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第17話 商会長宅で調理しよう

 うん、お宅ではなく、これはお屋敷だね。

 門番によって、門が開けられ、正面玄関まで馬車が進む。

 執事さんだろうか。玄関の前で立っている。

 馬車が止まると、執事さんが馬車の扉を開け、降りようとする女性陣をエスコートする。

 ディートやパルマは、普通に手を添えて降りたが、リアやミサは、初めてなので戸惑いながらも、ディート達を真似て降りる。

 皆が馬車を降りると、執事さんと自己紹介を行う。それが終わるとパルマがアルノーさんの書状を執事さんに見せる。執事さんはそれを受け取ると、俺達を屋敷の中にと案内する。


 待合室のようなところに通されて、しばらく待つ。

 先程の執事が現れ、こう言って来た。


 「申し訳ございません。商会長は、少し商談が長引いております。」


 「いえ、こちらが急にお願いし、こちらに伺がったのです。お気になさらず。」


 「しかし、待たせるのも申し訳ありません。いかがでしょう。本来なら、我が主と挨拶をしてからとしたいのですが先に厨房を見て、作業をなさいますか?」


 「そうして貰えると助かります。菓子作りは、どうしても時間が掛かるのでね。」


 「では、案内をしましょう。」


 そうして、少し大きめの厨房に案内して貰う。ここは、この屋敷でパーティーが行われるときに使われる調理場だそうだ。

 なので、俺達5人で入っても、十分動き回れる広さがある。

 そこにはこの館の料理人が居た。一応彼が、ここの魔道具の扱いを一通り教えてくれた。

 魔道具は、コンロのような物、オーブンのような物、グリルのような物と大体の物が揃っていた。魔道具がない所の設備は、どこも竃がある程度で、少しいい所は、竃に窯があるらしい。

 うん、魔道具があってよかった。竃や窯だけじゃ、火加減が難しすぎるからね。でも、魔道具って便利だね。作るには大量生産は向かないけど、産業革命以後の調理道具や、生活用具が造られているんだから、そう考えると魔道具のおかげで10世紀近く技術が進んでるよね。

 あと必要な物は用意すると言われたので、卵とミルク、砂糖、小麦粉(強力粉と薄力粉)を用意して貰う。

 一通り準備が終わると、彼は、夕食の仕込みがあるという事で、判らないことがあれば聞いて欲しいと言い残して、別にある家族用の厨房に下がって行った。

 では、始めますかね。メレンゲは量が必要になるからな。今回は、スキルの習得でないので、手伝ってもらおう。


 「さて、メレンゲづくりをするが、何人か手伝ってもらえるか?他にもやって貰うことがあるので2名程でいい。」


 「おう、あたいもやってみたかったんだ。」


 「では、お手伝いさせて貰います。」


 リアとパルマが名乗り出てくれた。


 「では、卵を5個づつ割って、卵白と卵黄を分ける。そして、卵白に、この砂糖を加え、泡立ててくれ。」


 「ミサさんとディートさんは、この小麦粉(薄力粉)を篩にかけてくれ。それが終わったら生地作りだ。」


 「こんなちょっとでよろしいのですか?」


 スフレパンケーキの時より、小麦の量が少なかったので、ディートは気になったのだろう。そう聞いて来た。


 「パンケーキより軽く仕上げるので、これで問題がない。」


 俺は、そう言って問題ないことを伝え、その後の手順も説明しておく。

 こうして、それぞれの材料が出来上がったら、それを混ぜてスフレ生地を作って行く。

 あー、スフレ型なんてないよな。うっかりしてた。深いグラタン皿か陶器のカップを借りるか?でも、セルクルならあるかな?

 料理人の所に行き、セルクルがあるか聞いてみる。


 「円?すみません何のことかわからない。」


 と言われたので、オーブンで焼くときに使う型、容器は無いかと聞いたら、食パンやパウンドケーキ用の型みたいのをいくつか見せられたので、それを借りる。

 型に、生地を入れると、上面の周りに溝をいれ生地が均一に膨らむようにする。

 こっちの道具で初めて作るので、少し低温の170℃で焼く。焦げ目がついてきたら、生地に着かないよう、入れ物の上に薄い鉄板をかぶせるように置き、これ以上焼き色が付かないようにして、また、10分程焼いていく。

 その間に、先程鞄にしまった、スフレパンケーキの生地を取りだし、3cmくらいに小さく作って、フライパンで焼いていく。

 それとリアとパルマには再びメレンゲを作って貰い、ミサとディートには、今度はさっきより多い量の強力粉を篩に駆けて貰い、先程の材料に油と蜂蜜を加え、同じ要領で生地を混ぜて貰う。

 スフレが焼き上がったら、取りだして、冷ましておく。

 その間に次の生地を焼く。こちらは先程より時間をかけて焼き、焦げ目がついたら更に温度を下げてしばらく焼く。




 「出来上がったな。」


 おれは、型から出してまな板の上に置く。


 「おー、こっちは何だか中身が黄色いな。」 

 

 「材料はあまり変わらないのに、入れる分量が違うだけで随分見た目が変わるのですね。」


 「本当に不思議ですね。」


 「でも、美味しそうです。」


 「まぁ、これはカステラと言う。これも2個作ったので1つ試食で食べてみよう。」


 そう言って、切り分けて皆に渡す。まずは、スフレからだ。これは柔らかくていい具合に焼き上がっている。ただ、ちょっと砂糖が粒で残っているな。砂糖も手間を加えて、粉糖にするべきかな。

