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四季娘っ〈しきむすめっ〉  作者: 神無 乃愛
〈side 六花〉
6/9

友人が見つかったっぽい 〈side 六花〉


 


 連れて行かれた先にいたのは、件の御曹司と、ボンキュッボンな女性。六花は思わずその女性の胸元をまじまじと見てしまった。

「失礼しました」

「いいえ。興味津々で悪意のない視線というのは初めてですので」

 朗らかに女性が言う隣で、パソコンをいじっていた御曹司がだんだんと不機嫌になっていく。

葛葉(くずは)

「ふふふっ。兄様、わたしの着る服には口出しをしないお約束でしょう?

 柳瀬 六花さん。ご挨拶が遅れました。わたし、兄様の従兄妹で婚約者の四条院 葛葉と申します」

「こちらこそ挨拶が遅れました。柳瀬 六花です」

 なんで連れて来られたか全くわかりませんが。一応、その言葉は飲み込んだ。


 流れるような動作で、葛葉と名乗った女性は御曹司の隣に座る。動きもお上品なこと。などと、全く関係のないことを六花は思った。

「兄様から伺いましたわ。ご友人をお探しだとか」

「……まぁ、音信不通になっている友人ならたくさんおりますので」

 事実である。引っ越し歴の長い六花は、そらもう音信不通の友人も多い。

「あら、あの方(、、、)との共通の友人で音信不通なのは、お一人では? その方とお会いできる環境をこちらでご用意いたします」

 思いっきり舌打ちしたい。どうやら、数日で六花と晴海のことを調べたらしい。

「その御心配には及びませんので」

 対価なぞ取られたらたまらん。


 カタカタとパソコンをいじっていた御曹司がやっと顔をあげた。

「登坂 晴海と接触したそうだ。間もなく来るぞ」

「ちょっ!?」

 あたしが来れば、はるちゃんのところに行かないんじゃなかったんかい!!

「安心しろ。登坂 晴海と接触したのは四条院の人間じゃない。お前も知る(、、、、、)奴だ」

「ありえないっ!!」

 うわいあ、やっちゃったよーー! と思いながらも、あの厭世的な親友が、御曹司と繋がりがあるとはとても思えないのだ。

「断言できる当たり、流石ご親友」

 感心したように葛葉が呟いたその時だった。


 六花のスマホが鳴り響いた。



 その部屋から慌ててでて、六花は電話を取る。あ奴らには聞かせたくない。

「はるちゃん! だいじょぶ!?」

『りっちゃんっ!! なっちゃんが見つかったの!!』

 六花の問いに被せるかのように、晴海が叫んだ。


 ちょいマテ。叫ぶな。そう言えたらどれだけ楽か。厭世的な友人が見つかって叫ぶのが分かるだけに、六花は止められない。あの部屋から少しでも離れるべく、走るしかないのだ。


「で、見つかったって」

『うんっ! パパが勤務している病院に来てたの! 相変わらず、すっごい不愛想な美人さんだった』

 着替えを持っていったらね、ばったり会ったの! と嬉しそうに話す晴海に思わずほっこりしてしまう。

「ってことは、傍になっちゃんがいるの?」

『うん。今私とりっちゃんの携帯番号を、なっちゃんの持ってるスマホに登録した』

「あとで、あたしに教えてくれ」

『SMSで送るよー』

 送るのは間違いなく晴海だ。厭世的な友人は機械音痴である。

『そういえば、どしたの? さっきダイジョブって聞いてきたけど』

「……あ」

 その瞬間、六花の肩をぽんとたたく感覚がした。


 スマートフォンを落としてしまったのは、悪くないと思う。



葛葉さん、あなたは出てくる予定じゃなかったんですが(;'∀')


カオスでしかねぇ

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