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第116話 魔物の素材を集めよう

 馬車での移動は順調に進む。

 ただ、ドラッヘと一緒の間は、俺は移動トイレを使えずにいる。

 ドラッヘの体が大きいため、移動用トイレを使えなかったからだ。

 一応、一人の旅をしていたから、ドラッヘは一人で、俺達と離れても問題ないというが、一緒にいる以上念のため、何かあった時に対応できるように二人組で奥にトイレに行くようにしたためだ。

 そんないつもと違うこともあるが、ドラッヘに出会ってから、二日が過ぎ、今日は薬を作るための二か所目の狩場に到着予定だ。


 「さて、この辺りから街道を外れるが、ドラッヘは馬に乗れないので、馬は少しゆっくり歩ませるようにしよう。」


 「すまんな。俺達は体格が大きいので、乗り物に使える動物に乗れないばかりに迷惑をかける。」


 「いや、俺達が歩くより、ドラッヘは早く動けるんだ。気にするな。」


 ドラッヘは大きな体に似合わず、意外と動きが速いので、ドラッヘの言葉にそう返す。

 馬ほどではないが、順調に草原を進んで行く。

 そろそろ目的地に着くので、場所を探るために探査スキルを使う。

 魔物の位置を見つけると、そちらに何気なく誘導する。

 幸いにして、俺たち以外の冒険者の気配もない。

 そうして、昼過ぎに目的地に着いた。

 いつもどおり、魔物がいるところの街道から離れたところに、泊まるのは別の場所になるかもだが、移動トイレの不調もあるし、家の清掃などもティアがやらねばならないので、家を出しておく。

 準備をしている間に、初見の魔物なので何か注意点はないか、どたっへが知っていたらと思い尋ねる。


 「ドラッヘ。ここの魔物は初めて見るのだが、なにか知っているか?」


 「こいつらは、体でぶつかって倒れたところを襲い掛かってくるだけだ。普通に戦って、問題ない。それとこいつらとはそこまで戦う必要もない。」


 「ここの魔物の素材はそれほど必要ないということか?」


 「ああ、肝が必要になるのだが、前回と違い、数はそれほどいらない三十個もあれば十分だ。」


 「なら、一、二時間でに終わるな。」


 「うむ。」


 「では、始めるか。」


 そうして、俺達は狩りを始める。

 今回は習得の入る魔物なので、本来の武器で戦う。

 俺達はいつもどおり、ティアを除いた五人組で戦いを始める。

 ドラッヘは別の場所で一人で戦いを始める。


 さすが一人で薬の材料を一人で集めるよう任されただけのことはある。

 一人で難なく敵の魔物を狩って行く。

 きついようなら、俺の『強化付与』を掛けてようと考えていたが、そんなことをする必要がないほど順調に狩り進めていった。

 こちらのパーティーも問題なく魔物を狩って行く。

 お互い怪我もなく、順調に素材を集める。

 そして、予定どおり一時間ちょっとで、素材を集め終わった。


 「さすが、一人で素材集めを任されただけあって、凄い腕前だな。俺達五人と同じ速さで魔物を仕留めるとはな。」


 「いやいや、人が五人とは言え、俺と変わらぬ速さで狩るのは大したものだぞ。そちらこそ手伝いを申し出ただけの腕前を持っている。以前、こいつらを狩れるか疑ってしまったのを申し訳なく思う。」


