『ルーティン』 ちょい辛
今回は道の駅。
ルーティンって皆さんは、ありますか?
朝起きてコーヒーを飲まないと調子が出ない。
月曜の昼飯は、超辛カレーを食べないと駄目だ。
とお決まりの行動の事です。
当時、私は車で一時間掛けて出勤していました。
その際に途中の道の駅で一服する。
正確には、お花積み(大)、コーヒー、タバコですね。
これをしないと、どうも調子が出ませんでした。
こんな事を三ヶ月も続けると、他人の顔を覚える物です。
車を道の駅で、車をまとめて出勤する集団。
喫煙所でタバコを吸う人。
共同水道で歯を磨く人。
甘口のコーヒーを飲んでいる人。
こうしてみると『道の駅』は、地元の人にも重宝されているのが分かります。
さて、ルーティンをこなす人を良く見れば、中々面白い物です。
車から降りたら直ぐに、背伸びをして、買うのはカフェオレ。
楽しい時があったら、ニコニコしながら甘口のコーヒー。
辛い事があったら、仏頂面で苦いコーヒー。
トイレから唸り声を出す人。
色んな人が居るものです。
私は、心の中で何があったのか?どんな気分なのか?と、色々と想像してました。
中でも印象的なのは、五十歳前後の長期車中泊の方です。
小さな軽自動車で、助手席まで荷物をパンパンに詰めていました。
私が行く時間位には、車から降りて自販機でコーヒーを買って車に戻り、何処かに行っていました。
少しタイミングが合うと、音楽を流して、ラジオ体操をしていたりしてましたね。
決まって同じ場所に駐車しており、私の中では定番になっていました。
格好は草臥れたTシャツと作業ズボン。
体臭がキツイ時がありましたが、銭湯でも行っているのでしょう。
石鹸の匂いがしたり、それなりに気を使っていた様です。
何時ものメンバー。何時ものパターン。
会話こそ有りませんでしたが、目が合ったら会釈する位には、近い関係だったのでしょう。
ある日、私の日常は少し狂いました。
何時もの時間。何時もの行動。
定番のラジオ体操をオッサンの車が消えていたのです。
格好から土木関係だと思っていたので、現場が変わったのか?と少し考えましたが、直ぐ忘れてしまいました。
何故なら、三日程してから件のオッサンは、何時ものルーティンをしていたのです。
ただ、少し気になったのは、何時出ていったのか分からないのです。
車のエンジン音も聞こえず、気が付いたら、車が失くなっていた。
そんな状況が2ヶ月程過ぎて、パタリとオッサンを見かけなくなりました。
その時は、現場が変わったのかな~位にしか思っていませんでした。
さて、どんな所でも通えば、それなりに仲良くなります。
道の駅の中の弁当をたまに買ったり、自販機がトラブって従業員を呼んだりと、接点は自ずと出来るものです。
そんな中、若い子(♂)とポツポツと話す様になりました。
中々面白い子で、色んな話をしました。
そこで私の注意を引いたのは、駐車場で死体が見付かったと言う話題です。
労働者の人が車の中で、死んでおり、一時は大騒ぎになったと言う事でした。
そして死体が発見された車とは、何時ものオッサンが駐車している場所だったのです。
道の駅等は事件性がない限り、穏便に事を済ませます。
況してやオッサンの車は、目立たない様に、片隅に置かれており尚更です。
大事にならない様に警察も気を使ったのでしょうね。
ただ、彼の話す日時がおかしい。
彼の話は二ヶ月近くも前の話。
しかし私の知るオッサンと、彼の語るオッサンは同一人物と思わしい共通点が、沢山あります。
道の駅で毎日ラジオ体操をする人なんて私の知る限り、そのオッサン一人です。
私は事件の合ったから数日は、見てませんでしたが、二ヶ月は確かにオッサンのルーティンを見ていたのです。
会釈もしました。
しかし、彼はラジオ体操はおろか、車すら見てないと言います。
さて、どうなんでしょうね?
オカルトなのか?
ただの勘違いなのか?
ちょっとした不思議な話でした。