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第16話 商会で話し合おう

 それから、5日程狩りを続ける。

 その間に弓術の中級武芸の書が2つに中級の魔法の書が1つ手に入った。中々の成果だ。

 予期せぬ魔法の書を手に入れられたのは、でかいよな。


 ただ、ここの鬼人は、矢や魔法なので、それが当たると結構大きな怪我になるため、目的の物も手に入ったので、無理はせずにこの辺りでやめようという事になった。

 狐の尻尾も結構な数になった。習得もそれなりに入っていたようで、皆、それぞれ武芸の習得は1マス進んだ。

 鬼人からは、矢の他、弓と杖も手に入ったが、どっちも状態が悪くて値が付きそうもなかったので、焚き火の薪となった。


 今後について、話し合いをしたが、また街で情報を集めて行く。

 そこで、また可能性のありそうな場所を見つけたらそこを優先的にそこに行く。見つからなければもう少し遠くの村々をまわってみることにする。

 今回廻った場所についても、自分なりに地図を書き込み、魔物の出現場所を書き込んでみたが、法則性とかも特にないんだよな。

 それと街から離れると治安が悪くなるので、遠出をする際は、その辺も気を付けないとならないそうだ。おっかないね。

 

 でも、これでミサの魔法は中級が手に入った。あとは、パルマの盾の中級、ミサの短剣の中級か。

 情報が無いし、あっても限られているから、探すのは大変そうだが、頑張るしかない。

 それと問題は俺だよな回復魔法と杖術は既に中級を持っていると言う。

 悟られないようにするか、いっそ彼女らを信用して洗いざらい打ち明けるか。

 できれば、その辺はこの世界でどう生きていくか決めた後にしたいよな。

 まだ、情報が少なすぎるし、そのため、今後どう立ち回るのがいいのかも決められないしな。

 しかし、マスコミやネットがないこの世界で、情報を収集するというのは大変だよな。


 イオナの街に着くと、前回同様牧場に馬と馬車を預けた。

 そして、宿も同じところに宿泊する。今回は10日以上遠征したので、4日宿泊することにする。

 その間にディートさんのお父さんために、お菓子作りにも行かないといけないしな。


 翌日、俺達は、魔石とかをギルドで換金をして、ディートの父親の商会に顔を出して、お菓子の件の相談を行うことにした。

 今日は相談だけの予定だが、場合によっては、そのまま指導になるかもしれないということで、全員で押しかけることになった。

 なぜかと言うと、昨日の話し合いの時、ちゃんとした調理設備があれば、別のお菓子も作れるかもしれないとうっかり話してしまったためだ。

 それを食べたいとリアが、言い出したので5人で押しかけることになった。

 俺は、パルマと一緒に一度買い物に来ているが、なかなか大きな建物だ。

 その時は、時間がなかったので、パルマが必要な物を店員に頼み、持って来てもらい。俺が金を払って終わりだった。なので、今日は、時間があればゆっくり、店の中を見て回りたいな。

 今日は、ディートも一緒という事もあり、店の方からではなく、裏口の事務所的になっているところに案内されることになった。


 パルマが店の従業員とやり取りをし、事務所の応接室に通される。

 商談をするために多少広くはなっているが、それでも俺達5人が座るだけのソファの長さはない。

 しばらくすると、従業員が椅子を数脚、持って来てくれた。ありがとさん。手間取らせるね。

 お茶を出されたが、さすが大手の商会だね。ちゃんと揃った細かな絵柄のティーカップで出されたよ。大量生産なんてできないから、ここまでそろった物を用意する手間は大変だろうな。

 そんなことを思っていると、今日の交渉相手が現れた。どなたでしょうと思って、自己紹介を済ませたら、パルマのお父さんでした。

 いかにも、やり手の中間管理職風体で、口ひげを貯え、茶髪を後ろに流し、中肉中背の叩き上げといった雰囲気の男性でした。


 「お嬢様とうちの娘がお世話になっております。」


 「いえ、こちらこそ、いろいろ足りないところを補っていただいてありがたいことです。」


 そんな月並みなやりとりをした後、本題に入る。

 といっても、実際にまず、スフレパンケーキを食べて貰おうと調理用の携帯魔道具を俺の鞄から取りだし、リアとミサが持って来てもらった鍋に入った種生地とメレンゲを混ぜて、焼き上げる。

 俺の鞄から、全部出すわけには行かないので、ここに来る直前に、リアとミサに鍋を渡しておいたのだった。

 焼き上がったら、最後に蜂蜜をかけて、パルマのお父さん、アルノーさんの前に差し出す。


 「これが、今回紹介を考えておりますスフレパンケーキです。ちゃんとした設備があれば別の物を供させて貰います。」


 「いい香りだな。では、失礼して頂かせ貰います。」


 そう言って、一切れ、口の中に入れる。数度咬んで味わう。そして、残りも黙ったまま味わう。

 リアは、それを羨ましそうに見ている、だけど、お前ずっとこれを食べてただろ?本当に飽きていないのか?

