二種類のチョコ
「じゃあまた明日ね。バイバイ。」
そう言って彼女、れんげは手を振って自分の家のドアを開けて家の中に入っていった。
「また・・・・言えなかった・・・」
れんげとは家が隣の小さい頃からの幼馴染。
そんな彼女に私は「恋心」を抱いてしまっている。
彼女は親友と言っても過言でない存在で、女の子同士、この「恋心」が一般的ではない事は分かってる。
だから伝えようとと思っても怖くてなかなか想いを伝えることができない。
今日もため息を吐きつつ家に帰り自分の部屋に行きベットに倒れ込む。
「明日こそ」毎日そう思いながらそれをいつも実行にうつすのとはできない。
彼女への想いに気づいたのは彼女に好きな人がいると知った時。
クラスの男の子かれんげに告白する場面をたまたま見てしまった。
れんげはその男の子に「他に好きな人がいるから」という理由で断っていたのを聞いて私はすごく驚いた。
ずっと一緒にいたのにしらなかった、れんげの事なら何でも知ってると思っていた。
だけど、どんなに考えても、分からない。
もしかしたら断る口実で言っただけかもと、覗き見したことを誤りながら好きな人の事を訊いてみたのだけど、
「あははー、聞かれてたー?
実はそうなんだ。ずっと前からその人のこと気になってて。」
彼女から帰ってきた言葉はこうだった。
その日の夜れんげの好きな人のことを考えていてずっと悶々とした感じで寝付けなかった。
どうしてこんなにれんげの好きな人が気になるのか、そう思った時自分の気持ちに気づいた。
私はれんげのことが好き。
それは友達から幼馴染だとかではなくひとりの女の子としての好き。
そう自覚した瞬間頬が熱くなるのが分かった。
それからは自分の気持ちを伝えようと考えたけど上手くいかない。
今日もいつも通りベッドへと倒れ込む。
気持ちは伝えたい、でも、怖い。
伝えた時れんげにどう思われれか、気持ち悪いとか思われるんじゃないかとか、そんな事を考えてしまいいつまで経っても伝えれない。
こんな度胸のない自分に嫌気がさしてくる。
ふとカレンダーを見ると今日は2月7日、つまり来週の14日はバレンタインデーということになる。
ならこの日に今度こそ告白しよう。
一週間で心の準備を整えて、しっかりと、今度こそ伝えよう。
私は心にそう決意した。
そしてバレンタインデー当日。
今日のため休日にチョコの材料を買いに行き、昨日チョコを作った。
作ったチョコは友達にあげる友チョコとれんげに渡すように本名チョコ。
「おはよー。」
今日もいつも通りれんけの家に迎えに行き挨拶を交わす。
「今日はバレンタインデーだね。」
「そうだね。ちゃんもとれんげの分も用意したから!」
「私も、ぼたんちゃんの分用意したよ!」
「じゃ、学校で交換しよっか!」
「うん!」
友チョコは多く用意しておいたので、まずはそれをれんげに渡そう。
本命はまた後でで良いよね、皆いる所だと恥ずかしいから二人きりの時で。
「ぼたんちゃんは好きな人いないんだよね?」
「・・・うん」
れんげに好きな人が知ると聞いた時私もれんげに訊かれたので、その時は「いない」と言ってしまった。
その時はれんげへの気持ちに気づいて無かったのもある。
一度「いない」と答えてしまったため告白しずらいということも、告白できない要素の一つだったりする。
登校中はいつも通り他愛無い話をし、そして、教室についた。
クラスの女の子はチョコを渡し合ってわいわいしている。
男の子はなんだかそわそわしている様な感じがする。
「はい、ぼたんちゃん!」
れんげが席に着くなり、可愛いリボンでラッピングされたチョコを渡してくる。
「ありがと!これ、わたしから。」
私も友チョコを渡す。
友達も席の周りに集まってきて、みんなで交換し合う。
れんげが一体誰が好きなのかすごく気になって、れんげが本命チョコをいつその誰かにあげるのかすごくすごく気になって、れんげから目が離せない。
「ほたんちゃん、どうしたの?」
「えっ・・・なんでもないよ・・・」
ずっと見てたのに気づかれたみたい。
「れんげは本命チョコ、いつ渡すのかなーって。
もちろん、渡すんでしょ?」
「うん!それで自分の気持ち伝えるって決めたから!」
「・・・そっか、じゃあ、渡したら誰に渡したか教えてね・・・」
「じゃあ、今日は私の家に寄って行って!
