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第104話 昨日のお金を貰おう

 翌日にオーベルマイヤー侯爵家に面談の申し出をする。

 今回はクライン商会からの紹介状などを用意せずに面談を申し込んでみることにする。

 名誉騎士に叙せられた時の短剣を試しに使って、手紙を届けることにしてみる。

 ただ、これ、宿の使用人に任せることはできないし、俺達の誰かが届けないとなんだよな。

 もちろん、みんなで行ってもいいが、さすがに手紙を届けに六人で伺うというのは異様だからな。

 なので、俺が行こうとしたら、さすがに交渉の本人が行くのはと反対意見が出された。

 どうも面倒だね。でも、確かに交渉前に本人が予定を入れに行ったら、軽く見られるか、失礼な人物と思われるか。

 それで、街中で給仕としての仕事がないティアが届けに行くと名乗り出てくれた。

 また、その護衛としてリアが手を上げてくれたので、二人に任せることにする。


 残りの面々は、昨日の交渉でまとまった金銭を貰い受けるため、クライン商会に向かう事にした。

 さすがにあれだけの金額はエドウィンさんの邸宅にもすぐに出せる用意はなかったようだ。

 それでも、翌日すぐに商会の方で用意出来るのは凄いことだよな。

 いろいろあったとはいえ、公爵家でさえ、今回以上の金額ではあったが、用意出来ずに宝石類で支払われたりしたしな。

 それも換金したいが、クライン商会に頼むのは悪いよな。

 さてどうしたものか。

 とりあえず、昨日のお金だけ貰うことにして、宝石については相談だけはしておこう。


 朝食が済み一段落してから、ディートにオーベルマイヤー侯爵へ面会の書面を書いて貰い、ティアに託す 。

 俺達は二手に分かれて先程決めたとおり用件をこなすため、宿を出る。

 貴族街に続く道に差し掛かったところで、ティア達を俺達は見送り、クライン商会へと向かう。

 クライン商会に着くと前日に約束をしていたこともあって、アルノーさんが出迎えてくれていた。


 金の確認だけなので、みんなでいる必要もない。

 なので、ミサとディートは待ってもらっている間、商会で何か必要な物や欲しいものがあったらと買い物をしているように話しておく。

 パルマもお父さんであるアルノーさんと絡みたくないのか、そちらに回りたいと言ってきたが、自分で交渉を行ったのだから、最後まで見届けるように言って、俺と一緒に行くように命じる。

 正直、俺も一人は嫌だしな。


 アルノーさんにつき従って、俺達は商談用の部屋に向かう。

 前回や昨日と打って変わって、今日は言葉数が少なめだ。

 それに話す内容も仰々しいな。

 部屋に入ると、もう一人の男性がテーブルに皮袋と布を敷いたトレーを置いて、起立して待っていた。


 「彼は商会で金銭を管理している者の一人だ。」


 アルノーさんはそう紹介した。

 彼の名前は紹介してくれないのね。

 俺はとりあえず自己紹介をしてから、ソファーに座る。

 パルマは彼を知っているようで、会釈だけして、そのまま座る。

 俺達が座ったのを見て、アルノーさんと男も席に着く。


 「それでは、こちらが契約書に書かれた金額を用意したものです。ご確認ください。」


 席に着くなり、彼はそう言って、テーブルの皮袋とトレーを俺の前にだす。

 鞄にしまって中を確認した方が速いが、そう言う雰囲気でもないので、皮袋の中身の金貨をトレーにひろげて枚数を数える。

 数えている間は、お互いしゃべる訳にも行かず。

 俺の数える作業を皆で眺め見られるだけでだった。

 金貨を数えているだけだが、こうも見られると緊張するね。


 やがて、慣れないため少し時間がかかったが、金貨を十枚ごとに積み上げて数え終わる。

 パルマにもそれを確認して貰い、問題のないことをアルノーさん達に伝える。

 それを聞いて、金銭を受け渡した証書を男が差し出し、サインをするよう求められる。

 その羊皮紙に目を通し確認し、俺は受領のサインを行う。

 それを受け取ると男は一礼して商談室から下がって行った。


 「ふぅ、終わったね。」


 金銭の受領が済んだ安堵感か、アルノーさんはいつもどおりの感じになり、そう声を出した。


 「素早い金銭の用意ありがとうございます。」


 「いえいえ、商品は頂いたのです。商人としては当然の対応ですよ。」


 「しかし、これだけのまとまった金額をすぐに用意出来るのです。大したものですよ。」


 お互い、これで無事に取引が終わったこともあり、そう会話を交わす。 


 「ほう、公爵家かどこかで宝石での支払いがありましたか。」


 俺の言葉を聞き、事情を察したアルノーさんはそう問いかけてきた。

 察しのいい事で、そんなことを思いながら、俺はそれに応える。

 

 「ええ、まぁ。」


 「まぁ、小麦で支払われるより、マシですけどね。」 


 なるほど、領民からの多くは現物による納税になるから、それを売る前に入用になったりすると、現物支払いになるのか。

 商人なら、まだ小麦を捌けるだろうけど、俺らがそれらを貰っても、売るときに足元を見られ、買いたたかれるだろうからな。


 「それは困りますね。」


 「はい、小麦は保管が効かないですから、我々商人でもなかなか思ったような値段で捌けませんからね。」


 なるほど、商人でさえそうだと俺らはさらに買いたたかれそうだな。

 うん、報酬を小麦で貰うのは絶対に避けたいな。


 「そこで小麦商と懇意にしていくことが、我々には重要になるのですよ。」


 「そうなのですね。俺達にはそれは出来ませんけど。ところで、俺達に支払われた宝石なのですが、買い取ったりはして貰えないでしょうか?」


 「量はどれくらいになりますか?それによりますが、私どもも無限に金貨を用意できるわけではありませんから。」


 俺の問いにアルノーさんはそう答える。

 俺もすべての宝石を一度に換金する気はないので、とりあえずの金額を提示する。


 「金貨にして300枚くらいですかね。」


 「それはかなりの金額ですね。」


 「難しいですか?」


 「いえ、ただエーデルシュタイン公爵領都商売をする際に金貨ですべて払う訳にも輸送の関係もあるのでいかないので、宝石もある程度必要になりますが、その辺の必要資金を計算しないと返事が出来ませんので、申し訳ありません。」


 「こちらこそ、今は冒険者なのでそんなに金貨を必要としていませんし、持ち歩くのも大変ですしね。なので、ちょっと聞いてみただけです。お気になさらずに。それとですね……。」


 俺はそう言った後、昨日提案があった護衛の件を受ける条件を伝えた。

 アルノーさんはその条件を聞いて、不思議がったが、とりあえず商会長に伝え、依頼をするか検討すると言ってくれた。

 その後、またパルマの件で俺にしつこく話しかけてきたので、パルマが怒って、俺に退席を促してきた。

 俺も返答に困っていたので、その流れに乗って退席する。

 店の方に戻ると、ミサとディートがいくつかの品を買い込んでいた。


 「結構買い込んだな。何を買ったんだ?」


 俺は彼女らにそう問いかける。

 すると調味料をいくつか買い込んだのと、食器を買ったと言ってきた。

 どうやら、今後の護衛に備えて、食器を増やしたようだ。

 ただ、まだ受けると決まっていないし、人数も決まっていないのになと思いながらも、それを聞いていた。  

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