められてうれしいのは確かだね。
料理は兎も角、習得は好調に進み、みんなの技量も上がったこともあり、回復魔法を使う機会がだいぶ減って来た。
なので、付与魔法を多めに掛けてはいるのだが、それでも魔力にかなり余裕がある状態になって来た。
別に魔力が大幅に増えたわけではなく、回復魔法中級の『魔力制御1』を習得したため、使う魔力が大幅に減ったのだ。
ミサの方も、同じ物を習得が終わって、やはり魔法が余裕を持って使えるようになった。そのため、短剣を持って前に出るようなこともなくなった。
こうして、予定どおり二週間の習得を終え、鬼人を狩りに向かうのだった。
「結構、遠いのか?」
「ああ、前回戦った鬼人の場所より更に奥になる。」
「それでなのですが、そのまま目的地に向かうと、途中に大きな町や村がありません。一度領境を越えますが、リンデンブルクという都市に寄るのはどうでしょう。」
確かにこのまま目的地に向かうと、一カ月以上馬車での生活になるから、一度宿屋で身綺麗にしておくのもいいか。
他領なら、冒険者ギルドで、新たな情報を得ることも出来る可能性もあるか。
「うん、一度、街に寄ってから行くか。情報も得たいし、食料も心もとないか。」
まぁ、いざとなったら、鞄の中の食べ物に手を付ければいいんだけどな。
「おうよ。イオナの街以外の初めての街だぜ。」
「そこは、大きな街なのか?」
「一応、レングラム公爵領の第2都市になりますので、それなりの規模のはずですよ。」
「はい、隣国フランネル王国との境にもなっているので、軍事的要衝としても、交易の拠点としても重要な位置を占めています。」
俺の問いにディートが答え、パルマがそう補足してくれた。
「なら、結構な規模のようだな。」
「美味しいものがあるといいわね。」
「だなぁ。」
ミサとリアは、まだ色気より食い気か。
こうして、鬼人と戦う前に英気を養うべく、リンデンブルクへの馬車の進路を向けたのだった。
領境の橋に差し掛かると、領兵が橋の両脇に控えていて、通行税を徴収していたのだった。
川面を見やるとそこを行き交う舟も金を徴収されていた。
俺達もそこを通るときしっかりと徴収されたのだった。
「うぇ、領境の橋を渡るのに大銅貨2枚も取られた。これ帰りも取られるんだよな。」
「普段、考えなしに金を使っているくせに、妙にせこいこと言うな。」
「考えなしに使ってないぞ。ちゃんと必要と納得して使ってるんだぞ。」
ちゃんと財布の中身と相談して、納得して買ってるんだよ。これでもね。
ただ、財布の中身が尋常じゃないだけだ。
「そうなのか?」
「さぁ?」
「わかりませんわ。」
「うるさい。そうなんだよ。」
御者台にいるパルマを除いた女性陣はみんななんか納得していないようだったが、財布の中身を自慢するつもりもないので、そう言って話を打ち切った。
暇だったので、隣国フランネルについても聞いてみた。言語は若干違う程度で、何とか意思疎通は出来るそうだ。
ファンタジー世界のご都合で、言語はみんな同じじゃないのね。
暖かい気候と、広大な平地があるため、農業が盛んで、かなりの農作物を輸出しているそうだ。うちの国は、替わりに鉄の輸出や木材の輸出をしているらしい。
うん、冬になったら、フランネル王国に行くのもありなのかな。
でも、通行税がお高いのかしら。
幸い国同士の関係は良好で、ここ数十年争いは起こっていないらしい。
ゲームだと頻繁に隣国と戦争があって、そこで奥義の武芸書とか手に入れられたんだけどな。まぁいいや。
ただ、それ以前は、かなり大規模な戦争が行われていたらしく。戦争の傷跡で、魔力のひずみが残っているため、国境付近はかなりの魔物が出没するらしい。
そこで、お互いの軍が協力して制圧を行っているそうだ。
まぁ、今は協力できてるのなら、いいのかな。
まぁ、急いで国外に出ることもないから、この国でゆっくり地盤を築きたいな。
そういや、この国の名前ってなんだ?記憶を遡っても出てこないのだが、聞いてみるか。
「ところで、この国はなんていう名前なんだ?」
「まぁ、普通に暮らしていれば知らないのも無理ないですが、国と言う概念を知っていて、知らないのはおかしくありません?」
「そうかな?あははは。」
「知らないなら、教えますけどゲントナル王国ですよ。ちなみに国王はハルトヴィン・アルトゥール・ゲントナルですよ。」
「そうか。うん、国名は覚えたよ。ありがとう。」
で、いつもどおり、馬車を預けて街に入ろうとしたら、空荷でこの街に来る奴は滅多にいないらしく、珍しがられたが、無事に街に入り、宿を取ることが出来た。
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