その時に教えるから!」
「うん・・・」
どうやら今日はれんげの家に寄ることになったらしい。
でも、ちょうどいいかも。
いつ渡そうかタイミングに悩んでたけど、れんげの家なら二人きりになれるし。
叶わない事は分かってる、でも、たとえ届かない想いだとしても、今度こそ伝えるって決めた。
ちゃんと伝えて、綺麗に忘れよう。
忘れるまで時間が掛かるかもしれないけど、伝えずにモヤモヤしてばっかいるよりは絶対に良い。
そしてやっとやってきた放課後。
今日はれんげへの告白のことに頭がいっぱいで授業をほとんど聞いていなかった。
先生に当てられた時は話を聞いていなかったので答えられなかった。
むしろ、最初当てられてる事にさえ気づいていないぐらい。
「ばいばーい!」
友達と別れの挨拶をし合い帰路に着く。
私たちは帰る時もれんげと二人きりで帰る。
いつもは他愛無い話をしながら帰るんだけど、今日は二人ともなんかよそよそしい感じで会話が弾まなかった。
ほとんど話もしないままれんげの家に着く。
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
家に入った私たちはれんげの部屋がある2階へと階段を登っていく。
部屋に入って荷物を置き、私たちは向かい合って地面に座る。
「「・・・・・」」
しばらく無言の時間が続いた。
数分後れんげが先に口を開いた。
「えっと・・・本命チョコを誰に渡してたかだよね・・・
実はまだ渡してないんだ・・・」
?渡すことが出来なかったのかな?
でもその気持ちはよく分かる。
私も自分の想いを伝えるのには恐怖に似たなにかがあるから。
なら私が先にれんげへの想いを伝えよう!
そうすればれんげも勇気が出て明日改めて渡せるかもしれない。
・・・本当は悲しいけど・・・でも・・・れんげが幸せになれるなら・・・。
私はそう決意して口を開こうとした時、
「実はね・・・これから渡すの。
はい、これ、受け取ってくれる・・・?」
???
え?
どういう事?
「私、は、ずっと前から、ぼたんちゃんが、好きだったの。
女の子同士でおかしいって思うかもしれないけど、私はぼたんちゃんが好き、大好き!
この気持ちに嘘はつけない。」
れんげは少し怯えた目で、でも確かな強気を目に込めた目で、私の目を合わせてはっきりと言った。
れんげの好きな人は・・・私・・・?
ホントに?
夢じゃ無いよね・・・?
突然のれんげの告白に目を丸くして驚いて、
その告白の意味が脳に浸透しとき、嬉し過ぎて声が出なかった。
「ごめんね、嫌なら受けなくていいよ・・・。
今のは忘れて・・・
これまで通り・・・友達でいてくれたら・・・嬉しいな。」
何も言えずにいた私をどう思ったのか、れんげは目に涙を溜めながらにっこりと微笑んで差し出されていたチョコをそっと手元に戻す。
私は慌てて口を開く。
「ち、違うの、その、いきなりで、ビックリしただけで、むしろ、嬉しいというか、」
慌てて言ってしまったのでたどたどしくて何を言いたいのか自分でもわからない。
落ち着くために一度深呼吸をしてカバンから本命チョコを取り出す。
「れんげ、ありがと。
チョコ、すごく嬉しいよ。
それにこれ、私からもれんげに本名チョコ。
私もれんげのこと前からずっと好きだったの。」
私はれんげにチョコを渡す。
れんげも最初は私と同じように目を丸くしてポカンとしていた。
しばらくして頬を少し染めて「ほん、とに?」と尋ねてきたので、笑顔で頷く。
「そっか、そうだったんだ、
すごく嬉しい!」
満面の笑みを私に向けてくれる。
うー。すごく可愛い。
それからお互いの本命チョコを交換して、二人とも頬を染めながらいつも通り楽しい会話を私が帰るまで楽しんだ。
—-余談—-
告白しあった次の日学校に行って私たちが付き合うのとになつた事を仲のいい友達に伝えたら、
「やっとかー」
「おめでとー」
「二人が両思いなの皆知ってたよ?」
「気づいてなかったの、二人だけだからねー。」
「見てて分かりやすかったしねー。」
皆から帰ってきた言葉はこうだった。