第24話 休日を楽しもう 3
彼女らが戻って来て、夕食を済ませて、今日の話し合いをする。
「はぁ、なんだって?」
「だから、遠征用の家を買うことにしたんだが。」
俺が、今日、魔道具工房に行って、移動時の家を買うことにした話をしたら、なんか呆れられたような反応がみんなから返ってきた。
そして、落ち着かせて利点を説明する。
風呂が入れる。心地よく眠れる。美味しい飯が食べられる。どうだ、いい事尽くめだろ。と言った内容を事細かく、用意した家の間取り案を基に魅力的に語ってみる。
あれ、彼女らの反応が変わってないぞ。プレゼン失敗か?
「ギリーさんの快適に過ごしたいと言う考えはわかりますが、誰かに見つかったら騒ぎになるような物を作ってよろしいのですか。」
ディートが俺に確認するように、意見を述べてきた。
うむ、ここは、細部まで話して、不安を払しょくしないとか。
そう考えて、俺は彼女らの質問に色々答えていく。
最初のディートの質問には、人が居れば、人のいないところまで移動して設置すればよい。今後は、街道側に拠点を設けず、少し奥まった場所に拠点を置けばいい。
見張りはどうするのか。今までどおり見張りもしてもいいし、フローティングボードの周りを柵か板塀で覆って、また、警報の魔道具を用意して、窓や扉には鉄格子を嵌め込んでおけば、先手を取られることはない。
水は、どうするのか。上部に貯水槽を設置するので、鞄に樽を入れておいてもいいし、魔法で水を用意してもいい。
家の掃除とかはどうするのか。取り合えずみんなでやってみよう。大変そうなら、信用のできる誰か魔法を使える人を雇いたい。
もし、誰かに見られたらどうするのか。こちらの顔は割れなければいいのだから、見られた連中を無力化して、その隙に逃げることにする。
その他、魔道具の為の魔輝石の費用や、それを利用するための費用の負担など細かなことまで聞かれたが、その辺は、面倒なので俺が持つから心配するなと答えておいた。
ここは、こっちに来てから大金持ちになったので、言えるセリフだよね。
一応説明は尽くしたし、彼女らも色々思うとこはあるだろうが、取り合えず納得はしてもらった。
よかった。よかった。
ただ、説明で時間が食ってしまったこともあり、間取りの相談などは、翌日に持ち越しとなった。
明日は、みんな出かけずに、間取りについてまず話し合い。みんなが納得すれば図面案を、アーベレ魔道具工房に持っていくと言う話になった。
翌朝、朝食後、早速打ち合わせを始める。
まずは、食堂を念のため10人くらい座れるの規模の広さにするかと言ったら、この人数では広すぎて、無駄になるのではと言われた。それなら今はテーブルとソファーを据え付けておけばよいだろう。
それと、キッチン、色々な魔道具を置けるように十分な広さを取っておく。彼女らもみんなで作業できるようにしたいと言ってきた。
次にトイレだな。本当は人数が増えることを考えたら、2つくらい用意しておきたいな。
後は、浴室と脱衣所、本当は大きいのを用意したいが、水の供給を考えて残念ながら、小さな物を用意することにした。
最後に各自の部屋だ。彼女らの希望は、個室でなく、今までどおり大部屋でいいと言う事だった。
話してみてお互い気が合ったことや、リアやミサは個室だとかえって落ち着けないとのことだ。村にいた時も兄弟一緒の部屋だったし、街に来てもそうだったからだそうだ。
ディート達も狭い部屋だと落ち着かないととのことだった。ディートは、あの屋敷に住んでるし、自室もきっと大きいのだろう。
よし、それでは今後人が増えることも見越して、6人くらい寝れる大部屋を一つと荷物置き場用にもなる個室を上に1つ設けておくか。後は俺の部屋も2階に置くことにしよう。
あと、2階とバランスをとるために部屋を一階にも作ろう。二部屋設けようと思えばできるけど、階段を考えると玄関を広めにして誤魔化しておこう。
細かな点は、この図面をもとに専門家に修正して貰おう。
みんなの意見や、俺の考えを基に作った図面を眺める。とは言っても素人の図面だ。参考程度にしかならないだろうけど。
それと掃除が楽なように、玄関で靴を脱いで出入りできるように要望してしておくか。日本人の俺としてはその方が落ち着くしな。
