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第112話 未知と遭遇しよう

 いよいよ出発であるが、一か月開けるので、宿の部屋をどうするか考える。

 宿の主人に確認すると、一応急な客がよほどなければ、この時期なら部屋は提供できると宿帳を見て答えてくれた。

 でも、念のため一か月先に部屋だけの予約を取っておくことにする。

 宿の主人はそれ聞いて、いつ戻るか予定がないなら、無駄になるのではと難色をしてしてきた。

 だが、泊まれないよりましだと思い二週間分部屋おさえ、前金を渡しておく。

 宿の主人はお金を見せられたことにより、それ以上は言わずに引き下がる。

 誠意は示したので、あとはこちらに従いますということか


 牧場で馬と馬車を受け取り、当初目指した方向に向かう。

 イオナの街を出て三日目、、一緒に警戒しているディートが馬を寄せてきた。

 うん、探査スキルには何も引っかかっていないが、どうした?


 「なにか、あったか?」


 俺はそうディートより先に問いかける。


 「ええ、私達にではないのだけど、右手後方にかなり大きな煙が立ったので、それを知らせようと思ったのよ。」


 ディートはそう答え、後方に目を向ける。

 俺もそれにならい、そちらを見る。


 「確かに大きな黒煙が上がっているな。」


 俺はそう言うと馬車の方に馬を向ける。

 馬車の御者をしているミサを俺が近づくのに気付き、馬車の中の声を掛ける。

 するとリアが顔を出してきた。


 「ギリー、どうした?」


 俺は指で黒煙の方向を示す。


 「あの辺に何かあるか?」


 リアは俺の指示した方向を確認すると、すぐ馬車の中に入り込む。

 また、馬車もイザの時のに、すぐに戻れるように速度を緩める。

 ディートもそれを見て馬車に馬を寄せて来る。


 やがて、再びリアが馬車から顔を出す。


 「あそこはギリーの作った地図によると狩場になっているな。」 


 狩場だと冒険者だよな?

 でも、初級の魔法であそこまで威力のある魔法はないよな。

 なんだろう?


 「何か特殊な狩場だったりするか?」


 「いや、初級習得向けの魔物になっているぞ。」


 「ふむ。」

 

 俺はそれを聞いてそう呟く。

 特に変わった狩場でもないようだな。


 「で、どうする。狩場だし、問題なさそうだから無視しする?」


 狩場と聞いて、ミサがそう口にした。

 確かに狩場なら、急な問題はなさそうだし、無視してもいいけど、とりあえず、様子見うだけでもしておくか。


 「まぁ、でも、先を急ぐわけでもないし、状況だけ確認しに行こうか。問題なければすぐ戻ればいいしな。」 


 「わかったわ。」


 そう言って、ミサは馬車をUターンさせようとしたが、俺はそれを止め、周りに人の気配がないのを確認して、みんな馬車から降りて貰い、ここで馬車をしまって、馬で向かうことにした。

 その間も、黒煙は一つだけでなく、いくつか上がる。

 やはり、誰かが魔法でも放っているのか?

 だったら、近づくのは面倒だったかな。

 俺はそう思いながらも、探索スキルの範囲に入ったので、スキルを使い状況を確認する。

 ん?魔物の反応は確認できたが、人の反応は確認できない。

 ただ、一体、人間の1.5倍の大きさの魔物らしき反応がある。

 一体だけ、大きいなレアポップか?

 同じく、探索スキルが使えるリアとパルマも探索を使ったようで、感知した反応に怪訝な表情を浮かべる。


 一応、他の仲間にも人の反応がないことを説明する。

 ただ、一体、大型の魔物の反応があったことだけは伝えておく。

 それを聞いた一同も現に攻撃が行われており、それを疑問に思う。

 魔物同士、戦っているのを今まで見たことないからな。

 ただ、魔物がいる全域をスキル範囲に捉えている訳ではないので、完全に誰もいないとは言いきれない。

 なので、とりあえず、目視できるところまで近づくことにする。

 

 そして、魔物がいる場所を目視できるところまで近づいて、状況を理解した。

 ここにいる魔物を、一体だけいた大型の魔物の様なものが中級の魔法を放って襲っているのだった。

 魔物同士で戦闘をするのを見たことがない。

 それにゲームでもそんな設定なかったし、あれはなんだ?

 俺がそう思っていると、ディートがあれの正体を教えてくれた。


 「あれは多分、竜人族ですね。」


 あー、ゲームではオープニングやイベント時にその存在を匂わしただけだった奴か。

 アップデート時に実装予定だったが、なにせ昔のゲームだ、容量の問題で先延ばしになっていたものだったな。

 魔法と物理両方が得意な種族にする予定だったんだよな。

 しかし、この世界にも亜人はいたんだ。

 俺にはあまり知識がないので、知っているディートに聞いてみる。 


 「街じゃ、見かけなかったが、珍しい存在なのか?」


 「ええ、彼らはほとんど人と交わることはありません。気付かれてもあれですし、離れた方がよろしいかと。」


 「友好的な種族ではないということか?」


 「彼らはこの辺りでは少数の存在です。あまり人と関わりを持たない存在としか聞き及んでおりません。」


 それだと気付かれると厄介そうだな。

 俺がそう判断して、みんなにここから離れるように声を掛けようとした時に、向こうの竜人が何やら声を発した。


 「%@$&D#J!」


 何を言っているのかわからないが、目線がこちらに向けられているので、気付かれたようだ。

 さて、どうしたものか。

 とりあえず、大声でこちらが害意のない存在だと伝えてみよう。


 「俺達は冒険者だ。この狩場で煙が立ってたので不審に思い立ち寄っただけだ。魔物の異常ではないようなので立ち去ろうと思っている。」


 俺は向こうの言語がわからないので、自分達の言葉で話しかけてみる。

 みんなには敵意がないことを示すため、馬から降りて、警戒だけはするように相手に届かない声で命じる。


 「冒険者、ワタシノ言葉ガ、ワカルカ?」


 発音が少したどたどしいが、向こうの竜人がそう俺の言葉に反応し、俺達に声を掛けてきた。

 お、良かった。向こうはこっちの言葉を一応話せるようだ。


 「ああ、理解できる。大丈夫だ。」


 俺は、竜人の言葉にそう返した。

 さて、揉め事にならずにすんなり帰して貰えるかな。

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