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四季娘っ〈しきむすめっ〉  作者: 神無 乃愛
〈side 六花〉

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8/9

不穏な自己紹介と原因究明

 ……改めて、という流れで再度自己紹介が進んでいく。

「人のご縁とは不思議なものですわね。武満伯父様が惚れ抜いて引き抜いていらした方が、晴海さんのお父様とは」

「……そこは『偶然』にしておく。

 で、次期当主様(、)どうしてこのようなふざけたことを?」

 微かに笑みを浮かべて夏姫が訊ねていた。怖い。マジで怖い。この微笑みの時の夏姫は、大激怒の真っ只中なのだ。

 六花が晴海をちらりと見れば、晴海も顔色が悪くなっている。

「当初の予定は、葛葉の友人作りだったんだが」

 意味が分からん。


 御曹司様の話を要約するとこういうことらしい。

 六花と晴海が話しているテーブルの近くに座ったのは、本当に偶然だったらしく、六花が晴海を揶揄うためだけに紅蓮の話をしたのが面白かったらしい。それ以上に、晴海のリアクションと六花に対するツッコミが、ツボにはまったらしくお気に召したと。

 で、紅蓮がお気に召したということは、葛葉も気に入るだろうということで会わせようと思ったのがきっかけとのことだった。

「それがきっかけって言っても、はるちゃんのことをどうやって調べたんです?」

 学園に提出した部外者来園手続き用紙を悪用したのかと思ったが、違った。

「さすがに、おれがそんなことをしてどうする。他の連中も出来るとか思われたらセキュリティ関連が役に立たなくなるぞ」

「あ、そっちの心配はしていらっしゃるわけですね」

「当り前だろうが。でなきゃセキュリティプログラムを学園側に寄付するわけないだろうが。

 柳瀬のことは啓治に聞いたんだよ。啓治に聞けば大体わかる。あとは親父を頼った」

「……は?」

 夏姫の声が一オクターブ下がった。

「話の流れから、同じような性格の友人がもう一人いるんだろうなと思ったんだよ。で、音信不通で探しているというのも分かった。

 葛葉の友人と考えると、少し家族構成を調べないとまずいかなと思ってな、親父に頼んだ」

 このおヒトの父親っていうと……と六花は少しばかり記憶を探る。まぁ、会ったことがないため、記憶にあるわけもないのだが。

「二日とかからず調べ終わって、こっちの都合とかがあって今日になったんだが……」

 ナニユエそこで言葉を濁しやがる。


 思わず六花は御曹司を睨んだ。

「別件で調べていた時点で、夏姫と柳瀬たちの繋がりは分かっていたらしい。そこに桑乃木まで絡んでくるとは予想してなかったみたいだがな。絡んできているんだったら、桑乃木も巻き込んでしまえと思っ……」

 夏姫が無言で繰り出した蹴りを、御曹司が避けていた。

「巻き込むな」

「桑乃木は喜んで巻き込まれたぞ。何せ離れている可愛い孫娘、若干不憫な姪に親しい友人が出来るかもというのは、でかかったみたいだぞ。

 ……ってわけで、俺にだけ攻撃するな」

「あんたが思いつかなかったら、ならなかった自覚は?」

「友人と再会できたんだ。チャラにしろ」

 その言い方もどうなのだ。確かに夏姫と再会できたのは嬉しいが。

「葛葉さんの不憫関連はあんたが原因。婚約解消すれば万事解決」

「却下だ! 却下!!」


 ナルホド。この美人さんの不憫属性は御曹司様関連……と。六花は心の中で呟く。

 晴海と夏姫に会ったし、あとはトンズラするだけである。

「ふふふ。逃がしませんわ」

 美人さんが、晴海の腕を掴んでいた。


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