第9話 賢者先生
街の冒険者ギルドで聞くとすぐに、賢者の場所が分かった。
賢者の家というには何ともみすぼらしいが、さっそく何度もドアをたたく。
......とても気難しい人らしく、前にサクレがきたときは全く相手にしてもらえなかったらしい。俺は取り合ってもらえるだろうか?
「なんですか? 私はいそがしいんですが、、って君はあのときの!?」
賢者は俺を見るなり驚いた声をあげた。
「君は私にダンジョンの壁をくれた商人じゃないですか!? もっとダンジョンの壁をくれませんか? やっと究極の金属オリハルコンが完成したんです!」
めちゃくちゃ早口でまくし立ててくるので、何を言っているか分かりにくい。そういえば最近ダンジョン壁の納品依頼をこなしていなかったな。この人が依頼者だったのか。
サクレがきたときはガン無視されたとか言ってたので、興味を持ってくれたのは何よりだ。
「ダンジョンの壁ならあとで、いくらでもやる! だから、先にこのさびた聖剣を直してくれ!」
「ふんふん、なるほど。君は魔王を倒す気なんですね?」
「うん。」
「いや、違うわ! 前はそうだったんだけど、今はそうじゃなくて、魔王をやらされてるだけの少女を助けたいんだ!」
「ああ、やはり魔王は少女だったのか。わかりました。剣をお貸し下さい。」
賢者は俺から聖剣を奪うと、黒い箱みたいなのに聖剣を突っ込んだ。
バリバリバリバリバリ!
とんでもない音が聞こえる。コレは研磨というより、砕いている音ではなかろうか。なるほどな、聖剣のともなると研磨するだけでもこんな音がでるのか。
賢者は黒い箱を開けると、小さめの布袋に粉をつめて渡してくれた。
「この袋に入っている粉が、聖剣だったものです。どうぞお使い下さい。」
いやいやいやいや、やっぱり砕いちゃってんじゃん!?
「どうやって使うんだよ? 剣のときだってたいして効かなかったんだぞ?」
「いえ、それは剣だから効かなかったのです。大切なのは神聖な力を相手に浴びせることです。
剣のように戦いには向かないでしょうが、相手を助けたいなら粉状にしておくのがベストです!」
ほ、ほんとかよ、、お前の思いつきじゃないだろうな。
使い方を聞いたところ「ふりかけて使って下さい」とのことだ。粉だからそれしかないんだろうが、本当に効くのかすごく心配になってきた。