 「まぁ、気にするな。それより、今から立つと中途半端なので、今日はここで休みたいのだがよいか?」


 「そうだな。こちらもその方がよいか。肝がなるべく痛まぬように下処理をしたいしな。」


 ドラッヘも俺の提案に同意してくれたので、今日はここで休んで、明日、また、次の場所に向かうことにした。


 ただ、俺達はまだ時間もあることから、このまま狩りを続けることにし、ドラッヘはその間に肝の処理を行うことになった。

 俺達は結局、二時間ほどさらに習得のための狩りを続ける。

 狩りが終わった頃、ドラッヘも下処理お終えたので、俺達があとで取った肝もいるか聞いたが、肝が一番保存が効かないので、必要以上は不要だと言われた。

 なので、俺達が魔石だけでなく、その素材も貰うことにした。

 ドラッヘは下処理をしないとすぐ傷んで使い物にならなくなるぞと言ってくれたので、下処理のやり方を教えて貰い、下処理をして鞄に入れておくことにする。

 下処理は初めは不慣れだったが、みんな包丁をそれなりに使えるだけの腕前だったこともあり、最初こそはたどたどしかったが、すぐに手際よく下処理を行えるようになった。

 リアなどは、最後の方はドラッヘからもお墨付きが貰えるくらいの腕前になっていた。


 翌朝は街道に戻り、次の目的地に向かう。

 

 「しかし、馬車に乗れたお陰で移動は楽だし、早く移動できるし本当にありがたいな。」


 「まぁ、出会えたのも、めぐりあわせだからな。ところで次の狩場は明日には着く予定だが、素材の量は次はどうなんだ?」


 「次は、少し多くて角を九十個ほどだな。その上、ちょっと独特な敵で戦いづらいらしい。」


 「らしい?」


 「ああ、すまんが、伝聞で伝わっているだけなのでな。すべてが詳しく伝わっていないので、俺もはっきり言えんのだ。」


 「まぁ、でも、ある程度事前にわかるのはありがたいよ」


 移動中、俺とドラッヘはそんな話をしていると、馬車を操車していたリアが馬車を停め、馬車の中の俺に声を掛けてきた。


 「お話し中に申し訳ないけど、パルマから前方から、馬車が三台と騎馬が十騎ほどこちらに向かって来ると、報告があったけど、どうする?」


 それを聞いて、俺も探査スキルを発動してみる。

 馬車も騎馬も移動速度は普通か。

 騎馬に数から、商人ではなく貴族かなにかだよな。

 まぁ、問題なくやり過ごすのが必要だけど、さて、どうしたものか。


 「とりあえず。こちらには敵意がないことを示すため、よほどの要求でなければ従ってやり過ごすぞ。みんなにもそう伝えてくれ。」


 相手の出方がわからないので、そう指示を出しておく。


 「わかったわ。」


 ミサはそう言うと外で他の仲間に声を掛け、馬車を再び進める。

 俺は何かあった時のため、一応、武器を手元に寄せておく。

 ドラッヘはこれ達の慌てように特に動じることなく、座ったままの姿勢を維持している。

 一応、ドラッヘも俺達のやり取りを聞いていたと思うが、念を押すため、ドラッヘにも説明をしておく。


 「まぁ、問題ないと思うが、馬車の一団がこちらに向かっているので、多少やり取りがあるかもしれないが、じっとしててもらいたい。」


 「ああ、人のことには関わらないから、安心しろ。」 


 本当に人に興味がないのだろうな。俺の言葉にそうすぐに返事を返してきた。


 しばらくして、向こうもこちらを見とめたのだろう。

 騎馬が二頭こちら向かってきた。

 先触かな?やっぱり、相手は貴族なのか?

 そんなことを考えていると、近づいてきた騎馬は、大声を発してきた。 


 「これより、フィリップ子爵の馬車がここを通る。その方らの馬車と騎馬を道の端に寄せて、膝を地に付け、頭を下げておけ。」


 それだけ告げると、俺達の返事を聞くことなく、馬は踵を返す。


 お願いでなく、命令か。随分高圧的だな。

 俺がそう思っていると、ディートが近づいてきた。


 「どうします。私達は彼の領民でないので本来はそこまでする必要はないけど、私達がするのはまぁ、百歩譲っていいとしましょう。しかし、ドラッヘにまでにやらせるの?」


 そうだよな。俺達だけなら問題ないけど、今はドラッヘがいる。

 外に出て、頭を下げてくれるか?というか、そんなことさせたら、目立ってしまうよな。

 さて、どうしたものか。

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