確かに、これは、カーリンさんが言っていたように宿屋の規模だよね。
まぁ、当初の説明とさほど規模も変わってないだろうし、想定した期間で作って貰えるよね。そんな心配を思い浮かべた。
彼女らも、その図面を見て、結構な広さになってしまうと感じたようで、俺の心配した雰囲気を感じ、金銭面が気になったのか心配そうに俺を見る。
いや、俺はそんな心配で図面を見てた訳ではないからね。
「大丈夫だ。ちょっと納期が予定より遅れないか心配になっただけだ。」
「そうなのですね。でも納期など多少遅れても、よろしいのでは?」
「まぁ、そうだが、中級の習得が終わって、後は得られた鬼人の情報で残った一か所を回った頃、ちょうど完成するかなと思ってな。」
「それは、確かにいい時期に完成しますわね。」
「あと、本格的に寒くなる前に使いたい。」
「どっちかて言うとギリーは、そっちの方が問題なんだろ。」
当たり前だ。現代人を嘗めるな。アウトドア志向の人間以外、野宿なんて普通しないからな。
その後は、結構話し合いに時間が取られたので、各自自由に過ごすことにした。
そんなわけで、翌日、再びアーベレ魔道具工房に足を運ぶ。
今日は、彼女らもついて行くと言うので、大所帯での訪問となる。
彼女らは、みんな新しい衣装を着ていた。リアやミサも珍しく町娘風の衣装である。
気付いたので褒めておくことにする。
上手く褒められたか自信はなかったが、恥ずかしながらも、俺の誉め言葉に喜んでもらえたようだ。
やっぱり、こう言うのは苦手だね。
工房に着くと、さっそく打ち合わせに入るつもりだった。
だが、カリーナさんが、「どうせなら、無駄を省きましょう。」と提言してきた。
俺達もそれに異論はなかったので、家を建てる大工の棟梁を交えて打ち合わせをすることになった。
急遽、俺達、カリーナさん、大工の棟梁の7人でちょっと狭くなるが、打ち合わせを行うことにする。
作業場の方から、椅子を数脚持って来て、結構ぎちぎちになったが、みんなで座って打ち合わせを始めることになった。
俺が作った間取り図(案)を見せる。
大工の棟梁からは、素人が作ったにしては、大したものだと一応の合格点を貰った。
貯水槽も、室内に作ったが水漏れや重量の問題があるから外に設置するよう勧められた。確かに、普通に考えれば外に作るべきだよな。
それと二、三点細かな修正を入れられて、棟梁の合格点を貰えた。
それをもとに、設計図を起こしてくれることになった。
建物の大きさも大体決まったので、それを基準にして作成するフローティングボードの大きさも決まった。
フローティングボードの周りに板塀か何かで覆って、そこに防犯用の警報魔道具の設置を要望した。
それについても、設置は問題ないとなった。
後は、工事の流れについて、簡単に説明をされたが、棟梁の方も今は丁度自分の所で抱えている仕事がないとの事で、順次作業に取り掛かれるらしく、当初示された、納期で上がる予定になりそうだ。
うん、よかった。
それと、内装についてはどうするか相談を受けたが、家具類はこちらで用意するので、照明や調理器具、冷暖房器具といった魔道具関係だけは、アーベレ魔道具工房にお願いすると話しておいた。
照明も魔道具にして、各部屋に冷暖房の魔道具を付けると聞いて、驚いていたが、人手的に難しいかと聞いたら、大丈夫だと答えたので任せることにした。
それと調理用魔道具は、なるべく統一感あるデザインにしてもらう様にお願いしておく。
順調に話し合いも進み、次回、俺達が再度遠征に出る前の日に打ち合わせを行うことにする。
一応、そこで大まかな仕様を決めて、順次取り掛かって行くことになるそうだ。
うん、完成が楽しみだ。
それから、別れ際に、アーベレ夫妻と棟梁にお土産として、ラングドシャと焼きメレンゲのお菓子の包みを一つづつ渡す。
不思議そうに、二人ともそれを受け取った。
あー、何だかわからないか。甘いお菓子だと説明したら、大変喜ばれた。
あと、保存料も入ってないから、二、三日で食べきるように、伝えておく。
甘い物は貴重だからと、少しづつ食べて、お腹を壊したら、大変だからね。
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