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第109話 お店にお菓子を食べに行こう

 クライン商会に顔を出すが、ディートとパルマだけを連れて、俺は裏口に回る。

 他の仲間は店舗の方で時間を潰して貰う。

 今回は、確認に行くだけだから、大勢で行くこともないからな。

 扉を叩き、パルマのお父さんを呼び出して貰う。

 対応に出てて来た店員は俺達を見てすぐに面会を取り付けに戻る。


 すぐに返事が貰えたようで、戻って来ると今日は事務室の方に案内される。

 おや、応接室でなく、仕事場の方に通された?

 まぁ、今日は確認と報告だけだから構わないけど。

 店員さんに従って、部屋に入るとアルノーさんは手を休めずにこちらに挨拶をしてきた。


 「こんにちは ギリーさん。すみません。ちょっと立て込んでまして、ここで失礼いたします。」


 「こんにちは、アルノーさん。確認もせずにお忙しいところ伺ったのはこちらですので、いえ、お気になさらずに。ちょっと護衛の時期の確認と、余裕があればちょっと冒険者としての仕事をしに街から遠出しようと考えてまして、伺いました。」


 「なるほど。護衛の方はこちらで人員の選定等の作業がありますし、その後彼らも準備もあるので早くて一カ月半、恐らく二カ月ほどかかるかと思います。ですので、それまでは街の外に出るのは構いませんよ。それで、どのくらいを予定しているので?」


 「まだ、細かいことは決めていないのですが、二週間から、一カ月を予定しています。」


 「わかりました。それでは、戻って来たらお知らせだけはお願いします。こちちらもいろいろ詰めないといけないこともありますからね。」


 「そうですね。こちらもいろいろ条件をつけさせて頂いておりますし、その辺はしっかりやらさせて貰います。」


 俺はアルノーさんのお願いにそう答える。


 「はい、お願いします。しかし、ギリーさんの言動は冒険者というより商人ぽいですよね。」


 アルノーさんはそう言て苦笑いするが、書類からは目を話していない。

 そんな言葉にディートもパルマも頷いている。

 まぁ、商人というかゲームプランナー兼プログラマーだったけど、会社を辞めてからは一人親方として交渉事をしてたから、冒険者より商人という言葉もあながち間違ってないか。

 ただ、アルノーさんの言葉に納得をするわけには行かないので、軽く否定をしておく。


 「冒険者だって、本来、商人と同じように利に聡く動くべきだと思いますよ。何しろ生活が生命に直結しているのですから。」


 「確かに、そうかもしれませんね。」


 「それでは、お忙しそうなので今日はこれで失礼させていただきます。」


 アルノーさんも忙しそうなので、今日はこれで失礼することにする。


 「こちらこそ、お構いもせずにこのような所でお話をしてしまいまして、申し訳ありません。」


 そう言って、やっと一段落着いたのか手を停めて、こちらに頭を下げる。


 俺達が事務所から戻ると、リア達は調味料売り場で、楽しそうにしゃべりながらいろいろ目を通していた。


 「何か欲しいものがあったか?」


 俺はそう声を掛ける。


 「あ、いえ、王都やエーデルシュタイン公爵領都との価格の違いについて話し合っていただけです。」


 「そうなのか?」


 俺はティアの問いに一応遠慮しているのではないかと思い、リアにも尋ねる。


 「ああ、同じ調味料でも価格が結構違ったりしているのが、面白くてな。いろいろ比べていたんだ。」


 「ふーん、しかし、よく覚えているな。」


 「まぁ、よく使う物だし気になって覚えていただけだよ。」


 「でも、リアもだけどティアも凄く覚えていたわよ。私はあまり興味がないから役立たなかったけど。」


 謙遜してぶっきら棒に答えたリアに対し、ミサは二人の記憶の良さに感心するようにそう言ってきた。

 そう言えば、二人とも料理を覚えるのも早いが、そう言ったことも覚えるのが得意なのか。

 俺はそんな風に二人の記憶力に感心する。


 「それだけの記憶があれば、商売の買い付けに向いているわよ。」


 そんな会話を聞いていたディートはそう言ってきた。


 「そんなもんなのか?」


 「えーと、それだけでは不十分な気がしますが?」


 リアとティアはその言葉にそう反応する。

 まぁ、確かにそれだけでは不十分だが、それが出来れば最低限の能力はあるだろう。


 「まぁ、その話はそこまでにしようか。狩りに行くのはOKがでたぞ。そろそろ、菓子店に行こうか。」


 この辺の話はいまする必要もないだろう。

 俺はそう判断して、そうみんなに報告をして、菓子を食べに行こうと誘う。

 みんなも狩りに行ける喜びより、お菓子を食べに行くことの方が優先課題と判断したようで、狩りに行く喜びを表すより、菓子店に足を向けるように歩み出す。


 店の扉を開けて中に入る。

 俺達が中に入ると、店長を務めているイグニットさんが気が付いて、近寄って来た。


 「ご無沙汰しております。開店時はご助言ありがとうございます。」


 「いえいえ、ところでお店の方は順調ですか?」


 「はい、おかげさまで、冬の間は街が閉ざされ、落ち着くと思いましたが、逆に材料集めに苦労するほどでしたのですよ。」


 「材料がないのに客は来るですか。それは大変ですね。」


 「でも、工夫しがいがあって楽しかったですよ。」


 俺の言葉にイグニットさんはそう言って笑って返してきた。


 「それは何よりです。今日はそのお菓子を食べに来たのですが、大丈夫でしょうか?」


 「ご安心ください。店舗の利用はそれほどではありませんので問題ありません。では、こちらに」


 そう言って、イグニットさんが直接案内をしてくれる。

 俺達が席に着くと、注文を取ってお菓子を用意してくれる。

 ただ、イグニットさんは下がらずに、俺達のところにとどまっている。


 「なにか、ご用ですか。」


 俺はそう声を掛ける。


 「あのこれは商会長から聞いた話なのですが、……。」


 そう言って、エーデルシュタイン公爵領都の出店のことについて聞いて来た。

 と言っても、出店自体のことではなく、道中の安全についてである。

 俺達が護衛をすることも知っていたようなので、安心して貰うため、一応実績を話す。

 狼の群れの撃退、盗賊の撃退、盗賊とは違うが商人を装った人攫いの撃退など旅の道中で起こりそうな事態の撃退実績を説明した。

 それを聞いてクラインさんは礼を述べる。


 「なるほど、中々の実績ですね。これで少し安心しました。」


 まぁ、送り出す立場だろうから、安心できる材料が欲しかったのかな。

 そう思いながら、出されたお菓子を頂くことにした。

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