第99話 クライン商会に行こう
冒険者ギルドを出た後、今度はクライン商会へと向かう。
さすがに、商会長がディートの父親といえど、いきなり個人宅に行ったりするのは商売の話をする場合は、無作法に当たるらしい。
なので、今日はとりあえず、商会でディートのお父さんの商会長面談若しくは、面会の予定を組むのが目的だ。
あー、商会長に会ったら、さすがに婚約の報告もしないとだよな。
侯爵家の方は仕組まれてのことだったから、特に何かとかなくその後は面談したけど、本当はなんかやらなきゃいけないこととかあるのかな。
とりあえず、疑問に思ったら、聞いてみるか。
「そう言えば、ディート。商会長に結婚報告するのに何かしないといけないのか?」
「父にですか?特にないですね。本来、家を出たら、こうして会うことはほとんどないのが普通ですからね。それに家にいたままなら、父が話を持ってくる立場ですしね。」
「そうなんですよね。なんか今日だって、普通に帰って来てますけど、本当はこんな事ないのですよね。」
俺の質問へのディートの答えに、パルマは感慨深そうにそう言う。
パルマはディートに付いて行くため出ていっただけだから、父親に会えるのは普通にうれしいのかな。イオナにいた時は、時々、家に帰ったりもしていたしね。
ディートの答えに、そんなものかと納得することにする。
この世界、死と隣り合わせなこともあって、俺からしたら、結構ドライな感覚なのがいまだ慣れないんだよな。
「まぁ、親に顔を出せるというのは、いいことだ。」
まぁ、でも、村を追い出されるようにして出ていったから、村に戻る気もないって、ミサも言っていたのを思い出し、そう答えた後、しまったなと思う。
「そうそう、私達はもう戻りにくいからね。」
俺の言葉を聞いて、ミサがそう言う。
「そうかぁ?戻れば意外と喜んで迎えてくれるんじゃない?」
それに対し、リアはそう言った。
あれ?どっちなんだ?
俺がそう思ってると、ミサがそれを否定する。
「戻ったって、居場所はないし、もし、お金を持っているのが判ったら、喜んではくれるだろうけど、集られるだけよ。」
「確かに、家にも泊る場所もないだろうし、居なくなった子供が戻っても邪魔になるか、確かにそんなもんかもな。」
ミサの言葉を聞いて、リアも納得するようにそう言う。
なんだ、リアは考えなしに最初の発言をしただけか。
「すみません。私達だけで親に軽々しく会ってしまっていて。」
ディートが親のことを話ししたのを申し訳なく思ったのか、ミサ達にそう謝る。
「そんなの気にしないディートさん達やティアさんは私達のパーティーのために会っているようなものだしね。」
俺が余計なこと言ってしまったから、こうなってしまったか。
そんな反省をし、俺が親の話を持ち出したことを素直に謝る。
「すまない。つい余計なことを話し過ぎた。ここの事情があるのについ余計なことを話してしまった。」
「気にしない。気にしない。話の流れでだったし、私達はそう言うもんだと割り切っているから、問題ないわよ。ね、リア?」
「なにがだ?ギリーが謝るようなことあったか?」
「ほらね。私達が気にしていないんだからね。」
ミサとリアはそう言いって、俺の言動を問題がないといってくれた。
でも、ミサと馬の上でそんな話をしていたとは知らないリアは本当に何が問題だかわかってないようだったけども。
その後も会話をしながら、クライン商会に到着する。
買い物をするわけでもないし、こっちの人数も多いし、ディートやパルマもいるので騒ぎにならないよう、今回も店先から入らず、今回も裏からお邪魔する。
裏口をノックして、声を出して、名乗る。
「ごめんください。冒険者のギリーと申します。」
しばらくすると、扉が開かれる。
「ギリー様、いっらしゃいませ。ようこそ、クライン商会へ。それにディートお嬢様とパルマさん達も。今日は生憎エドウィン商会長は不在ですが、アルノーはいらっしゃいますので、お呼びします。どうぞ中にお入りください。」
対応に出て来た従業員は、俺に挨拶をしながら、背後にディート達を見とめそう声を掛ける。
商会長は不在か。
ディートとのことを話すのがあとの延ばしになったのに、俺はちょっと安堵する。
そして、商会のいつもの応接室に通されると、また、全員が座れるように椅子とお茶が運ばれて来た。
しばらくすると、パルマのお父さんのアルノーさんがやって来た。
ひととおり挨拶をすませると、アルノーさんはこう切り出してきた。
「ディートお嬢様との婚約おめでとうございます。うちのパルマも貰ってくれませんでしょうかね。」
俺はそれを聞いて、口に含んでいたお茶でむせる。
それが落ち着いてから、アルノーさんにどうしてそれを知っているのか、聞き返す。
「ど、どうして、それを。」
「ああ、失礼。侯爵様より聞き及びました。それよりどうです?」
「もう、お父さん。家を出た私のことは構わないでください。」
パルマは、さらに俺に追い打ちをかけて来るアルノーさんにそう言って、非難する。
「でもなぁ、そうは言うけど、やっぱり心配なんだよ。その点ギリー君なら、知ってるし、信用も置けるからね。どうだろう?」
アルノーさんはさすがというべきか、パルマの非難を意に介さず、俺にそう進めてきた。
さすがにパルマも慣れたもので、そんなアルノーさんをさらに非難して、アルノーさんの口を封じようとしてくる。
「もう、それ以上は言わないでください。今日は親子ではなく、商売相手として話をするため、商会に来たのですから。」
「あはは、私が昔、娘に言っていた「ここは商売をするところで、お前と遊ぶところでない」とよく言ってたのを返されてしまったな。」。では、商売の話をしようか。でも、娘のことをどう考えてるか、後ででいいから聞かせて欲しいな。」
アルノーさんは笑いながら、懲りずにそう言うと俺に目を遣り、一瞬真顔になった。
ちょっと怖いですよ。
パルマにも一応声を掛けたのですけどね。とも言える訳もなく、愛想笑いを浮かべて本題に入ることにした。
こっちの話は、まだ、侯爵からも聞いていないようで、アルノーさんでは判断が付かないので、後日、商会長につないでくれるということになった。
さすがに俺達の方が、公爵からの手紙より速かったようだ。
というか、俺達が話してから、オーベルシュタイン侯爵に話が行くように調整してくれたのか。
何も知らずに公爵から先に話が行っては、頭ごなしに話が進んでいるように思われてしまうから、気を利かせてくれたのかもな。
俺が公爵に先に提案してしまった時点で、半分そんなもんなんだけどね。
こうして、商会長であり、ディートのお父さんでるエドウィンさんに会うための約束を取り次いでくれることになりました。
だた、その話が終わるとパルマがまだ怒っているようで、形式的な対応が終わるとさっさと退室するよう話を進め、商会を後にすることになった。
まぁ、あんなことを言われ、パルマが怒るものわかるけど、本来はこちらが依頼する立場なのだから、そう感情を出すべきでないよね。
うん、パルマも本当はわかっているはずだしね。
ただ、親だから甘えて、ああいった態度に出たんだろう。
俺もあの後も雑談をとなると、肩身の狭い思いをしそうなので、今回はそこは良かったので、そう考え黙っているけどね。
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