 そんなことを思っていたら、アルノーさんが、食べ終わり、口を開いた。


 「うん、これは柔らかくて今までにない触感ですな。まるで口の中でとろけるようだ。思わず全部食べてしまいましたよ。美味しいです。」


 うん、中々よい評価を貰えたようだ。もう一押ししておきましょう。


 「ありがとうございます。これでしたら、立食パーティーですと数台の調理魔道具を並べ、もう少し小さいパンケーキをその場で焼いて食べるようなことをしても良いでしょう。」


 「なるほど。そうすればみなさんが温かいうちに食べられますね。」


 「ええ、あとジャムを数種類用意して、ご希望のジャムをかけるなどして、味に変化を持たせるのもよいかもしれません。」


 「素晴らしいアイディアですな。しかし、冒険者の方がそうようなことよく思いつきますな。感心します。」


 おっと危ない、つい、向こうでの知識をそのまま話してしまった。


 「いえ、ここにいる者に振舞った時、一枚、一枚焼いて手間取ってしまったので、思いついたまでですよ。」


 こっちで、これを振舞った経験を思い出し、咄嗟にそう言って、誤魔化し、取り繕っておく。


 「なるほど。それと他にもアイディアをご紹介いただけると伺いましたが。」


 「ええ、それは、ここではできませんので、調理施設がある場所でと考えております。」


 「わかりました。それでこちらのレシピは提供していただけるのでしょうか?」


 「もちろんです。」


 「では、まず、金額について話し合いを致しましょうか。」


 「それなのですが、レシピの提供先はこちらの領主様になりますよね?」


 「はい、その予定ですが、それが何か?」


 商会に相談した貴族は、やはり領主か。なら、向こうの持っている情報を聞き出したいな。

 そこで、俺は領主の持っている魔物の情報を提供できないか交渉してみることにした。

 アルノーさんは、その辺は領主様にお伺いを立てて見ないとと言って来た。

 まぁ、当然だよね。それは了承して、もしダメなようなら、また改めて条件は考えさせて貰うことにした。

 ただ、その際、交渉材料として、こちらの提供できるお菓子を持っていけないかも聞いてみた。

 それは、貴族に平民が食べ物を持っていくというのは、どうかと思って聞いたが、事前に伝えておけば大丈夫なようだ。

 他に、準備として泡立て器があるか実物を見せて尋ねておいた。これは、攪拌するため同じようなものがあるので、大丈夫だろうという事だった。なかったら、作って貰わないとだったから、それは助かった。それを事前に5個ばかり、買わせて貰う。

 そして、こっちの世界の厨房を実際利用したことがないので、事前に試して見たいのと、スキルに依存しない物を作るのでうまく作れるか試しておきたいため、調理場を事前に借りたい旨を頼み込んだ。


 「それでしたら、商会長であるクライン家の厨房を使えるようにしておきます。」


 うん、まぁ、ここは、店舗だからそんな設備は無いか。でも、商会長、つまり社長の家に娘さんもいるとは言え、勝手にそんな話を決めてしまっていいんだろうか?

 まぁ、こっちの心配することでないし、まぁ、いいか。


 「それでよろしければ、お願いします。」


 「それでは、今日は商会長もお屋敷の方におりますので、そこでそれらを食べて頂くようにして構いませんか?」


 「ええ、結構ですよ。」


 あれ、話が終わったら、店の中を見て回ろうと思ったが仕方がない。それはまた今度にするか。

 アルノーさんが、一筆書いて、それをパルマに渡す。

 そして、俺達は一礼して、応接室を後にした。


 店を出ると、外に箱馬車がなぜか既に用意されていた。

 あれ、最初から商会長のところに伺うのは既定路線だったのか?だから、厨房の要望もすんなりと通ったのか?

 あと、鍋の中の残りの生地はどうしよう?時間がたつとダメになっちゃうから、もったいないから、しまっておこう。

 そして、馬車に乗り込むと、商会長のお宅に向かった。


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