第113話 竜人と交流しよう
竜人は武器を納め、こちらに近づいて来た。
「俺ハ、竜人ノドラッヘ・リンドブルム。ウム、人語ハシャベリニクイナ。」
そう言うと、彼の体が光り、青色の鱗に覆われた角の生えたトカゲ人間といった形状から、青い肌をした両耳の上に角の生えた人間のような姿になった。
「これなら、俺も話しやすいし、そちらも聞きやすいだろう。」
声が通るようになったな。幻覚で人型に見せているのではなく、実際に形状が変化している?
俺は彼の変化に驚きながらも、慌ててこちらも自己紹介をする。
そして、ドラッヘに俺達がここに来た理由を説明する。
「なるほど、狩場で見慣れぬ黒煙が上がっていたから、気になって様子を伺いに来たということか。」
俺の説明を聞いて、ドラッヘはそう答える。
しかし、名前が俺達の言葉で竜という単語って適当過ぎないか?それはたまたまで、彼らの言語では別の意味があるとかなのか?
俺はそんな余計なことを考えつつ、ドラッヘの言葉に頷く。
「ああ、で、君のことはドラッヘと呼んでいいのか?」
「ああ、呼び方を我らは拘らん。好きに呼べ。しかし、戦いを急ぐあまり、大きな魔法を使ったのがいけなかったか。そこはすまなかった。」
「まぁ、街道に近いから、目立つからな。でも、なぜそれだけの魔法を使えるのに、こんな所で魔物を狩っていたのだ?」
俺はこれほどの実力があるドラッヘがここで戦っているのに疑問を持ちそう尋ねた。
「うむ、薬の素材を集めるためにいくつかの魔物を狩る必要があって、急いで狩るために大きな魔法を使い過ぎた。すまない。」
「なるほど、急ぎな訳か。」
「ああ、里で流行り病があってな。保存の効かない薬なので、取り急ぎそざいをあつめるひつようがあるのだ。」
俺はそれを聞き、仲間に顔を向ける。
すると、彼女らはこちらが言う前に、手伝う意向を述べた。
「なら、狩るのを手伝おうか。」
俺はみんなを代表してそう言う。
「よいのか?では、魔石はいらないので、全部やるが、素材はこちらで貰うというのでどうだ。」
それを聞いて、ドラッヘはすぐさまそう言ってきた。
迷いなく同意するということはそれだけ切羽詰まっているようだ。
「よし、いいだろう。」
そうして、ドラッヘと俺達で狩りをする。
初級の敵なので、リア達はサブ武器で戦い、それらの習得をすることにする。
小一時間ほど狩りをしたところで、必要量集まったようで、ここまでで良いと、ドラッヘが言ってきた。
それから、少し休んで、これからのことを聞くと、まだいくつか素材を集める必要があるとのことだった。
しかも、それらの場所は俺達が進む方にあるという。
なので、俺達は話し合い、それらの狩りも協力することを申し出た。
その間、ドラッヘとは共に行動することになるが、竜人は人とあまり交わらないなら、俺らの秘密が他の人間に漏れることもないだろうという判断でだ。
ドラッヘは俺らの提案に少し迷ったが、馬車があるので移動も問題ないぞと告げると馬車で移動できるなら、早く目的を達せると判断したようで、申し出を受け入れてくれた。
こうして、俺達は一時的にドラッヘを仲間に入れることにしたのだった。
街道に戻り、周囲を確認して、馬車を取りだす。
ドラッヘは少し驚いたが、竜人の矜持があるのだろう。
すぐに平静を取り戻し、俺らと馬車に乗る。
「なんだ。馬車が揺れないぞ。」
ドラッヘは動き出した馬車が揺れないのに驚きこう口にする。
「ああ、一面にフローティングボードを敷いているからな。」
「なるほど、これなら座っていても尻尾が痛くなることもない。」
「尻尾?見た目そんなのないように見えるが?」
「ああ、これくらいの目立たぬ尻尾が我らにはあるのだ。」
そう言って、指で10cmくらいの長さを作って見せる。
ふーん、面白いな。
そんな長さの尻尾じゃ、何かの役に立つわけでもないだろうに使わないから退化したものか?
「そうなのか。それで後残りの狩りの場所だが、この簡易的な地図だが、これで大体の場所はわかるか?」
そう言って、俺は手書きの地図を見せる。
「ほう、お前が作ったのか。」
「わかるのか?」
「お前らは、いくつかの集団でいがみ合っていると聞く。なので、戦略情報の地図を共有しないと聞いてるのでな。うむ、しかし、中々よくできているな。だいたい読めるぞ。俺の目的地はこことここだ。」
地図を見てから、地図を床に置くと、指で目的地を指す。
うん、だいぶ奥地で魔物も強いが彼一人で、どうにかなる敵なのか?
「結構、魔物が強い場所だが、ドラッヘ一人でもどうにかなるのか?」
「ああ、ドラッヘは一族の戦士に与えられる名だ。俺なら問題ない。おぬしらの方こそ、奥地の魔物が相手だが、大丈夫か?」
「ああ、問題ない。」
「先の戦闘を見るととてもそうは思えんがな。おぬしらのことだ、任せよう。」
そう言って、ドラッヘは地図を再び凝視する。
まぁ、こっちはみんな、初めて使う武器で、ほぼスキルのない状態で力任せの戦闘をしていたからな。
「ところで、俺らに会う前の姿が、本来の姿なのだろ?戻らなくても平気なのか?」
俺は今の人間に近い形状でいるドラッヘに気になってそう尋ねる。
「ああ、問題ない。完全に形状変化させているので、再び魔法で変化させない限り影響はない。」
なんか、便利な魔法だな。
俺はドラッヘの説明を聞いて、感心する。
そんな感じで俺とドラッヘが主になって会話をしながら過ごす。
彼も移動の際、護衛等を手伝うと申し出てくれたが、彼は体格的に馬にも乗れないし、御者をするにも御者台に乗れない。
何より、彼の容姿が目立つので、丁重に断らせて貰った。
そのかわり、夜の見張りは協力して貰いたいとお願いした。
やがて、今日の野営の準備に入ることになり、その準備のため街道から外れるが、あまりにも遠くに行くのにドラッヘは不思議がったが、魔法で整地した場所に家を取り出したことで、その理由が解ったようで、それを見てこう漏らす。
「その鞄こんなものまで収納できるのか。」
「まぁ、いろいろある。黙っていて貰いたい。」
「安心しろ、人のことなどに興味はない。しかし、こんな物があるなら、夜の見張りなど不要ではないか?」
「なに、警報の魔道具もあるので、一応、不審者などが近づいたら対応できるように、一階に詰めるだけだ。」
「なるほど。」
「まぁ、中に入ろう。」
俺はそう言って、ドラッヘに中に入るように促す。
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