 あと、これに定番のチーズや紅茶を加えてもいいな。でも、紅茶ってあるのかな?こっちに来てから、飲んだないな。

 他のみんなの反応を見てみると合格としてよさそうだ。

 次に後から作ったお菓子、これは日本人の定番おやつカステラだ。しっとりしていて、一口食べると、甘さが口の中に広がる。まだ温かいから、蜂蜜の香りも鼻腔をくすぐる。小麦が多いから腹持ちもいいせいもあるけど、ちょっと一切れが多かったか。

 こちらも、他のみんなの反応は、満足のようで、美味しいと言って食べてくれている。


 こう、甘い物のばかりだと、お茶が欲しくなるな。そう思っていると、パルマがお茶を用意してくれた。

 そこで、先程思った疑問を聞いてみる。


 「ところで、ハーブティーが一般的だが、貴族の間でとか庶民の間で飲まれているお茶は他にないのか?」


 「南の方で木の葉を刻んで飲んでいるとか聞いたことがありますね。元々は薬として飲まれていたとか。」


 「そんな物があるのか。」


 どうやら、紅茶とかでないみたいだな。グァバ茶とかマテ茶みたいなものかな?

 こっち独自のお茶かもしれないし、いずれ飲んでみたいな。

 お菓子とお茶を飲みながら、会話に花を咲かせていると、ドアがノックされた。

 入室を許可すると、執事さんが現れた。

 商会長さんの準備が終わったらしい。菓子を全部作り終わってしまったけど、話が随分長引いたみたいだな。

 俺は、出来上がった菓子の名称とかを、執事さんに簡単にレクチャーしてから、商会長さんに会うこととなった。

 そう言えば、菓子の名称、向こうの世界のいろいろな言語の混成で、統一感もないがいいんだろうか?

 それに、勝手にこの世界に無い料理を広めてしまっていたけどよかったのか?

 まずかったら、管理人のラクシュアリさんが修正力でも働かせて、緊急メンテでもするだろうし、問題ないってことでいいよね。

 ああ、緊急メンテなんて、聞きたくない言葉を思い出してしまった。



 そして、ようやく、会えることになった商会長、ディートさんのお父さん。

 商人という事で、勝手なイメージで小太りのおじさんを想像していたが、会ってみると、さすがディートさんの父上というだけのことはある。スレンダーで高身長のナイスミドルでした。

 お互い自己紹介を済ます。商会長さんは、エドウィン・クラインさんと言うそうだ。

 アルノーさんとの話の内容を再度確認し、商会長さんからも魔物の情報が得られるように協力を取り付ける。

 それと、貴族の家に持っていく菓子の内容と数を確認しておく。と言っても持っていく菓子については、こちらから提案する。冷めても平気なスフレとカステラを持っていくことにする。持っていく数は、だいたいそれぞれ3個あれば大丈夫だろうとのことだ。

 作れなくはないが、結構な量でだな。

 それと今回作ったお菓子を後で家族と食べて貰う様に話しておく。

 その後は、ディートさんの様子などを聞かれる。娘が、外でどんなふうに生活しているか気になるのは当然だろうから、心配しないように当たり障りのない部分だけ話す。

 ディートさんは、恥ずかしがっていたが、まぁ仕方がないことと、諦めて貰う。

 その後、夕食にも誘われたが、この場合断るべきなのか、受けるべきなのかわかっらなかったので、パルマを見て、どうしたらいいか、目で訴えてみる。

 パルマを、俺の視線を理解したのか、頷いて、申し出を受ける旨の発言をした。


 その後、クライン家の家族とともに食事をすることになったが、リアもミサも、宿で自室でとは言え結構な回数食事をしていたので、無難に食事をしていた。

 そう言えば、ゲームを作るとき調べたけど、地球の中世ヨーロッパだとフォークってまだなかったけど、こっちだと有るんだよな。まぁ、別世界だから、魔道具があったりで、文明の発展に差があるんだろうけどね。

 こっち独自の礼儀作法もあるかもしれないから、その辺のマナーはしっかりしておきたいな。この体の記憶は、田舎暮らしの記憶しかないから、どうしましょ。

 食事については、大手の商会長のお宅だけあって、宿の食事と遜色がなかった。

 商会長の奥様、つまり、ディートのお母さんも、落ち着いた雰囲気があって、笑顔も素敵な女性でした。それをご子息の夫妻と、ディートのお姉さんの一人が同席しておりました。

 ご子息夫妻は、長男さん達だそうです。お姉さんは、次女に当る方だそうですよ。

 皆さん美男美女で、見ているこっちは、皆さんお綺麗で、羨ましいねという感想しか出ませんでした。

 それでいて、皆さん商売に関わっているのだから、話術も素晴らしく、とても楽しく食事を過ごさせていただきました。

 そして、最後にデザートとして、少し量は多くなるが、スフレとスフレパンケーキ、カステラを一つの皿に少しづつ載せて、周りにフルーツやジャムをあしらい、綺麗に盛り付けて出していただいた。

 ありゃ、俺達の分まであるね。結構な量試食してしまったのに、申し訳ないね。


 「あら、おいしそうです。これは、ギリーさんが作った物ですよね?」


 奥様が、そう尋ねて来ました。

 それを受けて、俺は、お菓子の説明をさせて貰いました。

 一通り説明が終わると、皆さん興味津々に、口にお菓子を運んでくれています。

 一口だべるごとに、感嘆と誉め言葉を頂いたので、満足いただけたようなので良かったです。

 食事が終わると、泊まって行くようにお声掛け頂いたが、宿も取っているので、ディートとパルマには、泊まって行くように言い。俺達は辞退して、宿に戻ることにした。 

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

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