第103話 商会長宅で食事をしよう
俺は詳しくはないので解らなかったが、ディート言わせるとパルマの交渉はかなり頑張った成果だったそうだ。
そんな訳で、パルマに交渉をまとめた礼を言っておく。
パルマはそれを聞いて恐縮していたが、実際こんな情報のない世界で知識を集めたりして努力をしているのだから大したものだけどな。
そんな話をしていると、部屋がノックされた。
どうやら、ディートのお兄さん夫妻やもう一組のお客が来たようだ。
「では、最後の仕上げをして、料理を出すとしようか。」
俺はそう声を掛け、みんなで最後の仕上げに取りかかる。
そして、調理が終わり、それらを、食堂に運び込む。
中に入ると既にディートの両親と着替え終えたディートの兄夫妻、そしてアルノーさんと女性が席についていた。
「あ、アルノーさんではないですか。そちらは奥様ですか?」
俺はアルノーさんを見つけ、そう声を掛けた。
「やぁ、ギリーさん。ええ、私の妻になります。しかし、私が居たことにあまりおどろなかったようですな。」
「まぁ、この場に招かれる人物となると限られますからね。」
「さすがですな。料理をギリーさん達に作って貰った時点で、予想立てられてましたか。なら、驚かせるためにこちらで料理を用意するべきでしたかな。」
俺の言葉に屋敷の主であるエドウィンさんがそう言ってきた。
「それもありだったのではないですか。おそらく俺達が作るものより、新しい料理は作れないかもですが、繊細な料理は作れると思いますよ。」
「うむ。」
「それより、冷めないうちに料理を食べましょう。せっかく作って頂いたのですからね。」
エドウィンの奥さんはそう言って、話を打ち切って、さっそく食べましょうと提案する。
皆も異論がないので席に着く、料理は一度に配膳する。
なので、料理はある程度冷えても美味しく食べられるものにしてある。
ディートもパルマも両親の前にしての食事なので居づらそうだったが、まぁ、仕方がないので諦めて貰おう。
もっとも、二人ともある程度覚悟をしていたはずだし、リアやミサのように両親に会いづらい者もいるのだからね。
そんな状況ながら、話は弾み、料理も皆に喜ばれながら、食事は進む。
そんな中、商会長のエドウィンさんから料理店のことで話しかけられた。
「ところで、エーデルシュタイン公爵領都まで行くのに馬車でも二週間ほどかかりますよね?」
「ええ。そうですね。」
「そこが問題になりまして、普通なら店を任せるといえば任せたいと思う者も手を上げてくれるでしょうが、それだけの危険がありますと行ってくれる者がなかなかいないでしょう。」
「そうですね。経理をする者も信用が置ける人物が必要となりおますのでこちらから送り込みたいですね。」
エドウィンさんの言葉を引き継いで、アルノーさんもそう言ってきた。
つまり、移動に掛かる危険を取り除きたいということか。
俺達にそれを話すということは、警護の依頼をしたしと言うことかな。
「そこで、道中は狼や盗賊も出て、かなり危険になる。そこで、王都やエーデルシュタイン公爵領都にも行ったギリーさん達に警護を頼みたいのだが、どうだろう?」
やっぱり、そうなるか。
でも、移動中のいろいろな秘密もあるし、どうしたものかな。
とりあえず、すぐには決められないので、みんなと相談すると言っておこう。
実際、相談して決めることになるし構わないだろう。
「その辺は、私達の今後の予定もありますので、みんなと相談して決めたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんですとも、そうすぐ進む話でもありませんでしょうから、検討して返事を頂ければと思います。」
エドウィンさんもそう言って、了承してくれた。
そうだよね。
これから侯爵と話を詰めて、公爵領都で店舗確保等のいろいろやるべきことがまだあるからな。
でも、これどうしたものか。ちゃんと考えないと、家やトイレなど使えなくなるとかなり苦痛な旅になりそうだよな。
その後も順調に食事は進んだ。
食事も終わり、帰りにディートとパルマに泊って行くか尋ねた。
だが、二人とも今後に話し合いもあるし、今日は疲れたといってそれを断って、俺達と一緒に帰ることになった。
宿に戻ると彼女達の部屋で、クライン商会から提案のあったエーデルシュタイン公爵領都までの警護の依頼をどうするか話し合うことにした。
本来は、まだ時間もあるから、日を改めて話し合っても良かったが、魔道具のトイレの改修も予定しているし、いちおう方針だけは決めておこうということにした。
「まず、依頼を受けるとなると、家やトイレが使えなくなるがその点どう思う。」
俺はまず、一番大きな問題点になるだろう点をみんなに聞く。
「うーん、前ならそれが当たり前だったから問題なかったけど、今となるとなぁ。」
「だよねぇ。」
リアとミサはそう言う。
うん、だよな。人間、便利になれると抜け出せなくなるからねぇ。
「でしたら、私に使ったように契約呪術を使って口止めをするのはどうでしょう?」
ティアがそう言ってきた。
確かにそれも手だが、それをやるには連れて行く人たちをなんて言って納得させるかだな。
そう言えば、ティアにもう契約呪術は必要なくなったけど、そこは解除できたりするのだろうか?
打ち合わせ中に話が逸れるが気になったので聞いてみる。
「そういえば、契約呪術を使ったな。あれって、もう必要なくなったけど、解除できるのか?」
「できなくはないですけど、ちょっと特殊ですわね。」
俺の問いにディートがそう答えてくれた。
「特殊?」
「ええ、確か掛けた時と同条件で重ねがけをするそうですわよ。なので、侯爵家で呪術を施した人物とその時一緒にいた人物を揃える必要があるらしいわ。」
「うん、周りの人も必要なのか。」
「はい。理由はわかりませんが、そう聞いたことがあるわ。」
そうなると契約呪術を解除したことが侯爵家にも知られることになるのか。
それはそれで面倒だな。
「私への契約呪術はそんな重いものではないのでこのままで構いませんです。それに解除は契約より高額になるらしいですし。」
俺が考えているのを見て、ティアはそう言ってきた。
「金額は問題ないが、侯爵家の手を煩わせるのはちょっとまずいかな。ティア、今はすまないがこのままでということで、勘弁してくれ。」
「いえ、気にしておりませんので、問題ないです。」
「そうか。あと、話を逸らしてしまってすまない。話を続けよう。」
そうして話をした結果。
旅をするためだけに契約呪術を行うのはどうかということで少し揉めたもが、結局、それ受け入れて貰えるならという条件で結局受けることになった。
やはり、快適さは譲れないという形になった。
この件はあとはオーベルマイヤー侯爵家で話を詰めてから、商会に警護の条件を伝えればとりあえず一段落かな。
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