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第98話 ギルドで報酬を貰おう


 イオナの街には正面門から入る。

 一応、オーベルマイヤー侯爵より名誉騎士の称号を賜っているので、貴族門である東門から入っても良いのだが、表に出す必要がないことなので、正面門から入る。

 もっとも、王都や公爵領都などに比べれば、貴族の出入りどころか、一般市民の出入りもさほどあまり待つこともなく、入れるということもあるけどもね。

 あと、それと馬車や馬を牧場に預けて、街に入るのもあって、様にならないというのもあったしね。

 久しぶりのイオナの街だが、まぁ、一冬を越しただけなので、さほど変わった雰囲気はない。

 いつもの宿を無事にとると、さっそく冒険者ギルドに向かう。


 いつもどおり、カウンターに向かうと受付のレジーナさんが俺達を見つけ、声を掛けて来た。


 「お久しぶりです。ギリーさん達、遅かったじゃないですか。雪解けには戻って来ると言っていたじゃないですか。」


 「ああ、すまん。本当にそのつもりで王都を立つ予定でいたんだよ。」


 「そうなんです?」


 「ええ、本当よ。だけど、ちょっといろいろあってね。」


 俺の言い訳に反応したレジーナさんの問いに、ディートはそう答えた。


 「そうなのですか。では、さっそく、秋の件について、上役から話がありますので、奥によろしいでしょうか。案内します。」


 昼過ぎと言うこともあり、冒険者もいないので、周囲に気にすることなく、レジーナさんはそう言ってきた。

 俺は一応、手土産にギルド職員へとお菓子を渡す。

 レジーナさんはそれを嬉しそうに受け取ると、お礼を言ってから、後についてくるように俺達に言ってきた。

 俺達はその後について行くと、ギルド内の一室の案内される。

 てっきりギルド長室に案内されると思っていたが、いきなり訪ねて来て、ギルド長室には通すのは無理か。

 ギルド長の予定も確認しないとだしね。

 誰が対応できるかわからないから、とりあえずレジーナさんは上役といったのか。


 しばらくすると、レジーナさんが壮年の男性を連れて戻って来た。


 「待たせたかな。」


 男性はそう声を掛けてきた。

 誰だろう?一階のフロアーでは見た記憶はないな。

 とりあえず、挨拶をしないとな。


 「初めまして、冒険者のギリーです。そしてこちらは仲間の……。」


 そう言って、俺は自分と仲間を紹介する。


 「さすが貴族ともかかわっている冒険者だな。挨拶もしっかりしている。そうそう、名乗り遅れたな。俺はギルド長の元『傷無しの戦士団』というパティーを率いていたデニスと言う。よろしくな。」


 相手はそう返してきた。

 なるほど、ギルド長か。

 なかなかの貫禄だけど、パーティー名を名乗ったということは冒険者上がりか。


 「冒険者からギルド長ですか、凄いのですね。」


 俺はそう感想を述べる。


 「なに、実務は副ギルド長が主にこなしている。職員のいる前で言うのは何だが、最低限のデスクワークだけしかしとらんよ。しかしな、最近はこのパーティー名を出しても知っている者がいなくなってな。そろそろ、引退も考えているのだ。わはは。」


 「ギリーさん、ギルド長の言葉本気にしないでください。こう見えてバリバリの実務者なんですよ。今やめられたら困りますからね。」


 レジーナさんがギルド長の言を即座に否定する。

 ふむ、冒険者としても名を馳せて、さらに、それなりの実務もできるのか。


 「まぁ、こんなくだらないことで時間を潰しても申し訳ない。君達の貴重な時間を潰すのは悪いから、そろそろ本題に入ろうか。」


 「はぁ。」


 俺達は別に脇道に逸れてないけど、まぁ、ここは黙っておこう。

 話が進まなくなりそうだしね。


 「で、冬前にあった盗賊退治の件だが、彼らには商業ギルドの方から懸賞金が掛けられていてな。公爵家からの報奨金も含めて、金貨150枚になった。」


 ギルド長はそう言うと、金貨の入った皮袋を差し出す。

 なかなかの収入になったな。


 「長い間預かって頂いて、ありがとうございます。」


 俺はそう言ってから、皮袋を拾い上げ、重さを確認して、鞄に入れる。


 「おい、念のため、数を確認するか、せめて中身だけでも確認して置け。一応大金だ。適当に受け取り過ぎだろ。」


 「そうですよ。ギルド長の言うとおりです。それに大金を鞄に入れるなんて不用心ですよ。」


 ギルド長と、何故かそのまま同席しているレジーナさんがそう非難してきた。

 俺の鞄はゲームどおりの仕様なので、金貨を入れると金額が確認できるので、その必要がないし、何故か破けないから盗まれにくいのだけど、そんなこと言えないので、素直に謝る。

 そして、金貨を取りだして、面倒なので中身が金貨なのを確認して、懐に仕舞い込む。

 鞄に入れた時点で金貨150枚増えていたしね。

 金貨150枚って、懐に入れると結構ずっしり来るんだけど、お腹に重さを感じてなんか変な感じだな。

 

 「なんか軽いな。冒険者だけでなく、平民にしたら、金貨150枚とか、結構な大金なんだけどな。」


 俺の金貨の扱いを見て、ギルド長はそんな感想を言う。


 「まぁ、いろいろあって、金貨の扱いに慣れてしまったんだ。」


 「金貨の扱いなんて、慣れてたまるか。俺だって自分でこれ以上の金貨を手にしたのなんて、数えるほどしかないのに。」


 俺の言い訳に、ギルド長はそう言う。

 さすがにギルド長にまでなった冒険者だけあって、これだけの金を手に入れたことも数度あるのか。


 「ギルド長になっただけあって、さすがですね。」


 俺はそうギルド長を褒める。


 「ふん。俺は貰った時、いつもその場で何度も数えて確認したぞ。お前ほどじゃない。」


 ギルド長はそう反論する。


 「そうだよな。あたいだって、結構貰えるようになったけど、未だにほとんど預かって貰っていて、手元に金貨数枚持っているだけで落ち着かないもんな。」

 

 「だよねぇ。でも、ディート達は見慣れてるから、そんなことないのかな?」


 「いえ、私達も少し裕福なだけですよ。ギリーと関わってから手にした金額を集められるまで、私達でも10年はかかると考えていましたからね。」


 「はい、お嬢様。」


 「私もお屋敷勤めで、それなりの金貨を見たこと自体はありますけど、手にしたことはありませんよ。」


 ミサの問いかけに、ディート達はそう言って否定する。

 まぁ、なんだ。あまり俺達が金を持っているのを知られたくないから、こんなとこで、そんな話をしないで貰えないかな。

 ほら、レジーナさんも呆れている。


 「まぁ、いろいろあったんだ。」


 俺は言い訳っぽくそういう。


 「そ、そうか。まぁ、話は済んだし、今日はここで失礼するよ。」


 そう言って、ギルド長は席を後にした。


 「では、この受領書にサインをしてください。これで、本日は終わりにしますね。でも、毎回、甘い物を持ってくるだけあって、かなり稼いでいるようですね。」


 「まぁな。あまり詮索すると土産が次回からなくなるぞ。」


 俺はそう言って、羊皮紙を受け取ると、サインをしてレジーナさんに返す。


 「そんなぁこと言わないでください。ギルド職員が冒険者のことは詮索したりするはずないですよ。サインありがとうございます。」


 レジーナさんは羊皮紙を愛想笑いで受け取る。

 そして、レジーナさんに再び連れられ、ギルドの一階フロアで解放された。


閑話を入れて100話達成です。

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